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#15 内政再開 前編

船上パーティーが終わり、一夜明けた今日。今日から城の空堀、港の整備が始まる。誠も自分の仕事をするために長門を降りて、城内へと向かった。結月とお義母さんはナガト(いわ)く、『女子会』をするそうだ。


「直茂、三秋〜、いるかぁ〜。」


「なんでしょうか、殿。」


「今から向かうのか?資材の方は大丈夫か?」


「はい、堀の方は大丈夫です。」


「昨日殿からもらった図面を見たんですが、もしかしたら、港の方は木材が足りなくなる恐れがあります。」


「わかった。木材はこちらで手配しよう。それでは頼んだぞ。」


「「はっ。」」


よしよし、これで、堀と港は問題なし。後は城の補修だな。対大友戦までギリギリってところかな。


「殿ぉ〜〜、殿にお目通り願いたいという方が…」


「え〜〜っと。ごめん、誰だっけ?」


「与左衛門ですよ!殿の護衛の!座の連中が来ました。」


「城内の御殿へと案内しろ!そこで面会しよう。」


「よろしいので?」


「あぁ、もともと話を聞くつもりだったからな。」


「わかりました。では、通しますね。」


「頼む。それと、与左衛門、八助、太平も立ち会うように。」


「私たちもですか?」


「あぁ、直茂達もいないしな。それに、万が一もあるかもしれないからな。」


「わかりました。」


それじゃあ、俺も一仕事と行きますか。まずは、礼服に改めないとな。この格好じゃあ、うつけ呼ばわりされるかもしれん。


御殿の間

「面をあげよ。」


「此度の謁見、誠にありがとうございます。そして、城主への就任おめでとうございます。」


「さて、今日は何用で?」


「はっ。昨日、殿の配下の者から座を無くすと聞いたもので…」


「お主らは反対だと言うのだろう。」


「いや、まぁ、そうなんですが…」


「斬りつけたりしないから、申してみよ。私とて、反対されるのはわかっておる。だから、お主らとの面会を設けたのだ。」


「そ、それでは…私達、隈本衆は座の廃止の件について反対です。これまで、ずっとこのやり方やって来ました。それに、座は、他所(よそ)の商人から守るためでもあります。私共も、生活があります故。」


「うむ。お主らの言い分も分かった。では、お主らに三つだけ問おう。」


「はっ、何なりと。」


「一つ、お主らにとって、商売とは?」


「物を売ることです。」


「二つ、何のために商売をする?」


「自分達が生活するためです。」


「では最後に、お主らが商売をする上で大切にしていることはあるか?」


「いいえ、特には…」


「ふむ、やはりか…お主らの言い分はわかった。その上で判断する。座を廃止する。本日以降、座としての商売は禁じ、この国での商売は自由とす。」


「なぜですか!我々は物を売っているだけです。それに領主様には税を納めているはずです。」


「私がお主らに聞いた質問を覚えているか?」


「はい。」


「私も領主をする前は世界で商売していたのでな。商売の心得はあるつもりだ。私の師からもそのように教わった。私ならこのように答える。まず一つ目、私にとって、商売とは人々の生活を楽にすることである。二つ目、私は常に客のために商売をする。そして、三つ目、私はな、客のことを常に考えているよ。だって、そうだろ。私達、物売りは客がいないとやっていけない仕事なのだから。」


「・・・・」


「反論なしか。これより、座を廃止する。もし、続けているようであれば、厳罰に処す。与左衛門、門まで案内しろ。」


「はっ。」


「八助、何か聞きたそうだな。遠慮なく、申してみよ。」


「えーっと、あんな風に追い返してよかったんで?座は私達の重要な財源でもありますし。廃止してしまうと、座からの収入がなくなりますよ。」


「そうだな。でもこれからは商人がそれぞれ店を出すだろ。私はその店で売り上げた金の一部を税として納めさせるんだ。」


「なるほど、殿は天才でいらっしゃいますか⁉︎」


「褒めるのはよせ。八助、その御触書を城下に出してこい。太平は座を取り締まってこい。」


「「仰せのままに。」」


こうして、二人とも仕事へ行った。一旦、一仕事を終えた誠。座を廃止する上で商人たちの反対があることはわかっていた。あの信長も行なった楽市楽座。これを実現させるためには強行手段に出ないといけなかった。隈本の城下は中心部は栄えているものの、農地の方へ行くと貧しくなっていく。その貧富の差をなくすためには食べ物を仕入れる商人が農民から正当な値段で仕入れることがまず、目的だった。


とりあえず、現実世界で誠が商売をする上で会社の先輩に教わったこと、そして実際に自分がそのやり方でやってきたことで押し通した。まぁ、ほとんど心情論みたいなもんだけどね。先輩、ありがとうございます!


「あ、八助か太平のどちらか残しておくべきだったな。」

仕方ない、一人で考えるか。と昨日考えていた法律を考え始めた。


八、能力ある者、身分に関係なく、取り立てる。


九、全ての民に、学ぶ権利あり。


「十、十……あ、これ入れてるの忘れてた。」


十、理由の如何に限らず、喧嘩した者は両方を罰する。


十一、職業の選択は自由とす。


十二、全ての民が、国からの恩恵を受ける。


「このくらいか!なんかあったら、また追加すれば。」


そして、少々少ない気がするが、隈本を納める山田家の法律が完成した。その名も『山田家法度十二箇条』

基本は、誠のいた時代と変わらないものを戦国時代にあわせて、書いたもの。あと誠が好きな格言とか。個人的に大満足である。


〜〜山田家法度十二箇条〜〜

一、和を以って貴しとなす。

ニ、殺人、略奪、姦淫、あらゆる犯罪を禁ず。犯したものは、これを罰す。

三、全ての民は皆、平等である。身分、性別、信条、門地によって差別されない

四、一揆及び反乱を禁ず。不満あれば、申し立てよ。

五、敵攻めたる時、皆一丸となるべし。

六、我が治める地域、市を開くの自由とす。

七、全ての民に納税の義務を課す。

八、能力ある者、身分に関係なく、取り立てる。

九、全ての民に、学ぶ権利あり。

十、理由の如何に限らず、喧嘩した者は両方を罰する。

十一、職業の選択は自由とす。

十二、全ての民が、国からの恩恵を受ける。


「殿ぉ〜〜」


「お待ちください、奥方様。」


結月が呼ぶ声と侍女が結月を追いかける声が城内に鳴り響く。女子会は終わったのだろうか。結月を含む足音が、御殿の間へと近づく。


「殿!」


「どうしたんだ、そんなに慌てて。」


「この者たちがずっと付きまとうのですよ。」


「そりゃあ、結月のお世話係みたいなものだからな。」


「服は自分で着れます!風呂も幼くないので、自分では入れますよ!」


「着物は無理だろ?」


「ぐぬっ…」


「とりあえず、身の回りの世話ができる者を付かせるから。困った時はその侍女か私に頼みなさい。私も侍女をつけるから。」


「では、一つお願いが。侍女を選ぶ時は私も立ち会います。なにせ、私の世話をするんですもの」


「わかり…わかった。」


そう言い残すと、部屋を出て行くと、また城内をドタバタと走って行った。あっぶねぇ〜〜。ついつい、結月さんに丁寧な言葉遣いをするところだった。昨日の船上パーティーで直茂から二人以外の時は口調を変えれるように言われてるんだった。家臣に威厳を見せるためだとか。忘れてたよ。そして、誠&結月の侍女選びという仕事が新たに加わった。

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