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#26 第1回山田家軍議

龍造寺家から有馬・少弐氏鎮圧の協力依頼を受けた誠は、出陣するか否かを決めるため、翌日家臣達を招集した。誠としては、どうしても手に入れたい城があるので、何とかしたいところだが……


「皆、今日は急に呼び立ててすまない。皆も聞いたと思うが、昨日龍造寺から有馬・少弐氏鎮圧の援軍要請が出た。私個人としては、龍造寺家に協力をしようと思うのだが……皆はどう思う?」


「いつも後先考えずに、突っ走る殿が皆に意見を聞くなんて、珍しいですね。こりゃあ、明日は雨になりそうです。」


「いや、私だって、皆の意見を参考にする時だって、あるよそりゃあ。」

え、俺ってそんなに突っ走ってばかりですっけ?いや、そんなことはないはず…………だと思いたい。


「では、なぜ協力したいと思い至ったか、教えていただけますか?」


「そうだな、訳を説明しないとな。今回私が龍造寺家に協力するにあたって、手に入れたい城がある。それはな、原城だ。」


「原城ですか?」


「あぁ、今直茂には港を整備・開発してもらっているだろう?いずれ熊本の港は堺に負けないくらいの貿易港となるだろう。その港に入ってくる船の監視・警備の役割を担うのがこの原城だと思う。それに、各大名家の信頼・恩を持っておきたい。いざとなった時に援軍として来てもらえるように。」


「わかりました。私直茂は殿のご意向に従います。」


「某達も異論はありません。」


「それに、某達が信頼を寄せる殿が決めたことです。某達はそれに従うまで。それに、殿が明らかに間違っていたら、ちゃんと止めますよ。それはおかしいと。」


「聞くまでもなかったか。」

全く、みんな若いのにしっかりしてきちゃて。嬉しいなぁ。


「まぁ、五千の兵に五人で乗り込むみたいなことは二度と御免ですけどね。」


「ははははは、そうだよな。あの時はもう死ぬかと思いましたもん。」


「あぁ、もうよせ。わかったから。全くお主達は………」


「それでは、具体的な作戦を立てときましょうか。」


「あぁ、そうだな。私としては出陣するのは1,000人から1,500を予定している。これは万一、私たちの出陣を聞いた阿蘇家などに対抗できる十分な兵力を残しておきたいからだ。だから、三秋と太平には警戒に当たってもらう。」


「では、御船城に1,000。熊本城に約2,000の計3,000ですか。」


「あぁ。先の戦で阿蘇家も大分戦力を失ったからな。まぁ、そこまで奴らも無謀じゃないと思うがな。」


「殿。お一つ小耳に入れておきたい話があるのですが、恐らく隆信様は、肥前を平定するつもりでおられます。」


「というと?」


「肥前で龍造寺家に従わないものなど、二家以外にも大村氏・千々石氏・松浦氏などがあります。龍造寺家が一つを相手にするのは問題ないんですが………」


「平定するとなると、連戦になると?」


「はい。だから、我らを援軍として呼んだのでしょう。」


「なるほど。では、1,500では足らぬな。こちらとしては、早めに決着をつけたいからできるだけ多くの兵を出したほうがいいな……でも、2,000が限界だぞ。」


「致し方ないかと。」


「じゃあ、今回は出撃させないつもりだったマルをだすか。それと、有馬氏の居城・日野江城そして、その支城・原城を攻めるときは長門に天草からの海上封鎖を頼むか。」


「それで、出陣はどなたがなさるんで?」


「当主である私と龍造寺と関係の深い直茂が適任かな。」


「えぇぇぇ~~~~!殿、某達も付いていきたいですよ。」


「じゃあ、一体だれがこの城を守るというのだ。もし、敵が攻めて来た時,率いる者が誰もいなかったら、負けてしまうだろ。それに、私の重臣だから、兵も皆付いてきてくれるのだ。」


「ですが…………」


「だ・か・ら!私はお主らを信頼しているということだよ。この城は私の妻と義母もおる。私の熊本城防衛の策を知っておるお主らだから託すのだ。この城を頼んだぞ。」


「と、殿ぉ~~~。某達、絶対にこの城を守って見せまする。」


「あぁ、その意気だ。」


「では、殿。皆の役割が決まったところで、再度確認しますね。」

直茂が家臣の間で作戦を共有するため、もう一度、まとめたことを話す。


「私と殿で2,000の兵を率いて、龍造寺軍と合流します。合流後、あくまで予想ですが、肥前平定のため、少弐氏・松浦氏・千々石氏・有馬氏の四家に攻め入ります。有馬氏の時には殿の所有している船で、会場からの物資輸送を防ぎます。八助と与左衛門が熊本城に1,500、三秋と太平が御船城に1,000で、それぞれ防衛に当たります。以上です。」


「直茂、十二歳とは思えないくらい完璧。助かるよ。」


「ありがとうございます。」


「では、各々しっかりと役割を果たせよ。午後はこれまでやってきた作業に戻れ。期限までまだ一週間ある。それまで、できるかぎりの準備をせよ。解散!」


「「「「はっ!!!!」」」」

家臣達は軍議を終え、それぞれの作業に入る時間まで、昼食を取りに行った。さて、俺も結月と昼食の約束があるから行かないと……


「殿、失礼してもよろしいですか。」


「なんだ、莉奈と千じゃないか。どうした?」


「実は殿にお願いがあるのですが………」


「うむ。叶えれるかわからんがとりあえず、聞こうではないか。」


「はい。先程、殿達が出陣すると聞いて、千と話したんです。私達も戦に連れて行ってはもらえないかと。そのために、殿に稽古をつけて欲しいんです。」


「戦に連れて行って欲しいか……正直、私は反対だ。女子(おなご)には危険すぎるからな。けど、稽古までつけて、連れて行って欲しいということは何か理由があるのか。」


「私達、殿の着替えなどの身の回りの世話をするだけで、何も役に立っていない気がするんです。」


「お主らは十分に役に立っておるよ。だから、別にいいんだけど。」


「しかし……」


「殿!!」


「ゲッ!」


「殿は私だけに飽き足らず、家臣や侍女にも好かれているのですね。」


「申し訳ありません、奥方様。私達は殿に娶ってもらおうなどおこがましい考えは持っておりません。」


「そ、そうだぞ。戦に出たいと言われただけだ。」


「はぁ、また戦ですか……まぁそれはいいとして、別に良いではありませんか。殿のお役に立ちたいと言うておるのです。彼女達も危険だということは重々承知でしょう。だったら、連れていって差し上げればいいじゃないですか。」


「「奥方様!!」」


「あぁ!もう、わかったよ。莉奈、千。私の負けだ。連れて行ってやる。その代わり厳しく行くからな。」


「「ありがとうございます!!」」


「良かったですわね。莉奈、千。」


「「はい!!奥方様もありがとうございます。」」


「えぇ、殿のことしっかり守って差し上げてくださいね。」


「「はい!!」」


「では、殿。昼食を食べに行きますよ。あ、それから私が来た時に『ゲッ!』とおっしゃった件についてたっぷりと聞かせてもらいますからね。」


その後、誠は結月に愚痴やら不満やらをこっ酷く、言われたそうだ。



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