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#31 肥前平定 第五陣

松浦氏攻略戦から一夜が明け、敗北した松浦隆信は自刃してしまい、平戸松浦氏は実質滅んだ。鼻繰城は龍造寺家の家臣が配属されることとなった。捕らえた遠藤但馬守とその配下赤崎伊予は一対一の勝負で負け、さらに主君えお失ったこともあり、誠の配下となった。円城寺殿もその方がよいだろうとのことだそうだ。


「これより、誠殿。我が主として儂とその配下をよろしくお願いたします。」


「あぁ。それにしても、一対一とはいえ、小銃はずるかったか。」


「いえ、あれは儂が油断したのが悪いのです。」


「そうか、わかった。我が城に帰ったら、稽古を頼む。恐らく、お主が私の配下で年配だからな。まだ、足は痛かろう。今日はここでゆっくり休め。赤崎とやらお主もよろしくな。」


「はっ。」


「ありがたきお言葉。この救ってもらった二度目の命、殿のために一生を尽くします。」

その言葉を聞くと、誠達は鼻繰城を松浦親に任せ、出陣した。千々石氏の方は未だ有馬氏の援軍が大筒を構えており、常に臨戦態勢とのこと。隆信は、円城寺隊の松浦氏攻略を待って、同時に攻め入ることを決定した。


「誠、こちらも大筒の準備は完了か?」


「はい、十門全部大丈夫ですよ。」


「殿からの連絡では、有馬氏の大筒隊を先に破壊してほしいとのことだ。頼むぞ。」


「任せてください。」

隆信の援軍として、千々石氏討伐にやってきた誠達は、背後から有馬氏援軍を攻撃。背後からの攻撃を受けた有馬氏援軍は大筒を使うことなく、壊滅、撤退した。有馬氏の援軍を破ったことを知った隆信達は、そのまま千々石氏のいる居城に突撃を開始し、千々石直員(なおかず)の討ち死にをもって、降伏。釜蓋城は龍造寺の手に落ちた。


「いやぁ~~~、誠殿。助かった。さすがに大筒に出てこられては、こちらは兵を無駄死にさせてしまう故、何もできなかったのじゃ。それを誠殿ときたら、大筒を用意するんだからのぉ。」


「いやぁ、大筒には大筒をと思いましてね。それに、敵の大筒も無傷で手に入りましたし。」


「そうじゃな。計十三門。これだけあれば、作戦も容易になる。ところで、円城寺はどうじゃった?迷惑かけて、おらんかったか?」


「と、殿…」


「はい!松浦氏を倒せたのも円城寺さんの豪傑さあってのものです。」


「ま、誠…」


「でも、作戦も練らずに無闇に突撃するのはやめてデス。欲しいですね。おかげで、初戦は苦労しましたよ。」


「誠殿。それについては私も同感です。」


「はっはっは。そこは儂も直して欲しい。」


「こ、こら誠!それに、清房や殿まで……ㇳㇹㇹㇹ」

こうして、合流した誠達と龍造寺は快進撃を続けながら、次々と肥前の城を落としていった。山田・龍造寺連合軍は次なる作戦に向け、大村氏、有馬氏の領域に複数の斥候隊を放った。一方でその頃、その情報は日野江城にいる有馬晴純にも伝えられ、自分の息子である大村家当主大村純忠に密書を送っていた。


「このまま進軍し、大村氏を攻略する。斥候隊の報告を聞くまでは動かないが、とりあえず鉢巻山に布陣する。」


「殿。有馬氏の援軍に備え、こちらも味方を揃えては?」


「こちらに(なび)く者などおるのか?この地域には龍造寺の影響が出る大名はいないはずだが……」


「いえ、調略しだいですが、いますよ。ここです。この高城城にいる西郷氏です。近頃は大村氏とも争っていると聞きます。本領安堵する代わりに龍造寺家に服属することを条件にすればよいのでは?」


「それだと、平定が終わった時に、裏切るやもしれん。」


「では、どうします?攻めますか?」


「いや、まずは、大村氏を討伐次第で決めてもらおう。それで、高城城・沖城以外の城を明け渡させる。それで、調略を開始してくれ。」


「まぁ、随分と厳しい内容ですね。ですが、やり遂げて見せましょう。」


「頼もしいですね。」


「あぁ、そうじゃろ。でもお主にも直茂がおる。あやつは父よりもでっかい男になるぞ。まぁ、それを良くするも悪くするもお主次第じゃがな。はっはっは。」


「そうですね。肝に銘じておきます。」


「よし、そうと決まれば、現地まで急いで出陣だぁ!!」

鉢巻山を目指して、出陣した総勢15,000の連合軍は早々と向かった。現地に着くと、早速布陣を開始し、兵には昼食をとらせ、斥候隊の報告を待った。すると、夜分遅くに斥候隊が帰ってきた。斥候隊の報告によると、有馬家はここで、龍造寺の軍勢を止めるべく、それなりの軍勢を送ってくるらしい。


「ようやく、戻ってきてこれだけか……」

でも、この情報を知れたのは大きかった。大軍勢を送ってくるとなると、ここで、叩き潰せば商機が見えてくるかもしれない。


「あと、これは噂なのですが、有馬氏が他の九州の大名に密書を送ったのと…」


「どうしてそれを早く言わない!!」


「も、申し訳ありません!」


「殿、困りましたね。」


「あぁ。これ以上兵が集まると厄介じゃぞ。」


「あぁ、大丈夫ですよ。援軍はこさせません。海路に、陸路どこも封鎖してますから。そう易々と、援軍は来ませんから安心してください。」


「本当か??それは安心だ。いやぁ、やはり、同盟を結んでおいて正解じゃったのぉ。」


「はい、同盟大名に一応気を付けるよう言っておきます。」


「あぁ、頼む。」

誠はナガトに連絡して、天草~島原間の海上封鎖、熊本城・御船城に厳戒態勢をとるように指示した。誠の使える武器で全力で警戒に当たる。

そして、明朝。有馬氏の援軍が来る前に大村氏を倒すべく、いよいよ動くこととなった。


「とりあえず、今富城・好武城を取り囲みましたが、動きは全くありません。」


「ちっ。こうしてはおれん。ぐずぐずしていると、援軍が来てしまう。少々手荒だが、誠殿頼む。」


「わかりました。全門砲撃よ~~うい!!城門を狙え!いくぞぉ!撃てぇぇえ!」

そして結果、数時間でどちらの城も落ちた。二つの城を任されていた峰弾正と一瀬半右衛門は直前に、残りの兵を率いて、三城城に撤退した。


「そのまま進軍するぞ。大村氏に勢いずけさせるなぁ!」


「殿ぉ!有馬家の援軍が到着したとのもよう。三城城城下にて大村・有馬連合軍総勢7,000の軍勢が布陣しているとのことです。」


「わかった。思ったより早かったな。西郷氏の調略どうなっている?」


「いえ、まだです。」


「わかった。とりあえず、近くまで寄せるぞ。」


「はい!!」

三城城近くに布陣した敵軍向かい合うように、布陣した味方の軍は数時間、張り詰めた空気の中対峙しあっていた。


「殿ぉ~~~!清房殿が戻ってきました。」


「隆信様!今、戻りました。西郷殿は三城城戦で決めさせてください。」


「おぉ!そうか。」


「はい。500の兵がこちらの様子を窺っています。」


「ほぅ。それはこちらも気合を入れなばなぁ。皆の者、気合を入れていくぞぉお!」


「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

この叫び声で敵軍に動揺が走る。敵が攻めてくるのかと… 焦った敵の一部隊が龍造寺隊本隊に襲い掛かる。


「おい、待て。」

敵軍総大将大村純忠の止めるすべなく、攻め込む。しかし、龍造寺の本隊につく前に二つに分けた誠軍の大筒の砲撃が撃ち込まれる。左右を挟み込んで撃ち込まれた砲撃は敵を一兵も本隊に寄せ付けず、壊滅。

ここで、峰弾正・一瀬半右衛門が討ち死にした。これに同調した敵兵も全軍で前に進軍したが、焦って出た先鋒隊が砲撃されたのを目の当たりにして、後退した。隆信はそれを逃がさない。


「全軍、突然ぃ~~~~!」

その合図とともに、龍造寺家の各隊は奮闘した。一方で有馬軍は大村軍の様子を見ていただけで、少しちょっかいを出すだけで、形勢不利とみるとすぐさま撤退。大村軍も有馬軍の撤退を見ると、三城城を捨て、撤退した。


こうして、三城城は龍造寺の手に落ち、西郷氏は隆信の前で服属することを誓った。

次回が肥前平定編最終回となります。長くなってしまい、申し訳ありません。楽しんで、読んでいただけたなら幸いです。次回は戦をもっと事細かく描ければと思います。よろしくお願いします。

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