10月23日
「はぁ、」
『動くな』
「えっ??」
『振り向くな』
「・・・だれですか??」
『そんなことはどうでもいい』
「・・・頭の後ろにある冷たい感触はなんですか??」
『銃だ』
「まじですか、僕何かしましたか?」
『いいから質問に答えろ』
「ごめんなさい、ボイスチェンジャー使ってるんですか?聞き取れませんでした」
『質問に答えろ』
「はい、わかりました」
『お前今、何をしていた』
「人を探していました」
『その人とは誰だ』
「妹です」
『妹?』
「はい、一緒にいたんですけど逸れてしまって」
『一緒に何をしていたんだ』
「なんでしょう、買い物ですかね」
『なんだその曖昧な答えは』
「妹が急に誕プレ買うから付いて来いって、連れてこられたんです」
『誕プレ?』
「誕生日プレゼント。今日、僕誕生日なんですよ」
『』
「どうしたんですか?」
『今、お前の妹もターゲットに追加した』
「妹に何する気ですか」
『さぁな、お前に言う必要はない』
「必要ならあるでしょう。兄ですし」
『ほう?言ったところでどうする。お前には何もできない』
「できますよ。少し、いや多少、抗うことくらいは」
『随分と妹思いなんだな。情報では仲は良くないと聞いていたが』
「そうですね、仲がいいとは思ってません。趣味は合わないし、文句も結構言うし、いつもイタズラの仕掛け合いばっかり。でも、」
『でも?』
「まぁ、大事なんですよ。たった1人の妹ですし。僕がイタズラしても何だかんだ許してくれますし。言ってくる文句も仕掛けてくるイタズラも大事なコミュニケーションだと思ってますよ」
『』
「ところでなんでボイスチェンジャーなんて使ってるんですか?」
『お前に言う必要はない』
「声バレしたらまずいってことなんですかね?」
『だからお前に言-』
「僕もちょうど欲しかったんですよ、ボイスチェンジャー。この前見た動画で使われてて、面白そうだなって」
『』
「だから、それくださいよ」
『嫌だ』
「嫌だってなんですか」
『どうしてお前にこれをやる必要がある』
「だってそれ、僕の誕プレでしょ?」
『』
「」
『・・・はぁぁ。ここまでかぁ』
「残念だったな」
『まぁいいや。まぁまぁ楽しめたし』
「そろそろその遊戯銃を僕の頭から離してくれない?冷たい」
『はいはい。じゃあはいこれ、誕生日おめ』
「おう、ありがとう」
『なにさ、今日は結構素直じゃん』
「お礼くらい言えるさ」
『・・・ちなみにいつ気づいたの?』
「最初から」
『』
「お前途中ちょっと照れてたろ」
『照れてねーし!』