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墓地々々でんな  作者: 葛屋伍美
第3幕 虹色の刀士と悪霊連合編
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ヒーローが集まり、どんな敵と戦うのか?そういったプロデュースは作品の根幹に関わる重要なファクターだ!・・・最近覚えた言葉です。ファクター!


「武城殿が、ルールを重んじる方だったとは思いも寄りませんでしたわ。」

 佐乃達が出て行くのを見ていた武城に一人の女性がおもむろに話しかける。



 女性の名は『ユウキ』。

 巳区筆頭の球使いで、雪のような白い肌に赤い唇が印象的な女性。白髪のロングヘアも相まって、冷たい印象が強い。切れ長な目も大人びたと言うよりも冷たさを助長させるような所がある。服装は、花魁のような派手な着物だが、黒と紫を基調としているところで落ち着きを演出している。そんな服装をスラリと着こなすスタイルは、大半の男を魅了するには十分な美しさだった。


「これはこれは、ユウキ太夫に声をかけられるとは、男の誉れですな。」

 武城が佐乃達からユウキに視線を移して、ニコニコとあからさまなお世辞を交えて対応する。




「武城を簡単に信用していいの?こいつ、戦闘狂じゃんっ・・・率先して、争い事起こして、首突っ込んでいく筆頭でしょ?」

 ユウキの影から上半身をひょっこりと除かせて、一人の女性が武城をジト目で疑っている。




 女性の名は『サユミ』。

 卯区筆頭の2丁拳銃使い、血色のいい肌で青い髪のボブカットの女性。服装は、昔の看護士のような出で立ちで、とても拳銃を使いこなすような雰囲気ではない。スタイルも可もなく不可もない。言い方によっては、バランスの取れた体型。看護士というからに、今も昔もパワフルさが求められることからなのか、元気という言葉が体現されたといっても過言ではない人物。


「その言い方はないぜ、サユミ・・・俺だって、決められたルールがあるリングの中でする戦いが好きなだけであって、死の危険があるような遊びはしない主義なんだよ。」

 武城が肩をすぼめて、サユミに反論する。




「・・・なにはともあれ、穏便にこの世界を過ごしていきたい我々としては、武城殿がこちらについてくれるなら願ったり叶ったりでは?」

 猫背が目立つ忍者のような出で立ちの初老の男性が武城の脇にスルリと現れて、そう話す。




 この男の名は、『イワクサ』。

 申区筆頭の爪使い、白髪を全て天辺に持っていき、そこで結んで流す形で、肩ぐらいまであるサラサラした髪型、眉毛も長年伸ばしたのか年季の入った長さをしており、目は隠れている。服装は、忍者といわんばかりの黒で統一された黒装束で、少し余裕を取ったダボッとした着こなしが違和感を生んでいる。


「・・・・・・。」

 イワクサの隣で、腰に2本の刀を携えた浪人の男が目を閉じたまま黙って、立っている。


 この男の名は、『ガカク』。

 戌区筆頭のもちろん刀使いではあるが、2刀流というのが特徴。服装は麻の着物を着崩し、風体から貧乏侍といえばわかるような出で立ちだった。頭はマゲを作ってはいるが、剃ってはおらず、無精髭が目立つ顔。しかし、立ち姿は芯が入っているかのように背筋がピンと伸びて、隙がない印象だった。


「・・・ガカクさんも穏健派ですかぁ~・・・貴方も俺と同じように言われませんでした?」

 武城がガカクに向けて話しているようで、サユミを挑発するような言葉を選ぶ。


「何よっ!私は誰彼構わずそんなこと言いませんっ・ガカクさんがあんたと似てるわけないでしょっ。」

 サユミが地団駄を踏んで、武城の言葉に徹底抗議する。


「・・・・・・。」

 ガカクはサユミ達から背中を向けて、空に目を向ける。

 仲の良いイワクサ曰く、照れ隠しだとのこと。




「12人を取りまとめるのは難しい事です・・・多数決でも、平和的解決がなされるなら、我々としては嬉しい限りです。」

 ひょいひょいと歩いてきた男がニコニコとした顔を武城に向けて、話す。




 男の名は、『ナルキ』

 未区筆頭の槍使い、お坊さんの基本的な服装で、もちろん坊主頭でちゃんと剃っている。少し小柄な体型だが、立ち振る舞いからも姿勢はキチンしており、軽快なステップが陽気な性格だと相手に印象付けている。顔は少し丸々としているが、全体的にまとまっており、スラリとしている。


「ナルキさんが、色々と曹兵衛さん達と交渉してくれてるのよ。私達としても、佐乃さん達の言い分は分かるけど、悪霊連合と事を構えたって、悪霊が減るわけじゃないわ・・・後から後から出てくるんですもの、うまく付き合わないと。」

 サユミが腕組みをして、自分達の主張を武城に訴える。


「ほほぉ~~、ナルキさんが交渉してくれてるのか・・・お坊さんだけあって、弁がたつのでしょうね・・・心強いっ。」

 武城がナルキをニコニコと見て、胸を張る。


「いえいえ、私としては坊主として、皆さんの安寧を保てるのであれば、出来る限りの事はしたいと思いますので・・・。」

 ナルキがニコニコしながら、シワとシワを合わせて、お辞儀をする。


「・・・俺でよければ、お力になりますよ・・・今後の事をもっと話していきましょう・・・。」

 武城もニコニコとナルキに対応する。


 武城は焦らない。悪霊連合が本格的に動いていない今は慎重に情報を集める事を最優先にする。


 穏健派をまとめているのは、イワクサかナルキか、はたまたユウキか。


 今回の武城の任務は、ノムラが適任のように見えるが、武城のように好戦的な人間の方が、先入観からのギャップを持って、マイナスから入っていけることを見越しての人選だった。武城は行動から入る男と周囲から見られがちだが、案外計算高い男でもある。ここから曹兵衛が仕掛けた穏健派内での化かし合いの駆け引きが行われることになる。


お手数でなければ、創作の励みになりますので

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