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#40 台湾遠征

貿易外交から二日後、琉球王からの依頼により倭寇の拠点台湾を制圧のため、琉球船百隻と長門は台湾へと向かった。長門は倭寇船に警戒しつつ、速力10ノットで進む。琉球船にはこの速さが限界なのだ。そして、長門の周りを囲むようにゆっくりと進んでいった。


「おい、お前達。少し耳を貸せ。」

呼ばれた三人は艦橋で、一枚の地図を広げられる。


「これが、台湾ですか。」


「あぁ。だいたい九州と同じ面積だな。」


「そんなに、あるのですか?それでは我らには統治が難しいのでは?」


()()()。琉球王が力を貸してくれるというから、私も受けたんだよ。それに、この島はほとんどが山だ。ましてや、明にも近い。」


「そうですね。今は損するとしても将来は役にたつやもしれません。」


「それでだな。この前も言ったが、この地を砲撃するつもりはない。こちらに向かってきた船のみ撃沈させる。」


「はい。」


「それで、お前たちは各隊を率いて、制圧しろ。ただし、殺すなよ。」


「殺すなとは、殿も難しいことをおっしゃる。」


「いや、お前達ならできると信じているからだよ。」


「「「殿……」」」


「わかったら、作戦だ。俺たちはこの島の南から上陸し北まで行く。この先のことは後から考えよう。」


「わかりました。では、準備に取り掛かります。総員、戦闘配備!到着まで各自、警戒と準備を怠るな。」

赤崎も鑑周もすっかり山田家の一員。誠の心内を知ってから、さらに。今回、制圧するのは台湾。清王から聞いたところによると、台湾とは原住民の言葉で、ダイオワン。つまり、『来訪者』や『海に近い地』という意味があるそうだ。今回はその現地住民との協力を経て、台湾の台南・台中・台北の倭寇各拠点を抑える。


「誠殿、ちょいとよろしいか?」


「はい、なんですか?」


「こいつは儂の次男坊でな元と申す。よろしくしてやってくれ。」


「はぁ……」


「それから、協力者の話なんだがな。どうやら、山の方にいるらしいんだ。だから、どこかの拠点を落とさないといけない。」


「わかりました。」

ウーーーーウーーーー。


「な、何ですか?この音は?」


「警戒音です。どうやら、敵さんこちらに向かってきているみたいですよ。では、私は指揮に入りますので。対水上戦闘用意!右舷90度、12.7㎝副砲よーーーうい!」


「マスター。敵船、射程内に入りました。琉球船、本艦から離れます。」


「よぅし!、副砲、撃ちぃ~かた、はじめ!」

誠の発言にナガトが復唱し、ボン、ボン、ボンという音が鳴る。


「敵船、なおも接近中!」


「単装・連装機銃、撃ち方始めぇ!」

ババババババババと今度は小さな弾が連続で敵船目掛けて、向かっていく。そえは、小船に穴をあけるだけでなく、人まで落としていく。そして、すぐさま全部の船を沈み終え、台南に上陸。先程、攻めて来たのはここからということもあり、倭寇は誰一人いなかった。


「まずは、この拠点としている集落を探索しましょう。その間に、息子に協力者を呼びに行かせます故。」

『わかりました。』と伝えると、誠達は直ちに、探索に入った。探索に入ると、集落らしき物が見えてきた。その家々はどこも無人で、普通の農家の家とあまり変わらず、普通の生活様式を営んでいたみたいだった。


「殿ぉ~~~~!」


「どうした、赤崎。何かあったのか?」


「この集落の離れに大きな小屋がありまして……こんな物がありました。」

誠は赤崎からその物を見せえもらうと、現場へ急行した。何か胸をえぐるような感触が胸の内に残った。


「な、なんだ、これは……」

その離れに到着して、ドアを開けると、そこには放り投げられていた縄や鉄の鎖のようなもの。赤崎が持って来た赤くなった布切れが破られたようにあった。


「と、殿。これは……」


「赤崎、太平。お前たちは、急いで斥候隊を編成、鑑周は清王を呼んできてくれ。」

それから、間もなく清王が到着した。それと、同じくして、元が協力者らしき爺さんと男たちを連れ、やってきた。赤崎、太平はそれぞれ100の兵を率いて偵察に行った。


「私はこの地の村長の(りー)です。この度はわざわざ遠い地から助けていただきありがとうございます。」


「こちら誠殿です。倭寇から救った暁にはこの地を治めてもらいます。」


「それはそれは、領主様ですか。何卒よろしくお願いします。」


「えぇ、こちらこそ。まず、この惨状をお聞かせ願えますか?」


「はい……」

その李村長は事の顛末を話した。倭寇の連中がやってきた時、武力でこの村々を支配してきたそうだ。村の男は抵抗したが、武器がなくては勝ち目がなく、あっさり負けたという。それから、女子供は皆連れていかれ、村の男たちは山に隔離されていたらしい。


「わかりました。今、斥候を派遣しておりますので。すぐさま、向かいますね。鑑周!」


「はっ。兵ですよね。もうすでに準備はできています。」


「さすが、では行くぞ。」


「ありがとうございます。」

誠と鑑周は900の兵を率いて、急いで台中・台北へと進軍した。途中、赤崎斥候隊から連絡が入り、敵は上陸されたことを知っており、すでに集落にて武装警戒中とのこと。


「わかった。赤崎隊に伝えてくれ。そのまま集落の離れいを探させろ。そこにいる人たちを保護しろ。」

誠はそう伝えると、ゆっくりと近づき、まずは警備にあたっていた兵を倒し、自分の兵を集落の中に入れると、赤崎隊の保護が取れるまで、建物の陰にその身を潜めた。


「無事、保護したそうです。」


「よし!全軍突撃ぃいーーーーーー!」

急に建物の陰から現れた兵に倭寇の連中は驚き、慌て始めた。そこに誠は容赦なく、射撃を始める。自分でも分かるくらいに誠は逆上していた。逃げ惑う倭寇に追撃を加える。そして、倭寇が逃げた先には既に包囲完成させていた赤崎隊がおり、挟み撃ちにされ壊滅。生き残った捕虜を台南から台中に向かっている清王に送った。


「殿。怒っていらっしゃいますか?」


「あぁ。反吐がでるほど胸糞悪い。」


「その怒りは今は抑えてください。そうしないと、今の殿は無抵抗の敵まで殺してしまいますぞ。」

バシャッと水をかけた鑑周は自分が殺されるのを覚悟して、誠をなだめる。


「な、なにを・・・す、すまん。」


「いえ、落ち着けばいいのです。某もやりすぎました。」


「いや、いい目覚めだったよ。これは戦だものな。これくらいのことは起こるはな。」

冷静さを取り戻した誠は、すぐに次の作戦へと移行するよう自分の頭を切り替えた。


「あ、あの……母と妹はどこですか?」

保護した人に食事を与えていると、誠達のそばに一人の女性がやって来て言った。最初はなんと言っているかわからなかったが、清王が到着して通訳してもらうと事の内容が分かった。誠はここを赤崎隊に任せ、長門に残りの兵を台北港に向かわせ、残りの軍を上陸させるよう指示、急いで、清王と台北に進軍を開始。


「殿。琉球軍も着々と包囲を開始し始めました。」


「よし、徐々に縮めていけ。気づかれないようにだぞ。」

そして、誠達はその包囲網をどんどん小さくしていった。それこそ敵に気づかれないように。各兵を建物や物陰に配置を完了させる。そして・・・


「手を上げろ。もう、お前たちは終わりだ。そのまま、武器を捨て投降しろ。」

まぁ、常套(じょうとう)手段だが、試してみるしかない。でも、こういう時って、だいたい抵抗するんだよなぁ。


案の定、的中。包囲されて、もう後がないと踏んだのか全員で飛びかかってくる。誠は『撃て。』とだけ命令した。そして、台湾の倭寇勢力を制圧した。無論、飛びかかってきた兵士は足を狙って撃ったので、怪我だけで済みました。あの母子も無事に再会を果たすことができました。


後日、誠は台湾の民に台湾全土を統治することを宣言し、これを領土とした。李村長にはあとから自分の家臣を派遣することを伝え、村の復興に努めることを約束した。こうして、無事に倭寇勢力を制圧した誠達は、一旦琉球へと戻り、そこから熊本城へと帰還した。

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