表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

あれから……

風の音が聞こえる。

私は必死に叫んでいた。

手を伸ばすが届かない。 あと少し、ほんの少しなのに…


「…ク…!…サク!!…」



吐き気とともに目が覚める。

アラームを止め、時間を見る。


7月31日……10時丁度。 背中にじっとりと汗が張り付き、蝉の音が暑さを更に加速させているようだった。


「嫌な悪夢を見たな…」



私は急いで服を着替える。

朝飯は…食べる時間がない。



玄関を出て、急いで彼女の家に向かった。



家にたどり着くと、すぐさまインターフォンを押す。


照りつけるような暑さだからか、買ったアイスを入れた袋には水滴がうっすらとついていた。

私は…今でも彼女が消えていないか、不安になってしまう。


しばらくするとドアが開いた。

中から出てきたのは…彼女だった。


そのことに安心しつつ、玄関を上がる。


白の壁紙にピンクのクッション、クマのぬいぐるみに水玉模様のコップ、

如何にも女の子をイメージさせるインテリアだった。


溶けかけのアイスを半笑いで渡しつつも、彼女は喜んでくれた。


そのまま、たわいのない話を彼女とする。

この時間が彼女の安定を確認でき、楽しめる、貴重な時間だ。


そんなことを思いながらも、あの光景が頭をよぎる。


もう、私しか覚えていない。


そのことに孤独を感じながら早く忘れ去りたいとも思う。

けれど、それが訪れることはないだろう。


なにせ、あれは生涯忘れることができないほど刻まれているのだから。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ