#4 隈本城攻略作戦
さて、長門に戻ったはいいが、本当に一人で行くことになってしまった…
落としたら、すぐに知らせろと言われたけど、どうしたものか…
とりあえず、
「出航!目的地隈本城沖沿岸地域、錨あげぇーーーい!」
カラカラカラ・・・・・・ガチャと音を立てながら錨が戻っていく。
「目的地まで30分で到着します。」
その間に、隈本城についてちょっと調べますか。確か、書庫にあったはずなんだが…あった。
隈本城、菊池氏によって建てられた城で、現在は大友義鎮と敵対している菊池義武が奪還して、大友家の塩市丸派の家臣達もいるという。これだけの城、艦砲射撃で粉砕なんだが、壊してしまってはもったいない。それに、民衆に被害が出てでもしたら、民衆の心はすぐに離れていく。ということは、俺がやるべきことは、大友義鎮軍が来る前に、無傷のまま隈本城を開城し、敵を捕らえることか…これ、あまりにも無理難題すぎじゃないですかね?
とりあえず、この船が見えたらあっちの人達も驚いて逃げるだろうし、降伏を促す方向で、それでも聞かない場合は容赦なく艦砲射撃を喰らわせますか!さて、山田誠の初陣とくと、ご覧あれ!
「ついたな。ここが肥後か。のどかな場所だな。」
よし、気楽にいこう。大丈夫、俺ならいけるさ!でも、少しドキドキしてきました。
「全砲門、隈本城に向け、回頭!」
「あ、あ、あーー!マイクのテスト中、マイクのテスト中。よし!えーー私の名は山田誠。貴公らは包囲されている。総攻撃を受けたくなければ、即刻降伏しなさい!」
シーーーーンと辺りが静まる中、なかなか返事がしない。何も返事がないってことは降伏しないってことか。
城下町辺りが騒がしいな。
きっと民衆が慌てふためいているんだろう。
「第三、第四砲塔、撃ち方始め!」
爆音を鳴らす長門。初弾は隈本城目掛けて、飛んでいき、そのまま直撃。続けて、第二射を発射する。これまた、直撃。
あちゃーーあれ、燃えてますね。
少々やりすぎました。
さてと、乗り込みますか。
俺は小舟を出して、隈本城へと向かった。
さっそく、隈本城下に着いた俺は、周りが逃げ惑う人混みをかきわけながら、進んで行く。
「山田誠である。降伏勧告をしに来た。兵は直ちに武器を捨て、投降しなさい。そうすれば、命だけは助けてやろう。」
城門の兵士が火縄銃をこちらに向けてくる。
「10秒やろう。降伏しなければ、また、あの火の玉が飛んでくるぞ。」
城門の兵士はあの船の持ち主が誰か分かったのか、腰を抜かして、武器を捨てた。中に入ると、気絶した兵士ばかりであった。幸いなことに、燃えていたのは、一時的なものであったようで、命中した所にも人は居なかったらしい。
そして、城内をあちこち見回っていると、複数の鎧刀を身にまとった侍が襲い掛かってきた。
「おりゃああぁ!」
「おっと、それ危ないから振り回すなよ!」
切りつけてきた剣を避けて、自分の剣の鞘をみぞおち目掛けて打ち込む。
戦闘っこんな感じか、剣で斬られたら、一発ゲームオーバーだな。
できれば、もう襲われたくないな。さっそく、城内に入るか。
しかし、誠が城内に入るまでに20人ほど襲ってきたのだった。
城内に入って、、上の階段を上がっていくと、途中途中に、砲撃の後が…
そして、最上階の大きな広間に出ると、そこには、立派な鎧兜を腕組みをして座っていた。
「お主、何者か?」
「山田誠と申します。この城を攻めに来たものです。」
そういうと、横にいる家臣らしき人が刀に手を添えて、今にも抜こうとする。
「お主が、あの大砲を…」
「あなたはどなたですか?」
「この城の主、菊池義武じゃ。では、誠とやら、ご覚悟!」
義武とその横にいた家臣がいきなり斬りかかってきた。
俺は、刀を抜くのは間に合いそうになかったので、小銃を取り出し、各々の足を狙って撃つ。案の定、撃たれた足を抑えながら、その場に倒れた。君達には生きたまま大友義鎮に引き渡さないといけないからね。
俺は今のうちに、襲ってきた二人の手と足を縛って、尋ねた。
「お主は一体、何者だ。」
「ただのはがない商人ですよ。ところで降伏してくれますね。」
「降伏はせん。嫌ならこの場で殺せ!」
「残念ながら、私はあなた達を殺す気はありません。このまま大友義鎮殿に引き渡します。」
当然の処置だよな。命がいるだけで、マシだ。まぁ、大友に引き渡した後、どうなるかは知らんけど。
「義鎮の差し金か…」
「いえいえ。私が個人の意思でやったまでてす。」
「な、なんだと。一体何が目的でこのようなことをする!」
「それはお教えすることは出来ません。それでは、失礼。」
菊池氏にそう告げた俺は、そのまま地下牢へと連れていった。