#50 いざ、堺へ
山田家の評定が終わった数日後、いよいよ堺へと出立する日がやってきた。
「殿、それでは気を付けて行って来てくださいね。」
「あぁ、まさか家臣だけでなく家に仕える全員でお見送りとはな。」
「もちろんですよ、我々が仕える主の出立なんですから。」
にしても多すぎだよ、城内がほとんど人で埋められてるんだいなぁ。普通に生徒達まで着てるし。
「太平は少し調子に乗らないようになぁ!直茂よ~~く見張っといてくれ。あとそれぞれの城の改修も忘れるなよ。」
「お任せください、殿。」
太平は「そんなぁ。」とか言ってるが、無視無視。
「誠さん、行きますよ!!」
「おう!」
「誠さん」だって、グフフフ…なんかその響き良いな。奥さんみたいで。いや、俺の奥さんなんだけどね。
「錨あげぇい!出航準備!各員、所定の位置へ!」
今回、長門に乗員したのはたった300とちょっと、本来なら4倍近く乗る船員も高性能でほぼ、自動化された長門だからこそできる。そして、船員全員が所定の位置について誠の号令で、熊本港を出航した。
「マスター。本艦は一旦鹿児島沖に向かい、四国側から瀬戸内海へと入ります。途中までですが、レイが上空で護衛します。」
「了解した。瀬戸内海は島が入り組んでいて、波の心配はないのか?」
「そこらへんは大丈夫です。すでに海流など調べ済みです。ただ、ゼロの偵察の報告によると、海賊がうじゃうじゃといるそうです。」
確かに、海賊の動向は気になるな…瀬戸内海ということはかの有名な村上海賊だろう。
「海賊か…海賊の船のサイズはどのくらいだ?」
「本艦のサイズに及ばない小型船が数十隻とそれのふた回りくらいの船が2隻ですね。」
ということは、邪魔なのはその2隻か…
「殿?なぜ、海賊は海上を封鎖してるのですか?」
「まぁ、色々と理由はあるだろうが、奴らも生きていかないといけないからなぁ。」
「はぁあ…」
納得できないのも仕方ないよな。俺も海賊の気持ちなんてわからないもん。てか、わかりたくない。
まぁ、諸説あるんだが、通行料として金を払えば、通してくれるらしく、払わなかったら殺してでも積み荷を奪うらしい…
「でも、大丈夫だろう。そのために普通の船じゃなくて、この艦で来たんだ。目的はこれだけじゃないけどな。」
「堺の商人たちを驚かすためですか?」
「惜しいな。脅す意味もあるんだよ。」
「え?脅すんですか?」
「あぁ、堺というのは日本で一番といってもいいくらいの商業の盛んな街だ。周辺の戦国大名にも劣らないくらいの自治組織があるんだ。しかも、南蛮船も主にここを中心に貿易しているからな。」
「上手くいけば、堺での商業活動ができるとともに、南蛮ともできるかもしれないということですか。」
「そういうこと。ついでに、一応大名という身分も隠したいわけ。」
ほんとに、物分かりが早くて、助かる。今回は久しぶりに商人としての腕を振るうことになる。だから、今回は男の家臣は連れずに、万一の時のために、護衛として、莉奈と千を連れてきたということ。ついでに、商人見習いとして、明菜、梅、星奈、華、秋、杏実の6人を連れてきてある。うわ、今回久しぶりのハーレムう生活だな。
「誠さん、最近私の扱いが雑じゃありません?やっと、戦も終わって安心したと思ったら、またですか。やっと、二人きり慣れる時間が増えると思ったのに…久しぶりに、出番が来たのに。」
げ・・・すっかり、忘れてた。いや、忘れていたのは冗談だよ。最近、ほんとに戦ばかりで二人きりの時間がないから少しでも一緒にいれる時間を作れたらいいなと・・・
「まぁまぁ、絶対時間を作るようにはするから。そしたらまた、堺の街でデートをしよう。」
「絶対ですよ?絶対ですからね!それにしても、今回連れているの女性しかいませんよね?なにか理由でもあるんですか?」
近い、近いよ結月さん。そ、そんな目で見ないでくださいよ・・・
「マスターはハーレムとなっているこの状況を心の底から喜んでいます。」
「おい!こら、ナガト。そんなこといちいち言わなくていいんだよ。」
ほら、また私の可愛い可愛い奥さんである結月ちゃんが「ハーレムとは何ぞや?」っていう顔で見てるじゃないですか。いくら万能AIだからと言って、ほんとに人の感情まで完璧に読み取るのやめてもらえます??
こらこらこら、まぁた、余計なこと言って、あなた達協力関係でも築いてるの?てか、いつからそんなに仲良くなったの、ねぇ??
そんな誠の思いも天に通じることなくして、結月の尋問が始まった。結月といったら、ついには連れた来た部下300人を兵士とか言い出したからね。いや、間違ってはいないんだけど、だれから教わったんだよ。まぁ、教えたのが誰かわかってんだけどさ。大切な兵士だからね?
「マスター、そんなことはさておき、そろそろ瀬戸内海に入ります。夕刻までには、堺に着きます。」
「そんなことって・・・機関最大戦速、皆、警戒を厳にせよ。」
誠が号令を出して数分後だった。長門の電探に複数の点が現れるその後方に他の点とは少しばかり大きな点も・・・
「前方敵艦発見。小型の船30隻とその後方に二隻の船が・・・」
発見と同時に長門艦内に警報が鳴り響く。
「敵艦見ゆ。総員戦闘配置につけ。」
そして、今ここに日本で初めての海戦が行われることになる・・・
やっと、50話突破です。ここまでやってこられたのも皆さまの応援のおかげです。半年ほど、なかなか投稿できなくて済みませんでした。先日投稿した際、すぐに多くの人が読んでくれて、嬉しい限りです。これからまどうぞよろしくお願いします。高評価、ブックマーク登録をしてくれると、これからの励みにもなります。下手な執筆ですが、これからもどうぞ本作をお願いします。次回は1~50話までの人物&武器・城紹介です!