8th 月夜の果て
月夜の果て
詩:遍駆 羽御
崩れ落ちる三日月
こぼれ落ちる美酒の味
微風がボクの涙を乾かしてくれた
何気ない言葉は誰かを傷つける刃となる
何気なく過ごす日々はボクを殺していく
屋上に寝そべってキミとボクは時間を潰していく
キミに貸したブレザーに移った優しい香りが今は届かない
そんな過去が二人の身体に解け合い 触れ合い 続けてれば
こんな哀しい想いせずに済んだのにね
どうしようもなく 愛情は月日と共に薄れていく
あれほど新鮮に感じられた言葉の一つ 一つが疑いへと変換する
その度に孤独を勝手に大量生産してく
「何もないよ、やだなぁ」
って笑うキミの言葉をボクは否定し続けてた
桜舞い散り誰もがはしゃぐ季節 キミも桜餅の季節だねって笑ってた
ボクは空笑いしか返せずに……
崩れ落ちる三日月
こぼれ落ちる美酒の味
微風がボクの涙を乾かしてくれた
何気ない言葉でしかキミに別れを言えない
何気ない言葉でしかキミも別れを言えない
15歳だった少年少女はたった五年の愛をたった……
「別れよう」
の五文字に集約させた
そしてボクらは子どもだった自分達にケリをつけて大人になった
満月には決してもう届かない気がした
そこには三日月しか存在しないのだから
ボクはどちらの風景も愛せる気がした