第4話
穴の空いた壁の向こうには、人であったろう肉片が転がっていた。
その後も、あちらこちらから爆発音が鳴る。
「軍は民間人がいる中で爆薬を使うのか?」
「いや、そんな感じじゃなさそうよ」
空いた穴から、ゾンビが顔を見せる。
だが、ミロスが斧を横に振れば、それは動かなくなる。
「安心して、私がいる。あなたを危険には会わせない」
ミロスは斧に付いた血を拭き取る。
血は赤いタオルを更に赤黒くしていた。
「だったら、来い。俺には自分の店がある。生きて帰らなきゃいけない。この町の飲んだくれが、酒を待ってる。どうやらここは、思ってたより危ないようだ」
カルヴァは銃を取り出す。
斧を構えるミロス。
「思ってたより、ね」
血の匂いはあたり一面に広がっていた。
爆発音が鳴る。
連続して鳴る。
「この罠は誰が張っているんだ?」
もはや襲いかかるゾンビより爆発音の方が多くなっている。
「最上階に住む、シレトっていう」
その時、上から人が落ちてきた。
緑のジャージが2人の目に入る。
鈍い音の後、男性は顔を上げる。
「あーあ」
2人に気付いた男性は、慌てるように後ろへ下がる。
「彼よ」
上から落ちてきた男性、シレト・アイルドにカルヴァは手を差し出す。
「安心しろ、俺達はゾンビじゃない」
シレトはカルヴァに向く。
「いや、いい。一人で立てる」
男はゆっくりと立ち上がる。
「あんたがここらの罠を張ったのか?」
「ああ、そうだ。だがな、計算を間違っていた。火薬の量が多いんだ、チクショウ」
天井の一部が落ちる。
「これもそうなの?」
「そう、大体ここから上に。だが安心してくれ、崩れる程じゃない」
爆発が起き、天井が崩れ、肉片と共に落下する。
「本当に?」
「マンションは意外と固いんだぞ」
ミロスはカルヴァの手を引き、小声で話す。
「ごめんなさい。やっぱりここは安全じゃないみたい」
「そのようだな」
カルヴァとミロスはゆっくりとその場を離れる。
「その、お2人さん?俺を置いていくつもりかい?」
カルヴァは振り向き、シレトの方を向く。
「とっさに自分の身を守れない奴に用はない」
カルヴァはミロスを連れ、その場を立ち去ろうとする。
爆発音が鳴る。
カルヴァ、ミロスの目の前で。
「火薬の知識ならあるぜ。ついていく」
そう言ってシレトは、紐のついた筒を手に言った。




