プロローグ
景鱗です。書きたい小説を手あたり次第に書くだけ書いてます。
行き当たりばったりの上不定期投稿です。
よろしくお願いします。
現代において自習室とはすごく便利なものである。
受験シーズン、課題を終わらせる際、塾には必ずあり、図書室でも見かけるようになった。
時にはカラオケボックスやネカフェなど代用できる場所はある。
そんな中ある一人の老人は昔から自習屋として賃貸住宅業を営んでいた。
そのご老人の店には人が入っているのかいないのかは判らなかったが、ご老人はいつもにこにこして受付に立っていた。
俺はそのご老人の出すコーヒーが大好きだった覚えがある。
30代になったいまでもコーヒー好きが変わらないのはそのせいだろう。
ひっそりと町の中に佇んでいたそれは15年前の大地震と大津波によって跡形もなく流されたそうだ。
特別に親族に言い、葬式に出させて頂いたことが記憶に新しい。
あの人が今も生きていたならば自習屋は営業できているのだろうか。
年で引退していたかもしれないな。
もう一度あんたの入れたコーヒーが飲みたくなってきたよ。
比べ物にはならないがこの缶コーヒーで我慢してくれよな。
そうして俺は墓石を後にした。
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