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ほんの些細な出来事

作者: にょん

普段通り大きなあくびをしながら歩くいつもの通学路。


どうせつまらない授業を聞き流し、時間が過ぎるのを待つだけの毎日。


何かが足りないような気持ちになる。


しばらく歩くといつもの場所、いつもの時間にバッタリと合うあの子。


「またかよ。今日の運勢は悪そうだ」

「こっちの台詞だって」


お互いにいつものように挑発するような笑みで憎まれ口をたたき、同じ速度で歩く。


「昨日の英語のテストどうだった?」

「…65点」

「やっり〜。私の勝ち〜」


彼女は右手でピースを作り、笑ってくる。


「数字なんかに人の価値は決められないよ」

「言い訳にしか聞こえない〜」


反論するも、軽くあしらわれる。

このまま負けを認めたくはないので、違う話題で仕返しを試みる。


「じゃあ、今日の数学のテストで勝負だ」

「え?えーと、今日はちょっと…」


目線をそらし、言葉を濁す。

彼女の苦手教科ぐらい今までで知っていた。


「ふ〜ん。自信が無いんだ〜?」


その流れを押し切るようにさらに挑発を重ねる。


「な!?そこまで言うのなら受けて立つわ」


その挑発に乗ってくれる。

なんて単純なんだ。


そうこうしているうちに、チャイムがなった。


「やばっ!私先に行くね」


そう言って彼女は走り出した。


いつもとほとんど同じ行動だった。

けれども、毎日のこの些細な出来事だけで今日も頑張ろうとやる気が出た。


何か足りないような気持ちを少しだけ埋めてくれた毎日のほんの些細な出来事に感謝しながら、俺は校門をくぐった。

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