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#47 相良家の来訪

遅れて申し訳ないです!久しぶりの投稿となります

「これが、山田家の治る肥後国だと言うのか…」

ここ半年で、誠の治める熊本・御船城城下は栄えていた。座を廃止したおかげで、商人たちが行き来するようにもなった。これでも半年前に比べれば、だいぶ栄えていたのだ。


「それになんだ!あの海に浮いているものは⁉︎」


「あれは船ですね。」


「あの大きなものが船だと⁉︎あの鉄の馬にも驚いたが、一体なんなんだこの国は…」


「まぁ、それは()()()ですが…」

言えるわけがない、未来からやって来たなんて。それにその知識を使ったとも…


「相良殿、この国はそれだけじゃないぞ。なんとな、誠殿は自ら料理も作るんだぞ。」


「今は料理人に任せていますけどね。」


「そのようなことまでやっているのですか…」


ここに来てから相良家一行は誠の力に圧倒され続けた。見たこともない品の数々、近代的な武器、そして何より領民の見たことのない笑顔。それらが今回の戦の敗因は島津に負けたのではなく、島津を支援した三国同盟、さらには誠に負けたのだと思わせた。誠と戦と考えただけで、その頭には相良家滅亡の五文字がよぎった。


「本日は疲れましたでしょう。相良家一行はこちらでお休み下さい。あ、隆信さんも。」


「相良殿、安心せい。何も起こらんよ。」


「それでは…休ませていただきます。」


「では、私ははこれで…」

相良家は用意された部屋に戻ると、早速会議を開いた。一方、誠は相良家の接待が終わると、急いで城内へと戻った。まぁ、それも理由があるのだが…


「お、おい、莉奈か千はおらんか?」


「殿、ここにおりますが…」


「おぉ、莉奈!ちょうど、良いところに。」


「そんなに慌てても、奥様は相当お怒りですよ。」


「やっぱりかぁ…」

誠が急いで戻った理由、それは結月に言うと約束したにもかかわらず、結月が目を離した途端、何も言わずに島津の援軍に向かったことだった。


「奥様の言い分としては、見送りくらいさせて欲しかったそうですよ。」


「……」

それを言われてしまってはもう何も言えない。


「殿は奥様のこと愛されてるんですよねぇ。」


「あぁ、もちろんだ。あ、愛しているよ。だから今回のことは申し訳なく思っています。」


「だそうですよ、奥様。殿も反省しているようですし、許されてはいかがですか」


「え?」

ひょこっと隙間から現れた結月は悲しげな表情で出てきた。一方で、誠はついさっきの言動があまりにも恥ずかしくなった。


「殿…今回がほんとに最後の最後ですよ!」


「はい!」

それから二人で寝室へと戻ると、そこから数時間、結月の説教をひたすら受けた誠であった…


翌日、昨晩夜通しで説教を受けていた誠とは違い、会議をしていた相良家がお目通りを願ってきた。


「殿、晴弘殿がお目通り願いたいとのことですが、いかがいたしましょう。」


「もちろん、通していいよ。」


「その際、殿の家臣も参加させてもらいたいそうです。」


「ん?まぁ、それは別に構わないけど…それじゃあ、御殿の間に通しといて。」


「はっ、かしこまりました。」


敵方の家臣を集めて何をしたいのか、疑問に思ったが、とりあえず家臣一同集めた。


「此度は肥後招待してもらいありがとうございます。」


「まぁ、そのような堅苦しい挨拶は置いといて。晴弘殿、はてどのようなご用件でしょうか。」


「今回家臣一同、この城下を見せていただき、私供相良家一同は従属などではなく…」


「誠殿、家臣として仕えたいと存じ上げます。」


「・・・はぁぁぁぁぁあ!!!」


「ち、ちょっと待ってください。従属じゃなくてですか?」


「はい、もちろん帰城してから他の家臣も納得はさせます。」


「い、いやそういうことではなくてですね…あぁー、

なんといいますか。」


「あのですね、今まで敵対していたのに、それをいきなり家臣に迎えるなど、むしろそっちの方が私達にとって危険なんですよ。」


「それはごもっとかと…ですが、それを承知の上でお頼み申しているのです。」


深々と頭を下げている相良家一同を見て困り果てた誠達。余りにも予想だにしない返答だったため、戸惑うのも無理はない。てっきり、YesかNoの二択かと思っていたら、まさかの誠達の斜め上を通り越してきたからだ。


「なぜ、そのような思いに至ったかお教えしてもらっても?」


「はい…実は最初、誠殿の噂を聞いた時は正直なめていました。中には信じられない噂まで…」


「まぁ、本当なんですけどね…」


「いえまぁ、先の戦での大胆不敵な策やこの見たこともない城下の賑わいを見てからです。あの噂は真実だと…」


「正直、私としては従属で良かったのですけどね。わかりました!相良家一同、家臣として召しかかえよう。」


「「と、殿!」」


「うむ。お前達の言い分もわかる。だが、家臣不足なのもまた事実。相良家が己の恥と分かっていながら、こうやって、未熟な私に頭を下げている。ここは彼らを信じようじゃないか。」


「誠はそれで良いのだな?」


「はい、大丈夫ですよ。」

隆信の答えに誠は笑って返してみせた。誠の意を汲んだ隆信は誠の家臣に「お主らの当主を信じてやれ。」と言ってその場を諌めた。


「それでは、これより山田家評定を行う!」

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