プレゼント渡し
修正しましたが、多分追いついてない部分があるかと思います
随時修正します
寝落ちしたのでこの時間です
「……今回はよくやってくれた。と言うことで、俺から特別報酬の分配も含めてアイテムを渡そうと思う」
……これをするのは二回目のような気もする。今回は不機嫌の度合いが低く前回のプレゼントにも満足してくれていたらしいので少し期待しているような雰囲気だ。
「……途中魔石を使うのに協力してもらったので分かると思うが、各人の属性やスタイルに合わせて作成したアイテムだ。気に入ってもらえると良いのだが」
俺は言って、まずカタラとクーアを呼ぶ。前回は最後だったので、今回は最初だ。
「……雷風の小太刀。雷属性と風属性を合わせ持つ小太刀だ。二刀流を目指しているらしいからな。右腰に提げられるようにしてある。攻撃力はおそらく灼熱の小太刀と同じぐらいだろう」
俺は言って青紫の鞘に入った小太刀をカタラに渡す。するとカタラは驚いたような顔をしてそれを受け取った。
「……二属性、成功したの?」
「……? ああ。特別報酬に二属性持ちの武器があったから出来るのだと思ってな。やってみたら成功した。『見切り』があればどのタイミングでどうすれば完全に融合するかが見えるからな」
「……」
カタラは絶句していた。
「……負けない」
絶句してからしかし、カタラは俺に向かってそう言い放った。
「……大丈夫だ。今の時点では完全に俺が負けている。何せ、一日に一回は『研磨』しないとすぐに刃毀れしてしまう程だからな。俺のスキルレベルでは脆い小太刀しか作れなかった」
俺は注意事項も兼ねて告げる。……成功したは良いが、強度に問題があった。完璧とは言えない出来だ。
「……クーアにはこれをやろう」
「……くーあにもくれるの?」
俺は次にカタラの腕に抱かれたクーアに言ってアイテムバッグから取り出す。フワフワモフモフの羽毛クッションをだ。
「……おー。ふわふわ」
それを見たクーアの瞳がキラキラと輝いていた。……見た目は気に入ってくれたようだ。とりあえず一段階目はクリア。
「……触ってみると良い」
俺は言ってクーアに羽毛クッションを渡す。すると掴んで分かったのか、
「……ぎゅー」
クーアはクッションを抱き締めていた。……確かに安い羽毛とは言え流石羽毛。かなり良い出来ではないかと思っている。
「……もふもふ!」
クーアは嬉しそうに言うとソファーに駆け寄っていき、クッションを乗せて自分もソファーに上がりクッションの上で丸くなる。
「……りょうも、りょうも」
ソファーの上にあるクッションの上で丸くなったクーアが気持ち良さそうに言ってくるので、クーアの可愛さに笑みを浮かべたメンバーと共にソファーの方に向かい、俺はソファーに座ってクーアの頭を撫でてやる。
「……すぅ」
すると気持ち良かったのか今まで疲れていたのか、クーアはすぐに寝てしまった。頭を撫でていた俺の手はクーアに掴まれているので動かせなかったが、次のプレゼントに移ろうと思う。
「……セルフィ。これは俺が特別報酬として得た海森の琴をセルフィとユイに協力して作った魔石と『錬金』して作った最高の琴――世界樹と海神の琴だ」
俺はセルフィを呼んで木の蔓と青い琴線で作られた琴を渡す。
「えっ? お兄ちゃん、あの高級魔石使って『錬金』したの? 特別報酬を?」
するとユイを含むメンバーが驚いていた。……何だ?
「……ああ。失敗したら全部無駄にはなるが、やってみないと分からないだろう?」
俺は何故驚いているのかが分かり、しかし聞いた。
「お兄ちゃん、限定装備はレベルMAXぐらいじゃなきゃ『錬金』しない方が良いよ。失敗したらおじゃんだし」
ユイはにっこりと、しかし俺の背筋に冷たいモノを這わせる笑みで言った。……分かりました。次からはそうします。
「……では次はリリスだな。これも特別報酬なのだが状態異常系魔石を『錬金』して効果を高めた」
特別報酬から作成したアイテムである常夜の衣装をリリスに渡す。リリスが今着ているモノより少しだけ布の面積が小さい気がする、黒い衣装だ。……しっかり特別報酬で、と言わないと俺がリリスに着て欲しいような誤解を生むことになる可能性もある。
「特別報酬強化装備。流石は“黒蠍の銃士”ね」
リリスは運営側だからより驚きが大きいのか、苦笑して呟いた。……あまりその呼び名は好きではないのだが。
「……クノにはこの、特製『投擲』アイテムセットだ。因みに針は俺が手に入れた特別報酬の一つになる」
クノにはナイフ、クナイ、手裏剣、玉、針などをまとめて手渡す。片手がクーアに取られて使えないので左手を増やして渡す。
「……ありがと」
クノはギュッと一旦ハグしてから受け取る。……外人のようなスキンシップだな。コミュ力の低い俺には出来ない。クノは意外とスキンシップが出来る人らしい。
「……リアナには前回渡したブレスレットの強化版と、素早さが上がる疾風の靴だ」
これを作るために『靴作成』のスキルまで習得したのだ。スキルレベルが低いためレベルを上げるために時間を費やしてしまったが、前回クノに渡したマフラーと同等のモノが作れた。
「あ、ありがとうございます」
リアナは礼を言って三つを受け取る。ここで装備を変更しても問題ない装備だったので、すぐにブレスレット二つと靴を外し新たに受け取った方を身に着ける。
「……ウィネには協力してもらった暗黒魔石で作成した暗黒の杖だ」
「ありがと」
ウィネは俺が取り出した先端に黒い球体が嵌めてある百三十センチはある杖を受け取り笑顔を見せる。
「……ティアーノにはセーターとズボンだ。氷雪魔石を使ったから氷属性耐性と強化がある」
「……ありがとう」
ティアーノは水色のセーターと青いズボンを受け取る。今は部屋にいるので前に渡したセーターを着ている状態だ。
「……レヴィにはこれを」
「こ、これって機関銃ですか?」
俺が差し出したモノを見たレヴィは驚愕して目を見開く。俺手製の機関銃だ。もちろんただの機関銃ではなく、ゴム弾専用の機関銃だが。
「……ああ。因みにこれが俺の試作品だが、ゴム弾専用の銃になる。『跳弾』を使うために作った機関銃だ」
鉄で作ったのでかなり重く移動制限があるため、筋力を強化しているレヴィでなければ装備出来ない。俺では装備出来ない銃だ。
「ありがとうございます」
レヴィは受け取った機関銃の重さによろめきながらも何とか紐を肩にかけて装備すると、深く頭を下げた。そこでもフラついたので、俺はレヴィの肩を生やした両腕で押さえて支えてやる。
「っ……」
レヴィは謝ろうと思ったのか顔を上げ、俺と顔が異様に近いことにハッとしたのか頬を染めていた。バッと顔を背けると、レヴィはすぐに離れていった。
「……ユイには全属性強化の杖をあげよう。アース・ロッドと言う」
俺は水の惑星と呼ばれるような緑と青の球体が先端に嵌め込まれた塗装された木の杖をユイに渡す。
「アース・ロッドって全属性強化の武器じゃん。お兄ちゃん、よく作れたね」
ユイはこの武器を知っているようだ。目を丸くして驚いている。
「……ああ。一つ上の魔石を使って作成した杖になる。ユイには日頃から世話になっているからな」
俺はユイにその杖を差し出す。
「ありがと、お兄ちゃん♪」
良い武器を手に入れたからか、ユイは弾けるような笑顔を見せる。……これはなかなか難易度が高かった。『見切り』を持っている俺でさえ、十回以上もの失敗を重ねてようやく完成したモノなのだ。
喜んでくれたのなら、本望と言うモノだ。
「……では、新フィールドについて、聞かせてくれるか?」
俺はイベントが終わった後に開放される新フィールドと街について、皆を見渡して尋ねた。




