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Universe Create Online  作者: 星長晶人
第一章

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ご機嫌取り

「……イベントフィールドに行く前に、あり合わせで作ったアイテムを渡したいと思う」


 俺は七人と対峙し、言う。すると七人はピクリと反応した。


「……まずクノ」


「……」


 俺が名前を呼ぶと、クノがスッと前に出てきた。


「……手拭いとスカーフを取ってくれ」


 俺が言うとクノは少し躊躇したが、手拭いとスカーフを外してくれる。クノの黒髪の中にピクピクと動く丸く小さな耳が見えた。〈鼬〉の耳だろう。


「……速獣の手拭い。ファングウルフなどの獣系モンスターの毛を細い糸にしてから作った手拭いだ。敏捷性上昇の効果がある」


 俺はそう言ってクノの頭に手拭いを被せる。染めたので黒い手拭いだ。獣臭さは取り除いてある。


「……疾風のマフラー。俺が新しく考えた『家電魔法』の【ファン・ウインド】を組み込んで作った風属性が付与されたマフラーだ。通気性と耐暑耐寒効果に加え、敏捷性上昇の効果もある」


 俺はそう言ってクノの首に黄緑色のマフラーを巻いていき、端が後ろになるように巻き前部分で口元を隠す。


「…………ありがと」


 クノの間がいつもより長かった。もしかしたら照れているのかもしれない。


「……ウィネ」


「……」


 ウィネは何が貰えるのかと言う期待と、一応不機嫌さを保つと言う狭間で揺れながらも不機嫌な顔をしたままクノと入れ違いに俺の前に来る。


「……魔術のイヤリング。魔法の効果を上昇させる。もう一つは闇のイヤリング。闇属性の効果を上昇させる」


 俺はウィネの耳に穴を開けない挟むタイプのイヤリングで紫と黒の宝石が埋め込まれているモノを一つずつつける。


「あ、ありがと」


 ウィネはクノと違って耳ではあっても直接触れられたせいか顔を真っ赤にして消え入るような声で言い、そそくさと去っていく。便利なのはゲーム内なら自然と外れることがないと言うことだろうか。


「……リアナ」


「……」


 リアナはぺったんこ代表のような体型なので不機嫌度は一番高い。未だにムスッとした顔をしている。


「……鬼のブレスレットと力のブレスレット。共に筋力が上昇する効果がある」


 俺はリアナの手首を掴んで持ってくると赤いトゲのついたブレスレットと赤いブレスレットをリアナの片手ずつに嵌める。このゲームには市販装備の自動サイズ調整機能がついており(そうしないと同じ装備でもサイズが違うモノが出てくるからだ)、その効果をつけるために作成したモノと市販のモノを錬金させた。そのため手を通す時には大きくても手首までいくと外れない大きさに縮まる。


「……これはおまけだ。いらなければ捨てると良い」


 俺は言って試しにと作ってみた熊の編みぐるみを手渡す。リアナは驚いたような顔をしてそれを受け取る。


「あ、ありがとうございます」


 リアナは照れたように頬を染めながらもそれを隠すように編みぐるみを両腕でギュッと抱き締め顔を埋めて早足に去っていく。


「……レヴィ」


「は、はい」


 レヴィは不機嫌さがほとんど消えているためか、返事をして俺の前に来る。


「……銃が二挺入りマガジンが五つ収納出来るホルスターを左と右の二つだ。上のエアガンに入っているのが石で下のエアガンに入っているのがゴムだ。入っているマガジンの内BB弾が一つ、石のBB弾が二つ、ゴムのBB弾が二つになっている」


 俺はレヴィの右腰と左腰にホルスターを装着させる。元々装着してあったホルスターは外してあり、レヴィに手渡す。……因みにレヴィは小さな機関銃を手に入れたのだが弾丸がない。そのため今はまだ使えないのだ。使えるようになったらすぐに用済みとなる。だからもう一つ作成しておいた。


「あ、ありがとうございます!」


「……もう一つ、命中と攻撃を上げる攻当の髪紐だ」


 俺は勢いよく頭を下げるレヴィの髪をツインテールにしている髪留めを外し、俺が作成した髪紐で再びツインテールになるように髪を括ってやる。


「……あ、ありがとうございます……」


 レヴィは半ばボーッとしたような顔で言い、去っていく。


「……ティアーノ」


「……私には何をくれるのかしら?」


 俺の前に来たティアーノは不躾に聞いてきた。……あげるが。


「……氷結のセーター。氷属性の効果を上昇させる」


 ティアーノには一つだが、これは今の段階ではかなりレアなアイテムだ。それをティアーノは分かっているからか、何も言わずに受け取った。……流石にここで着替えさせるようなことはさせない。


「……ありがとう。着替えてくるわね」


 ティアーノは少し微笑んで言い、セーターを持ってどこかへ去っていく。おそらく物陰に向かったのだろう。


「……セルフィ」


「は、ひゃいっ」


 こんな時でも舌を噛んでしまっていた。口元を押さえ涙目になりながらも俺の前に来る。


「……セルフィには、この二つをあげようと思う」


 俺はミニトライデントの柄部分の穴を開けチェーンを通したネックレスと、『海神魔法』スキルの書を差し出す。


「っ!? そ、そんなレアなモノ受け取れません!」


 するとセルフィは首と両手を左右にブンブンと振って拒む。


「……そうか? だが他のメンバーはそう思っていないようだぞ」


「えっ……?」


 俺が言うと、セルフィは後ろを向く。ティアーノは着替えているためいないが、六人はセルフィを見てこくん、と頷いた。……この中で効果を一番発揮出来るのはセルフィだと言うことをメンバーはよく分かっている。大体水属性を使うのはセルフィだけなのだ。まさか『家事魔法』で水道レベルの水しか出せない俺に覚えろと言うのか?


「……えっと、私で良いんですか?」


「……だから渡そうとしている」


 メンバーを見渡して恐る恐る尋ねるセルフィに、俺はキッパリと告げる。


「じゃあ、その、私、これからも頑張りますから! ちゃんとこの魔法が使いこなせるように!」


 セルフィはそう言って俺の手から二つを取ると早速『海神魔法』を覚える。更にミニトライデントのネックレスを首にかけた。ネックレスの方はMP上昇と水属性の効果上昇がある。どちらも大幅上昇だ。


「……カタラとクーア」


 俺はカタラとその腕に抱えられているクーアを最後に呼ぶ。……特にクーアのは戦闘用装備ではないからな。カタラのも一つは戦闘用装備ではない。


「……カタラには『鍛冶』の成功率上昇、武器の性能上昇の効果がある、鍛冶の髪紐と、これだ」


 俺はカタラの髪をポニーテールにしている髪留めを外して髪紐で再び同じように括り、次のモノを取り出す。


「……毛皮」


 差し出されたカタラ本人もキョトンとしていた。そう、俺が取り出したのは『パジャマ作成』スキルと『チャック作成』スキルを合わせて作った繋ぎタイプで上と下が一緒になっていて首から腹辺りまでチャックがついている毛皮のパジャマだ。ミニボアの毛皮を使いフードに耳、尻辺りに尻尾を再現している。ただ戦闘用ではないため防御力は微々たるモノだ。だが毛皮使用なのでかなりフワフワしている。サイズはわざとカタラより少し大きいモノにした。その方が可愛いだろうと言う、俺の勝手な想像で。


「……気持ち良い」


 カタラはミニボアパジャマをギュッと抱き締めてフワフワに顔を埋める。


「……ふわふわ。ずるい、かたら」


 むーっと頬を膨らませてクーアが言う。……そう言うと思ったからこれを作ったのだが。


「……クーアにはこれだ」


 俺は言って白いショーンミラージの毛を使って作ったモコモコパジャマを取り出す。ちゃんとクーアサイズにしてある。


「……もこもこー」


 クーアは両手を伸ばし目をきらきらと輝かせてパジャマをギュッと抱える。


「……なかもこじゃないの」


 しかしクーアはミニボアパジャマと同じように前についたチャックを開けて顔を入れ、しゅんとした声を漏らす。


「……それは夏用だ。これが中もモコモコになる」


 俺は言って中にも外にも毛をつけたパジャマを取り出す。……最初に出した方も内側は布になっているが通気性を重視して薄くしてあるため充分モコモコを感じられるハズなのだが。


「……もこもこ!」


 クーアが目を輝かせて良い、それも手に取る。そしてどちらか見比べた後、やはり暑いのか最初に渡した方を選び、早速着込む。カタラの方を向きながら器用に着替え、何かゴソゴソとやった後にチャックを閉める。……どうやら着ていたワンピースを脱いでいたようだ。


「……もこもこー!」


 クーアはモコモコパジャマを切ると、フードまでちゃんと被って俺の方を向いた。……サイズもピッタリで、クーアによく似合っている。我ながらよく出来た。


「……よしよし」


 俺は嬉しそうなクーアを見て自分も嬉しくなり、クーアの頭をよしよしと撫でてやる。


「……では、行くか」


 俺は言って、ティアーノが戻ってきてからレヴェッサの森へ向かう。クーアはいつも通り俺の頭の上で、他のメンバーも心なしか少し距離が近い。

 機嫌を取ることに成功した俺は、少しホッとしながらキャンプ場を目指すのであった。

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