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自習屋in異世界  作者: 景鱗
7/9

6話


 老人の朝は早い。


 開店の準備をする。


 ばあさんに挨拶をした後、それぞれの部屋の掃除をする。


 掃除と言っても大したことはしない。


 ゴミ箱の中身を空にしたり、机を拭いたり、消臭剤を撒いたりするぐらいじゃな。


 向こうのお客さんの中にはこの匂いがいいという方がいたので好みの匂い付きアロマキャンドルを置いたりもしていた。


 因みにアロマキャンドルはわしのお手製じゃ。


 ばあさんから教えてもらった。



 表玄関の【close】を【open】にひっくり返す。


 何度も言うようで悪いんじゃが、この『自習屋』は日本(向こう)でも異世界(こっち)でも路地裏にある。


 見つけるのは容易ではないはずじゃ。


 知る人ぞ知る店『自習屋』なのじゃ。


 賑わう表通りなんかに作ると集中が途切れてしまうじゃろ?


 わしはひっそりと営む方が性に合っとる。


 こんな老いぼれにはたくさんお客さんが来ても対応出来んからの。



 お客さんが来るとドアベルが鳴る故、給湯室兼厨房に引っ込んどいても問題は無い。


 今日は本場ブラジルのコーヒー豆を使う。


 ブラジルと言ってもこちらには分からんじゃろうな……。


 ブラジルはコーヒー独特のほろ苦さが楽しめるコーヒーじゃ。


 市販のコーヒー豆と同じように長年やっている慣れた手つきで豆を挽いていく。


 店が始まってやる日課は一日の一杯を飲むことから始まる。


 中細挽きしたブラジルコーヒーをドリップで飲む。


 ほろ苦さがたまらない。


 ブラジルではエスプレッソの上砂糖ドバドバで甘くしてから飲んだ。


 入れ方が上手いと激甘でもスルリと喉を通った。


 わしができるのはエスプレッソまでじゃが、それでも十分楽しむことはできる。



 厨房でコーヒーを楽しんでいると、表玄関のドアベルが鳴りお客さんが入ってきた。


 第一お客さんじゃな。


 厨房の椅子から腰を上げ、受付に向かう。



「いらっしゃい」



 第一お客さんは白を基調とした学生服?を着た少々息が上がっている白髪のお嬢さんじゃった。


 ショートカットじゃが右側だけ胸程にまで髪を伸ばしている。


 眠たげな目でたくさんの本を胸に抱えている見た目高校生くらいのお嬢さんじゃ。



「ここはなんのお店?」


「ここは『自習屋』じゃよ」


「じ、しゅう…や……?」


「そうじゃ。勉学に励む者が集中して勉強できるための環境を与える場所じゃよ」


「勉強…集中……」



 手に抱える本を見るに勉学のものだと予想する。



「利用していくかの?」


「…うん。丁度勉強できる場所を探していた。いくら?」


「その前にここに手を置いてもらえるかの?」


「ここ?」



 頷いて手を置いてもらう。


 あのリットさんがくれた水晶玉である。


 転がり落ちんように細工をした。



◇◆◇


名前:ルル・アスト・ティーリアン

年齢:16


◇◆◇



 リットさんが言っていたように名前と年齢だけが表示される。


 名前が多少長いがリットさんにも苗字があったようにこの世界の者は苗字があるんじゃろう。


 平民だからと言って苗字がないわけではないらしい。


 向こうのお客さんの中に『らのべ』とやらが好きな青年から聞かされた話じゃと貴族にのみ苗字があるような口ぶりじゃったが、こちらにはそういうのはないらしいかった。


 あの後、価格設定はこうなった。


 向こうとこちらでは貴金属の価値が異なるらしく、12歳までは変わらずタダ、13歳から15歳までは銅貨10枚、16歳から18歳までは銀貨1枚、19歳から39歳までは銀貨3枚、40歳から99歳までは銀貨5枚、100歳以上は銀貨8枚じゃ。


 100歳以上の者がこの世におるのかと尋ねると、リットさん曰く100歳以上の者は長命種が多いらしいとのことじゃった。



「16歳なら銀貨1枚じゃな」


「…!!なんで私が16歳だってわかったの?」


「この水晶玉のお陰じゃよ。名前と年齢が分かるようになっておる。ワシの店は年齢ごとに値段が違う故な仕方ないのじゃよ。気を悪くしたらすまんの」


「名前も…。じゃあ……って銀貨1枚?金貨じゃなくて?」


「ん?銀貨じゃよ?こんな可愛らしいお嬢さんに金貨なぞ取らせんよ?」


「…そう。じゃあこれ」


「確かに。利用時間はどうするんじゃ?ほれ、これがカギじゃ」


「利用時間?」


「何時間でも借りれるが、ここは宿屋じゃないのでな。すまんが利用時間を設けさせてもらっとる。時間を教えてもらっておったらその5分前に利用時間があと数分じゃと呼びに行くぞ」


「成程…。じゃあ最初だし2時間で」


「2時間じゃな。注意点は二つ。何か飲み物が欲しくなったりしたら部屋にあるベルを鳴らすこと。お手洗いの位置は階段とは逆の通路の先にあることじゃ」


「分かった」


「部屋番号は101じゃのそこの階段の降りたすぐ右じゃよ」


「うん。ありがとう」



 これで一先ずかの。


 少女は急ぎ足で階段を下りていく。


 そんなに読みたい本でもあったんじゃろうか?


 まあ勉強するにも本を読むにも大切なことじゃ。


 わしもコーヒーを飲みつつ新たなお客さんが来るまで本を読むことにする。



 書き始めてから気づきましたが、コーヒーの入れ方とか知識とかめっちゃ必要じゃないですか。自分は好きではあるんですが飲み専なもので、詳しい方から見て手順に矛盾や間違ってんよ等ありましたら感想欄にお願いします。

 詳しく説明できないので入れ方等の説明は今回省きましたが、出来れば挿入したいので入れ方詳しく説明できる方は感想欄にお願いします。

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