むかしむかし。
明け方、東の空に靄にまぎれて光が通る。
いく筋もの光の線は、やがて一つの大きな日差しになって、私たちに降り注ぐ。
その日差しが大地に満遍なく行き渡ったころ、私たちは活動をはじめるのだ。
むかし、むかし。
それは、太古とも呼ばれるほど、遥か昔のことで、今となってはある種の伝説やおとぎ話のような時代のことだ。
それはもう、あるところにとても美しい"ひめ"と、呼ばれる人がおったそうな。
そんな"ひめ"は、たくさんの人に愛されながらすくすくと成長していき、国一番の美人になった。ある時、"ひめ"に結婚を申し込む者がでた。
それを知ったたくさんの者は、自分こそが"ひめ"にふさわしい人間だと、どんどん名乗りを上げていき、ついには一国の者たちすべてが"ひめ"に求婚をしていた。
ある日、そんな彼らに"ひめ"は、私はもう少ししたら、在るべき所へ還らねばなりませんと、口にした。
在るべき所とは一体どこのことかと、皆一様に首を捻った。ある者
はそれは何処かの国だといい、またある者は、この世でない何処かだと口にする。終いには自分のとなりだと言い張るものまで出る始末。ああ、どこなんだと痺れを切らした者が、"ひめ"にたずねた。在るべき所とは一体どこなのですかと。彼の問いに"ひめ"はすこし微笑んで、この空のうえですよ。と、答えたそうな。
空のうえ。
そこにあるのは、極楽浄土。つまりは、天の国だ。そんな所にいけるのは、死人しかない。そう考えた民衆は、"ひめ"が死に至る病にかかっていると思い込み、有名な医者を毎日雇った。何度医者が"ひめ"をみても、医者はなんの病だかわからないと首を降るばかり。それもそのはず。元から病気にかかっていないのだから、わかるはずがないのだ。
そして時は過ぎ、その日がやってきた。"ひめ"は空のうえに行くらしい。民衆は"ひめ"の元に押しかけて、どうにかして"ひめ"が何処かへいかない術はないものかと画策した。だが、それは既に遅かったらしい。
"ひめ"はもう、どこにもいなかったのだ。家のものも"ひめ"が居なくなった事に気がつかなかったらしい。別れの言葉も言えず、"ひめ"という存在はどこか幻のように消えた。今となっては、それは人々の思い出の中だけに生きている。
構成があまりまとまってなくて、すみません( ̄◇ ̄;)
読んでくださり、ありがとうございます。