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Universe Create Online  作者: 星長晶人
第二章

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29/88

ギルドホーム

主人公はコミュ障じゃない、という指摘をいただいたのでとりあえずあらすじだけ変更しました

本文はGW中に

……の不自然さはGW中に修正します


GW中は修正期間にしようかと思っています

なので更新しないかと思います


真のコミュ障は会話が成立しない(体験談

ので修正します

しっかり受け答えしてますしね


ランキング、ありがとうございますm(__)m

 イベント結果発表が行われ、《ラグナスフィア》は優秀な成績を修めたと言っても良い。個人的な部門でも全員の名前が挙がったのは俺達だけである。そのため報酬はガッポリ入った。個人の報酬は兎も角、《ラグナスフィア》として得た報酬は貸し倉庫にあるので分配も行わなければならない。

 だが今の《ラグナスフィア》にはギルドホームがない。今まで入り浸っていた初心者工房には新人プレイヤーが押しかけている。今いるクエスト集会所もすぐに人で埋められるだろう。

 となると、俺達が安らぐ場所がない訳だ。


 と言うことで、ギルドホームを購入しようと思ってクエスト集会所を訪れた。


「……ギルドホームを購入したいのだが」


 俺はそう受付嬢に告げた。受付嬢は作り笑顔で応対するといくつかオススメ物件を紹介してくれた。……とは言ってもギルドホームはギルドコアと言うモノで自由に拡張、改良が出来るのだが。

 俺達が《ラグナスフィア》と知ってか、生産用の工房がある物件をオススメしてくれた。


「……屋敷が良い」


 日本刀作成を目指すカタラが言って、忍者を目指すクノが頷く。……二人共日本文化の職業になりたい訳だからな。


「私は洋館が良いわ」


 魔女を目指すウィネが言って、数人が頷く。……意見が真っ二つに分かれたな。これはギルドマスターである俺が独断と偏見で決めるしかあるまい。


「……この地下つき三階建てで頼む」


 なので俺は洋風の豪邸を選んだ。……気に入らなければ自分の部屋をギルドコアでカスタマイズすれば良い。


「はい、分かりました。それでは350,000,000円となります」


 とんでもない金額だった。現実の俺では到底縁のない豪邸だ。だがイベント中ガッポリ儲けさせてもらった《ラグナスフィア》の金庫の敵ではない。《インフィニティ》に200円のアイテムを売りつけられるだけ売りつければ良いのだ。その場合二百七十五万個売ることになるが、更に高いアイテムやユイの買い占めによって莫大な資産を手に入れていた。……もちろん大半が消えることにはなるが。


「それではこちらが鍵となります。ギルドホームの場所はマップに表示されます。ご購入、ありがとうございました」


 もう購入したようだ。受付嬢は深く頭を下げて見送ってくれる。……メンバーは若干不満そうだったが、大人しく俺についてきてくれた。喜んでくれると良いのだが。


 俺はマップに従って無印の旗マークがある場所に向かう。ギルドマークと言うモノが作成出来るので、装備にそのマークを入れるのが一般的らしい。……今度ウィネにでも頼んでみようか。シールも自分で作っているからな。


「「「……」」」


 購入したギルドホームを見たメンバーは口をポカンと開けて絶句していた。

 豪邸が最初の街の一角に聳えていたのだ。それは驚くだろう。三憶もする理由は、リビングの家具が予め揃っており、店や工房があるからである。手前に素材買い取り店と依頼受け付け所があり、その横に入り口がある。そこから入っていき巨大な扉を開くと玄関が広がっている。その先には広大なリビング。と言っても十人が寛げる程度だ。あまり広くはない。豪邸ではあるのだが、倉庫と工房でほとんどがそちらにある。

 二階、三階には各人の部屋になる部屋などが並んでいる。


「……おっきい」


 クーアは目を輝かせて俺の頭から下りると、とてとてとリビングを走り回った。リビングとキッチンが一緒になっているのだが、『料理』工房なのでかなり広い。


「……不満があるなら自分の部屋をカスタマイズしてくれ」


 俺は呆けたようなメンバーに告げる。……やはりもう少しリビングは小さい方が落ち着く。一般家庭の家ぐらいが住み慣れていて丁度良い。部屋は物を置いて少し狭めると良いかもしれない。

 地下は工房ばかりだが、『鍛冶』、『調合』、『研磨』の工房は一階にある。主要な工房を一階に置くと言う構造だ。


「……ない。ありがと」


 クノは言ってギュッと俺に抱き着いてくる。……メンバーに俺が睨まれるのだが、俺は何もしていない。


「……ではコアの方へ行こう。部屋をどこにするか決めなくては」


 俺はクノをソッと放すとコアのある倉庫前に向かった。

 コアは黒いが内側に向かうにつれて青くなっているような色をしており、バスケットボールぐらいの大きさだろうか。角の削り取られた四角柱の上に浮遊していた。

 俺が手を翳すと現在のギルドホームの状態が投影されて表示された。

 二階と三階にはホールなどがあるため部屋は五つずつある。


「……どこが良い? 二階か三階か。右側か左側か真ん中か」


 俺はレディーファーストと言うことで、先にメンバーに尋ねた。

 最初は遠慮していたが、リリスが遠慮なく決めると釣られるように決めていった。


「……クーアも選んで良いぞ」


 俺は興味津々な様子でコアを覗いているクーアに言う。


「……くーあひとり?」


 クーアは俺に潤んだ瞳を向けてくる。寂しそうな表情だ。もしかしたらクーアはまだ幼いので一人で寝るのは嫌なのかもしれない。


「……では誰と一緒が良いか選ぶと良い」


 俺はクーアの脇を抱えてコアの近くにいる俺より一歩下がった位置にいるメンバーの方を向かせる。


「……むー。くーあ、りょうといっしょがいい!」


 クーアは少し唸ってクルリと振り向くと、俺の脚に抱き着いてきた。……俺か。この年の子供は父親より母親だと思っていたのだが。それとも妹が父に対して冷たすぎるのだろうか? そう言えば俺も野球やサッカーに誘われても断って無視していた。母とは普通に接していたのだが、父とはあまり関わりを持たなかった。クーアもそんな感じでカタラまたはウィネ辺りを選ぶと思っていたのだが。まだ加齢臭を気にする年でもないのかもしれない。

 ……俺に加齢臭があるとは考えたくないが。


「……俺か? クーア、気持ちは嬉しいがカタラやウィネと一緒でも良いぞ」


 俺はクーアの頭を撫でて言い聞かせる。


「……りょう、くーあきらい?」


 するとクーアは今にも泣き出しそうな顔をしてしまう。


「……分かった。それで、どこの部屋が良い?」


 俺は折れてクーアを抱え、どの部屋が良いか聞く。


「……ここ!」


 クーアはまるで嘘泣きだったかのように表情を晴れやかなモノに変えると三階の真ん中の部屋を指差した。……まさか俺を嵌めるために嘘泣きを? まさかな。そんなユイのようなことをする訳はないと思うのだが。


「……そうか。ではギルドホーム内に入れる条件だが、ギルドメンバーと共通のフレンドで良いか?」


「……ん。共通のフレンドは今のところユイだけ」


 俺はギルドホームに入ることの出来る条件を定められるようなので、一応共通のフレンドを含めたのだが、俺のフレンドが少ないからか新人三人のフレンドが少ないからか、ユイだけだと言う。……と言うか全員ユイとはフレンドなのか。やはり我が妹ながら顔が広い。


「……三人もユイはフレンド登録しているのか?」


 俺は元βテスター同士であるカタラ、クノ、ウィネ、ティアーノと二人でネプチューンを倒したリリスには聞かず、接点があるとは思わなかった三人に聞いた。


「……まあ、はい。同級生ですし」


 リアナが微妙な表情で言った。……何故微妙な表情なのかは分からない。だがあれだけ黒い妹のことだ。きっと迷惑をかけているに違いない。


「……ユイと同級生だったのか」


 俺は三人がユイと同級生だったことに少なからず驚いた。同年代だとは思っていたのだが。


「はい。ユイちゃんとは学校で一緒なので。UCOもユイちゃんに勧められて始めたんです」


 レヴィが言った。……現実での、同級生? と言うか三人共同じ学校なのだろうか? と言うか同じクラス? しかしこんな美少女が三人(妹を含めれば四人)もいるクラスなど聞いたことがない。友達零人の哀しい俺でさえも雑談を聞けば情報は入ってくると思うのだが。


「……ユイと同じクラスなのか」


 ほう、と俺は頷く。それならフレンド登録している理由も分かる。と言うことは現実で待ち合わせするように言ってからログインして、クエスト集会所に向かったと言うことだろうか。レヴィとリアナの二人はそうだとして、乗り遅れたか逸れたか、兎に角一緒に行けなかったセルフィは隙を見つけて俺達に声をかけた。そんなところだろう。


「はい。それでその……他の皆さんはβテストの時に一緒だったので分かるんですけど、リョウさんはユイちゃんとどんな関係なんですか?」


 セルフィはジッと俺の目を見て尋ねてくる。……そうか。元βテスターでも同級生でもない俺がユイと知り合いなのは意外か。確かに血の繋がっている兄と妹ではあるが、顔も性格も似てないからな。


「……兄と妹だ」


 俺は目を見つめられると喋れなくなるので、ギルドコアに向き直して答える。


「……えっ?」


 俺が答えると、セルフィがキョトンとしていた。……と言うか全員が驚き呆然としていた。何故全員が驚いているのだろうか。元βテスター諸君はユイが俺のことを「お兄ちゃん」と呼んでいることを知っているのではないか。


「……えっと、そう言うプレイですか?」


 我に返ったセルフィが何気に酷いことを聞いてきた。


「……そんなに似ていないか。それは自覚があるから良いとして、プレイと聞くのはどうかと思うぞ、セルフィ。正真正銘、血の繋がった兄と妹だ」


 俺は少し眉を寄せて言う。……元βテスター諸君もプレイだと思っていたようだ。


「す、すいません! てっきり恋人で兄妹プレイをしてるのかと……」


 セルフィは深く頭を下げる。……いや、それはない。それはないぞ、セルフィよ。


「……少し、セルフィが遠く感じている」


「えぇっ!?」


 俺が呟くとセルフィがショックを受けたような顔をした。


「……とりあえず残りの金で各部屋をカスタマイズしようか。その前に部屋に入る制限をかけるか。許可した者と所有者とクーアのみで良いか?」


「……くーあも?」


 俺はとりあえず女子会なるモノを開けるように許可した者は入れるようにし、クーアも自由に部屋に出入り出来るようにしておくように提案する。


「……ああ。クーアはどの部屋でも自由に出入り出来るようにしておくから、遊びに行ける」


「……おー。りょうも、りょうもいっしょにあそぶ」


 クーアは目を輝かせていたが俺の服をくいくいと引っ張って言う。……それではクーアを誰かに任せると言う俺の策が無駄になってしまうのだが。


「……ああ」


 だがクーアの嬉しそうな顔を見るとそんなことは言えない。とりあえず頷いておく。


「じゃあギルドマスターはどの部屋も出入り自由にすれば良いんじゃない? ギルドホームの出入り禁止って、ドアに触れるだけで弾かれるようになってるから。ノック出来るようにすれば何か用があるけどコールに出ない時でも呼べるじゃない?」


 ウィネがそう提案してきた。……別に許可を貰えば入れるのだから問題ないとは思うが、ノックする時に弾かれては元も子もない。提案したウィネをメンバーが驚いたような顔で見ていたのは、きっと俺と言う男を女子の部屋の出入り自由にしたことが原因だろう。


「……そうか。それで良いならそうするが」


 確かに制限した際にどのような効果が発揮されているかは分からない。ここは元βテスターであるウィネの助言に従うのが吉だろう。俺がメンバーを見渡すと戸惑いながらも頷いたので、ギルドコアを操作してギルドマスターとクーアは出入り自由、所有者はもちろんのこと、許可した者も入れるように設定した。


「……あとは各部屋のカスタマイズか。和風でも洋風でも、家具も自由に選ぶと良い。ギルドの金は自由に使って良いからな」


 俺は素早く普通サイズのベッドだけを購入するとギルドコアの前を空ける。……そのままクーアを抱えて倉庫へ入っていく。

 ……どんな報酬か、掲示板で見ていないからな。ギルドで獲得した特別報酬はベスト販売賞のみだが、個人で貰った報酬もあるので楽しみだ。因みにだが、貸しギルド倉庫に入っていたアイテムもギルドホーム購入時にギルド倉庫に移されるので、便利だ。


「……倉庫の中はこんな風になっているのだな」


 俺は倉庫に入って感嘆の声を上げる。倉庫にはアイテムバッグのような四○元ポケットのようなぼやけた空間になっている訳ではなく、衣装ケースぐらいの大きさの箱が床から天井まで届く程に積まれていて、壁全てにあるのはもちろん、横に広い長方形の部屋になっているのだがジグザグに進めるように手前の方から伸びた縦の棚が二つとその間に奥から手前に伸びた縦の棚があった。入手した順に入っていくようでアイテムとその材料が入り口付近に並んでいた。薬草や虫や果実やアイテムの瓶が並んでいた入り口付近だが、もう少し先に行くと一つ一つ違うアイテムが並んでいた。……これが特別報酬だろう。だが俺が取り出すことの出来ないアイテムもある。おそらくそれが他のメンバーが獲得した特別報酬なのだろう。


「……はこいっぱい」


 クーアが天井の方を見上げて目を丸くしていた。


「……クーアのプレゼントは、どれだろうな」


 俺は言って抱えていたクーアを床に下ろして言う。


「……くーあの」


 クーアはちょこちょこと棚を見上げていたがある一点を目に留めると下から四段目の箱の取っ手に手をかけようとジャンプする。だがぴょんぴょんとジャンプしても取っ手には届かない。しばらく放っておいたらクーアが涙目で俺の脚に抱き着いてきた。


「……とどかない」


 クーアが泣きついてきたので、俺は後ろから抱えるようにして持ち上げてやる。確かにそれはベストプリティー賞の報酬だった。薄いピンク色の髪飾りだ。しかも生産スキルについて補正のあるアイテムだ。手作業で作成した全てのアイテムを一つ上の性能に上げると言うチートスキルがついている。以前までは『調合』でのアイテム作成でこれがあった。


「……かわいー?」


 クーアは早速それを手に取りモコモコフードを取ると、つけ方をどこで覚えたのか自分で髪飾りをつけると俺に見せてきた。……段々とアクセサリーが増えていくのは良いことなのだろうか。こんな小さい頃からアクセサリーばかりつけていては何か教育に悪い気もする。首飾りに髪飾りだ。チャラい訳ではないので良しとしよう。可愛いからな。


「……ああ。可愛いぞ」


 俺はよしよしとクーアの頭を撫でる。


「「「……」」」


 クーアが満面の笑顔を見せてくれる中、俺は後ろから入ってきたメンバー数人にわざとぶつかられた。


 ……何だか怒っていないか?

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