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#8島津家との会談

内城に着いたところ、内城の門番達は敵であるはずの俺と味方がなぜか肩を組んで歩いているのを見て、妙に思っているようだった。

それでも、警戒心は緩めない。


「な、何者だ。」


何者だって、あんたたちが呼んだんでしょうが…しかも、噛んでるし。


「この人たちからあなた達の領主様から私を連れてこいと命令されたからなんですけど…」


「少し、待っていろ!」


そう言うと、門番は慌てて城内へと入っていった。ようやく、中に入れるよ。けど、どちらかと言うと、ここからが問題。現島津家当主島津貴久を説得しないといけない。


そして、ようやく門番が戻ってきたかと思うと、俺の手に縄を括り付ける。

あくまで、敵扱いということか…


「ついてこい!」


痛い、痛い。そんなに強引に引っ張らないでもらえますかね。この縄結構痛いんですよ。

そして、天守に連れていかれると、膝まづかせられ、周りの島津家の家臣たちに睨まれる中、ヒヤリとした時間を過ごしていた。


「殿の、おなーーーーーぁーーーりーー」


「島津家15代当主 島津 貴久たかひさである。お主が隈本を落としたというものか。」


「はい、そうですが...」


「にわかに信じ難い話だな。一体、どのようにして、たった一日で落としたか聞かせてもらいたい。」


待てよ...どうやって説明する。船で落としたって言っても納得するのか...


「えーっと…つまり、そのぉ...」


「何だ。説明できぬ理由でもあるのか?」


仕方ない、命には変えられないしな。


「実は私、南蛮船を持っていまして、海上から攻撃して、落としました。」


「ほぅ...南蛮船か。ではなぜ、城を落とす必要があった?それに、龍造寺家も絡んでおると聞いておるが?」


「はい、最初に私がこの地に着いた時に出会ったのが、龍造寺家の家臣でした。それからかくかくしかじかでして...」


「ふむ、なるほどな...で、お主は何をするのか?龍造寺と手を組んで、我らが島津を滅ぼすか?」


「滅相もございません。確かに私は一刻も早く九州を統一すべきかと考えています。が、あなた方が納得しないのも事実。そこで、私は九州の三大名である島津、龍造寺、大友で九州を三分割すればよいと考えます。」


「それで、他の家はどうする。九州にはこの三家以外にも阿蘇家など他にも豪族はいるぞ。それに、仮に我らが納得したとして、大友が納得するか?」


「三家以外の家は等しく分けます。まして、三国が同盟を結べば、そのような小さな家を従えることなど、簡単だと思いますが?大友家に関しては、先の戦で大友家に謀反を起こした者を捕らえております。」


「それだけか?」


「もちろんそれだけではありません。大友家当主大友宗麟は文化人と聞いております。私は商人ですので、明や南蛮のものはすぐに取り寄せることも可能かと、それに、島津が龍造寺と手を組んだとなると、大友家も二家と同盟を結ぶしかないと思いますが?」


「そうなると、大友家は前方に大内家と毛利家、背後に龍造寺と我々島津を抱えるわけか...てことは、同盟が成立すれば、大友家は大内と毛利だけに集中できる上に味方も得ることができるというわけか...」


「それに、島津家がこれにさんどうしかねて、大友家が賛同したとしたら...」


「我らは終わるというか!?」


「お主、我らが島津を愚弄する気か!!!」


いきなり、横に座っていた家臣が俺に斬りかかってきた。

やべぇ、調子に乗り過ぎた。さすがにこれは避けきれない。


「やめぇい!座らぬか…」


「失礼しました...」


「名を聞いてもよろしいか。」


「山田誠といいます。」


「では誠殿、我ら島津家はそなたの思惑に乗ってみようと思う。ただ、他の家臣が納得してない故、しばし、待ってもらいたい。必ずや島津をまとめて見せると誓おう。」


殿!?と島津家家臣団に動揺を与えたみたいだが、納得してくれて本当に良かったと思う。感謝です


「ありがたきお言葉。私、山田誠、心より嬉しく思います。此度こたびは、ほんのお礼の品です。どうぞ、お納め下さい。」


「では、頂くとするか。中を見てもよろしいか?」


「えぇ、どうぞ。」


「おぉー、これは南蛮から伝わっている鉄砲ではないか。他にもいろいろと… こんなに貴重なものもらってもよろしいのか?」


「ぜひ、島津様がお納めください。戦でいづれ必要となるかもしれませんので。」


「では、ありがたく。頂いてばかりでは申し訳ないから、誠殿の願いがあったら聞こうではないか。」


「では、『宿屋皐月』の人たちには手を出さないでください。私が捕えに来た時、かばってくれたので。」


「あい、分かった。わしも家臣が無礼をしたと思うておる。後で女将には詫びをしておこう。」


「ありがとうございます。」


「部屋を用意したのだが…泊っていくか?」


「申し訳ないんですが、宿をとってあります故。お気遣いありがとうございます。これにて、失礼します。」


俺は一礼して、一室を出ると、内城を後にした。


本当は、泊るところなんてないんだけど。でも、万一、一泊して夜中にでも襲われたらたまったもんじゃないからね。


結局は『宿屋皐月』でもう一泊することにした。女将さんたちにも今朝のこと謝らないとだしね。


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