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#24 熊本城拡張計画

無事に九州三国同盟が成立した翌日は家臣達全員に休暇を与えた。それぞれが、自分の任された役目をしっかりと果たしたので、その褒美として。誠は結局、城内で結月と話をしたりしながら、一歩も部屋を出ることなく、一日を過ごした。次の日、全員元通り、通常業務へと動き出した。


「八助、与左衛門。やるぞぉ。」


「はい!それにしても、上手くいってよかったですね、同盟の件。」


「あぁ、私の料理で受諾されたというのが少々腑に落ちないがな。」


「ははははは。確かに、殿の作る料理はおいしいんですもん。」


「まぁ、それはそれで嬉しんだけどな。よし、気を取り直して、始めっか。」


「「はい!!!」」


「拡張はするとして、一体どのくらいの時間を時間を懸けるかけるおつもりで?」


「だいたい、新しい城を築城するのに、かかるのは、五年から十年だろ?だから、全体の拡張期間を七年から十年くらいで、何回かにわけて、拡張する。」


「そんなにかけるんですか?」


「だって仕方ないだろ動かせる人材も少ないんだから。しかもこれはあくまでも予想だからもっと延びる可能性もあるわけだ。」


「その間に敵が攻めてきたら、一貫の終わりですね。」


「だから、何回かに分けてやると言ったろ。与左衛門、北城門の堀は出来上がりつつあるんだよな?」


「はい、殿の命で今は中止させていますが……」


「てことは、今の城の守りは北が一番強い。一方で、一番穴があるのは阿蘇家も攻めてきた南城門付近。奴らは油断こそあったものの、私達の弱点をしっかり突いてきたことは称賛に値するんだよ。」


「とりあえず、三人がどんな城にしたいか描いてみませんか?」


「それが、手っ取り早いか……」

互いに自室に戻って小三時間ほどかけて、現熊本城の見取り図に各々が考える城を描いてみた。


「よし、一斉に見せるぞ。せーーーの!」


「・・・殿?」「・・・殿?」「・・・ん?」


「殿、三時間も何してたんですか?もしかして、某と与左衛門が必死に考えている間、遊んでいたんじゃないですよね?」


「いやいや、至って真面目に描いていましたよ!」


「では、これは殿が()()()()描いたものなんですか??」


「だから、そう言ってるだろ。」


「「プーーーーーあははははははははは」」


「悪かったな、下手くそで!どうしても、絵には自信がないんだよ」


「いやぁ、すいません。某達にはただの落書きにしか見えなかったものですから。それにしても、安心しました。殿にも不得意な物があって。」


「だよな。俺らの殿はてっきり完璧超人かと思っていたから。」


「うるせぇ!お主らのやつこそ、絵はできているかもしれんが、これじゃあ、『どうぞ攻めてください』と言っているよなものではないか。」


「「ぐぬ……」」

頭の中では、最強の防壁を持っている城をイメージできているが、図面に描くと、落書きになってしまう城主と絵は描けるものの、城を作るのは全くの初心者の二人。協力して、誠が口頭で説明、与左衛門と八助が図面に描くという分担でやってみたもののこれもうまくいかず、城拡張は更に難航をしめすだけであった。


「上手くいきませんね。」


「あぁ、城作りがこんなにも難しいとは思ってもいなかった。」


「確かに、甘く見ていましたね。でも、とりあえず動き出さないと……」


「わぁかってるよ!でも、図面に興せなきゃ意味ないだろ。」


「では、殿。南城門まで拡張するとおしゃっていましたが、一体どこまで?」


「ん?予定としてはこの川まで。」


「坪井川ですか……てことは、殿はこの川も防壁の一部として利用しようと考えているんですか?」


「あぁ、そうだよ。だからこの川に沿って、城の城壁を築こうかと。」


「それは高くですか?それとも低くですか?」


「高ければ、高いほどいいな。鉄砲や矢で上から狙い撃ちにできる。」


「実際に南城門から坪井川まで行ってみましょう。何か知恵が思い浮かぶやもしれません。」


「いっちょ、行ってみるか。」

三人は馬を用意し、南門から坪井川をまで隅々を見て回った。地質や地形を調べたり、時には立ち止まって、どこに何を建てるかを話しあった。


「殿、各場所の城門を二段階構造にしたんですか?」


「虎口を作るためさ。まず、この城門は櫓門と言って、上の小窓から鉄砲や矢で攻撃することができるんだ。二段階にすることによって、一段目の門が破られたとしても、二段目の門を開ける時に前後から挟み撃ちができる。」


「それが虎口と?」


「あぁ、城の最初の防衛施設ってこと。そしてわざと曲がり角を加えることで、防衛の時間を長くするのと前後からだけでなく、左右からの攻撃も加わる。」


「できるだけ、城内に入る敵の数を減らすのですね。だから、殿の考えた道は迷路のようになっていると。」


「あんまり複雑すぎたら、今度は自軍が迷ってしまう可能性がっ出てくるからな。」


「確かに前後左右からの攻撃は恐ろしいですよね。自分だったら絶対逃げ出しますよ。」


「あぁ、まぁ普通はそうだろうな。だから、最初にする作業見えてきたんじゃね?」


「ですね。まずはこの城の中心部、南側最後の門の虎口作りですね。ここは四角で囲むだけなので、ひと月程でできますね。」


「よし。そうと決まれば、早速取り掛かるぞ!」


「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」

こうして、期限はひと月として、総勢五百名の作業員は南門の改修へと動き出した。

作業工程としては、南門に向かう坂を平行にする。次に、新たな城壁と櫓門を作る。そして、二つの城門に隣接するように左右側面に城門と同じ高さの櫓を建設。

                                    以上が今回の作業工程。

もちろん、南側の改修はこれだけではないから、期限はひと月と設定しているものの、迅速かつ丁寧に作らないといけない。壊れてしまっては作った意味がないからね。よーし、どうせやるなら、加藤清正公にも負けないくらいの大きく、かつ防壁に優れた美しい城にして見せる。誠はそう決心した。

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