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#48 山田家評定

予想外のことは起こったけど、相良家の力を吸収することはできた。あとは今抱えている問題と新たにできた問題、これを洗い出さないといけない。


「此度の戦でようやく、ほぼ九州全土に平穏がもたらされた。しかし、未だ問題は山積みである。まずは晴弘さん、あなたの元領土で、問題を教えてもらいますか?」


「はい。まず、我らの民は先の戦で兵を多く失ったことも含め、民にも相当な負担をかけたので、国力自体低下しています。」

まぁ、無理もない。もちろん、戦を仕掛けた相良家が悪いのだが、仲間になった以上、もうこれは家の問題だ。それならば、国力自体が低下しているとなると…


「必要なのは金と人材か…」


「はい…」

皆が下を見ている。確かに、家臣とはいえさっきまでは敵であったからそう易々とは判断できない。国力が回復した時に裏切られる可能性もあるからだ。それに、家の家臣も納得が行くわけがない…


「殿、提案がございます。殿は裏切りの可能性のことを考えていらっしゃるのでしょう。」


「あぁ、まぁな…晴弘さんには悪いが、ないとは言えないからな。」


「いえ、誠殿。そう思われることは仕方がないと思います。なので、私はどんな処罰でも甘んじて受け入れます。」


そこまで言われたなら、気は抜けないが信じるのもありか…けど、罰は与えないと意味がない。それならば…


「わかった。それでは晴弘さんの子義陽と奥さんはあくまで人質として熊本城に、相良家元家臣犬童頼安も熊本城に。晴弘さんと残りの家臣は人吉、佐敷を没収した上で、鍋城を統治してもらう。」


「わかりました。それで問題はありません。」


でも、これだけではダメだ。家臣たちに溝ができてしまう。それではいずれ山田家も廃れるかもしれない。


「それから、これからは皆で協力して行うことだ。島津家との領土の境の件で、天草の上島、下島、獅子島と御所浦島が家の領土となった。そこで、天草の上島、下島、そして人吉と熊本の間の八代に新たな城を、そしてそこの民衆の統治だ。」


「しかし、殿。相良家領土の回復に金を使うのに、新たに3つの城を建てるのは金銭的にも…」


直茂、痛いところをついてくる。でも、天草だけは早めに介入しておかないと一揆でも起こされたらたまらないからな。まぁ、徐々にということで。


「もちろん、わかっている。だからこれは後々でいい。ただし、優先事項ということを各々が理解しておいてくれ。」


「「「はっ!!!」」」


最初の方は、支出が大きいのは仕方ないが、収入ももっと増やしたいところだ。領地や仲間が増えるのはいいが、ほんとにこれ以上の支出は避けたい。


5、6年を目安に、将来的な収入を増やす投資をしないといけないな。とりあえず、今は元相良家領地は晴弘さん達に任せて、熊本城の改築工事と特産品となる輸出品の開発が必要になるのは間違いない。


「さて、()()は九州に平穏がもたらされたが、この戦のない間に我が国も力を蓄えるために、金が必要である。そのためにはやはり明や他の国との貿易が必要不可欠である。何かこの品物は良いというアイディ…いや、考えはないか?」


「誠殿の城下を今回視察して、変わった料理がたくさん見られましたが、それではどうでしょう?」


なるほど、料理か…確かに、良いアイディアだけど、作れる作物とかないと無理なんだよな。長門の食料庫から回してるから作れているだけで、なくなったら、おしまいなんだよな…ん?


「そうか、その作物を作ればいいのか!後は…」


「殿、そろそろ休まれてはいかがですか?皆様も軽くご飯でも…」


料理、それらを作るための作物、作った料理を乗せる皿…


「でかしたぞ、結月!」


「へ??」


「殿、何か閃いたんですか?」


「これだよ、これ。」


誠が指差したもの、それは結月達が持ってきた茶碗だった。そこから誠は説明した。誠の作る料理に入っている具材は、今日本では栽培がされてない物が多いこと、それと料理には皿というものが不可欠なことを。


この戦国時代、誠達のような城主や重臣達は下手すれば、一国を買えるかもしれない陶磁器などを使っている。しかし、大衆にはどうだろうかと…誠の治る地域には身分差がないとはいえ、格差は依然として解消されていない。ということは、殆どの大衆が粗末な器しか使っていない。


「ということは、それを大量生産すれば…」


「安くて、大量に売ることもできる。」


「そう!作る材料も比較的、集めやすく、後は場所さえ確保すればいい。」


「殿、あの船にあった透明な容器も作ることも可能になるのでは?」


「あぁ、それも可能になる。」


「もしかすれば、あの大国明や南蛮を驚かせることができらやもしれませんな!」


「そうだな!ということで、それぞれの作物に育てやすい環境とかのった本を渡すから、それぞれ、この地にあった作物を育てて見てくれ。」


「「「「は!わかりました!」」」」


こうして、誠は各々に役割を配分し、直茂と相良家を残して、一旦の評定に幕を下ろした。

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