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#49 山田家の方針

「お主らに残ってもらったのはな、今後の山田家に必要なものを調達して欲しいんだ。」


「と、言いますと?」


「あぁ、今回相良家の所領が加わり、新たな城建設計画もできたとなれば、そこを治める者が必要だろ。」


「確かに今の家の人材じゃ足りませんね。」


「なるほど、我々に新たな人材の発掘をして欲しいと…」


「それだけではない。資源も必要なのだ。」


「資源ですか?」


「あぁ、例えばだが、石材や鉄だな。」

そう、今の俺たちにとって必要なのが、新たな人材の発掘と資源の確保が重要なのだ。


「では、殿。我らもどこかに進出するのですか?」

さっすが、直茂。山田家随一の知将なだけある。


「あぁ。その前にまず、これを見てくれ。ここが日本だ。」


「「え??」」

おいおいおい、目が点になってるぞ。まぁ、見せた人みんながそんな反応するからもう驚かないけどさ。


「まぁ、最初は誰でもそんな反応するわな。それでこれが日本とその付近の拡大した地図な。これが我らの勢力範囲だ。九州程の領地は持っているとはいえ、国内での勢力は弱すぎる。そこで、二人に考えて欲しい。この二つの地図を見たうえで、次に我々はどの勢力と地域に干渉するべきだと思う?」


「殿。一つ聞きたいことが…それは国内、国外どちらですか?」


「直茂殿。それも含めて考えろとのことではないですか?」


「直茂、そういうことだ。晴弘は我らより長い生きた経験から、直茂はその鋭い着眼点から二人の意見を聞きたいのだ、理由も含めてな。」

誠が二人を残したのには理由がある。自分の配下の中で秀でた能力を持つであろう二人であり、これからも誠を支えてくれる最重要人物でもあるのだ。


「「決めました。」」


「それじゃあ、一斉に指さしてくれ。」

二人がそれぞれ指さしたところ、それは・・・


直茂はフィリピン

一方で晴弘は、蝦夷、今の北海道だ。


さすが二人共、なかなか良いところに目を付ける。


「では理由を言ってみてくれ。まず、直茂から。」


「はい。私がこの地域に目を付けたのは、我らの領域の台湾と近いことです。さらに領域を広げれば、貿易などの幅が広がり、我らに利益をもたらすでしょう。ただ、そこは我らにとって未開の地、ということが不安点です。」

うむ…まぁ、筋はそれなりに通っている。しっかりと不安点をあげられてるところもさすがだ。だが、違うんだよ、直茂。そのまま、晴弘に目線を移し、発言を促す。


「はい、私がこの領域に目を付けたのはまず、国内であること。貿易などに関しては直茂殿と同じ考えです。それから戦のことを考えると、我らは現在、島津、龍造寺、大友と同盟を結んでいますが、裏を返せば、同盟が切れない限り、この九州では領地を増やせないことです。」


「他に領地を持とうとすると、飛び地になってしまい防衛面で不安が残ります。なので飛び地でもあまり勢力のないこの蝦夷を選びました。不安点は遠いというところですかね。」


「まぁまぁ、二人共及第点ってところかな。着眼点としては本当に申し分ない。だが、二人の策は、我々がやる()()ではないことだ。では、正解を言おう。正解はここだ。」


「「え??殿、本当にここですか?」」


誠が指さしたところ、それは戦国時代日本の商業の中心地だった堺だった。


「まさか、堺に進行するつもりですか?」


「俺は戦をするとは一言も言ってないぞ。二人共、その考えがまだまだだ。それから二人が指した地域に関していうと、まず直茂。その地域はな南蛮の国の領域なんだ。今我々に南蛮と対抗できるには力不足だ。一番、生きて行くうえで必要なのは情報量だ。情報が多いものが勝つ。それをこれから学んでいこうな。」


「そして、晴弘。領地を増やすことと戦をすることばかりを考えすぎだ。戦をするということは我々も犠牲を払うことを忘れないで欲しい。人の命は敵も味方も無限ではないのだ。もちろん、自分たちを守るためには時にはしないといけない戦もあるがな…」


平和な世界でずっと生きてきた誠だからこそ、この時代に来て、いろいろ学んだこともあった。九州に平穏をもたらすためとはいえ、龍造寺家に肥前統一の手を貸したことと島津家を滅亡させないために、阿蘇家などと戦をしたこと、それはつまり人の命を奪ったということ。


「我々は人の命の上に立って生きている。人にはそれぞれ家族や友人がいたかもしれない。戦をした時点でそれらを我々は奪ってしまったのだ。同じ民族なのだから、できるだけ争いをせずにしたい。少々考えが甘いかもしれんが、これが我が家の方針だ。」


「はっ。私こそ失礼いたしました。だから、殿が相良家を滅ぼさず、そのまま家臣にしたのも分かった気がします。」


「私もそんな殿とこの家を支えれるようもっと教養を身につけねば。」


「あぁ、頼んだぞ。」


「それはさておき、何のために堺に。それに、いかにして堺まで?」


「もちろん、商売をしにだよ。そこで二人の人物を探す。行く方はゴニョゴニョ・・・」


「なるほど、それは面白い行き方ですね。ですが、道中特に気を付けないとですよ。」


「あぁ、その辺は大丈夫。訓練も兼ねて、兵300人と結月、莉奈と千、商人見習いとして梅と秋を連れて行くつもりだ。」


「くれぐれも身分がばれないように注意してくださいね。」


「あぁ、それはわかっている。その間守りは任せたぞ。何かあったらすぐに連絡をくれ。」

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