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グランザール(原案:聖なる剣)  作者: 白河夜舟


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5/9

5.気品優先

 郁美は言葉より先に手が出るタイプ。イヤですねぇ…

「近野、これ、きちんと動くぞ。バグってなんのことだ?」

「えぇ?」

 パコンとセンセーの頭を引っぱたいて席をどかせる。

 …ホントだ、キャラ選択画面になってる。

「い、イタイなあ……」

 それくらい我慢しなさいよ。全くダラシナイ。

 今のあたしに、そんな事に構ってる余裕なんかない。

 ホントだ、なんだちゃんと動いてんジャン。

 あのお美しいオープニングじゃないけど、白河の事だから適当にすっ飛ばしたんでしょ。

 いきなり、タペストリーな装飾の施された画面の中で、キャラクター選択になってる。

 種族と性別を選んで、基礎能力にボーナスポイントを振り分けるという、まさにお約束設定。

 人間は、職業も選べるようになっているらしい。

 選び終わると、お顔がみられるわけね。

 早速、人間、男、剣士さま、剣士さまっと。

「……な、なによコレっ!」

 出てきたのは、見るからにイカツイ、不細工なゴツゴツ顔の男だった。

「なによって、なにが?」

「とぼけんじゃないわよっ!あたしはこんな男でプレーしたくて来たんじゃないっ!」

 白河の首根っこを引っ掴んでウラウラやってると。

「せ、先輩、まだボーナスポイント振り分けてないじゃないですか」

 部員の一人がオズオズと口出ししてくる。

「なにそれ?」

「だから、腕力とか敏捷力とかを、能力に振り分けてやるんですよ。そうすると、それに見あった感じの顔になりますから」

「そういう事は早くお言いっ!」

 白河を投げ捨てて、早速画面に向き直る。

 とっつきやすそうに見えたゲームだけど、結構、細かいじゃないのさ。

 えっと、あの剣士さま、無茶苦茶強そうだったけど。

 でも、なによりお顔、お顔よぉ!

「カッコイイお顔にするには?」

「そりゃあ“気品”を上げればいいんですけど、戦闘にはあまり役に立ちませんよ?」

「いいのよ別にんなこと」

 一気に気品をマックスにしちゃう。

 と。

 来た来た来たァ!

 愛しの剣士さまよぉ! またお会い出来ましたわぁ!

「……姫、ご無事でしたか」

 おおっ、音声まで出るとは(しかも渋いっ)、随分と出来のいいゲームソフトじゃないのさ。

「先輩、いくらなんでも、それじゃあ勝てないと思うんですけど」

「だよなあ、判ってなさすぎだし」

 あたしのマユが、ピクリと上がる。

「へえ、このあたしに、そんな口聞いてタダで済むと思ってんの?」

 子スズメ共の分際で、そんな口を叩けるわけ?

 白河のヤツ、部員の躾けがなってないゾ。

 って、気絶してんのか。ちょっとやりすぎたかな?

「いや、普通のキャラだったら、僕らじゃ相手になりませんけど。でも、気品しかない人間の男なら、ネエ……」

 互いに顔を見合わせて、ニヤニヤ笑う部員ども。

「オッケー、その挑戦、受けたげるわ」

 あたしも、中指をおっ立てて指招きして上げる。

 海浜のゲーマー女王の呼び名、伊達じゃないって教えてあげるん。



 気品にしか振っていないキャラになんて、負けるわけがない。

 コイツアホだ。ホントーにアホだ。

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