告白編
仕事の事情もあって夕食だけのデートとなった。
それでも白月は純粋に嬉しかった。
けれども食事中の結城はどこか、別の方向を見ているようで不安だった。
「闇、今・・・どこ見てる?」
「あっ?なんだ、急に・・・」
「お願い、ちゃんと僕のこと見て」
いつになく真剣で必死な白月にわけがわからない結城。
「なんだよ、何が言いたいんだ。ハッキリしろ」
「・・・わかった。じゃぁ怒って帰るとかしないでね?」
「あっ・・・あぁ」
先に先手を打たれてしまい大人しく頷く結城。
「闇って・・・あの秘書。優瑠君が好き・・・なの?」
「あぁ!?」
おもいっきり嫌そうな顔つきで聞き返す結城にため息をつく白月。
「だって君が優瑠君を見る目。普段の男性を見る目とすごい違うから・・・」
「・・・そ、そうか?」
「うん、全然違う。てか、むしろ男に興味ない君が優瑠君の事を見てる時点で変!!」
その言葉に愕然とする結城。
気づいてなかったとは言え、そう見られてたショックは大きかった。
「ちょ、ちょっと黙らないでよ」
「あっ、あぁ。悪い。とりあえず俺が男を好きになるなんてことはありえねぇ」
顔色を悪くして汗ばみながら答える結城に白月は真っ直ぐ見すえた。
「本当に?それは、本当にそうなの?男を好きにならないのが必然なのかもしれない。
だけど、それは君がそう思い込んでるだけじゃないの?」
その視線と言葉に結城は何も答えられなかった。
その後の食事を終えても結城は黙ったまま何か考えているようだった。
「・・・じゃぁ、僕はもぅ帰るね」
いつまでも答えが出せない結城に見切りをつけた白月が切り出した。
「ちょっと待て」
「何?」
「なんで、なんであんな事を言った?あんな事言っても貴様にはなんの特にもならんだろ」
「まぁね。けど、黙ってられなかった。闇にはハッキリしてもらいたかった」
「・・・なんでだ?」
「バカだね。好きだからに決まってるでしょ?」
不敵な笑みを浮かべる白月に結城も笑みをこぼした。
「貴様って奴は。マジでどうしようもねぇ奴だな」
「まぁ、ゆっくり考えなよ」
それだけ言うと白月は暗闇の中へと消えていった。
数日後。仕事が終わると結城は社長室に優瑠を呼び出した。
「あの、何か?」
「ちょっと話があってな・・・」
「はぁ?」
「どうやら俺は、貴様のことが好きらしいんだ」
優瑠の方は見ないまま曖昧に答える結城に呆然とする優瑠。
「まぁ俺自身、納得してもなければ認めてもないんだがな・・・」
「はぁ、では何故そんなことを?」
「あいつ、白月にハッキリしろと言われたからな・・・・」
「はっ?わ、わらび餅・・・ですか?」
「あぁ、白月のことだ。奴に言われた。男だから好きにならない、そう思い込んでいるだけだと」
「・・・なるほど、それで」
「事実、そうかもしれん。俺は、俺は貴様が、貴様が女だったら間違いなく好きだ!!」
「・・・はぁ?」
その答えに思わず聞き返してしまう優瑠。
そんなバカみたいな事を聞くためだけに呼び出された自分が悲しく思えた。
「なんだ、その人をバカにしたような返答は」
「あぁ、すいません。つい・・・・」
「・・・まぁいい。とりあえず、それだけだ。だからってどうしたいってわけでもねぇ。
ただ、ただ・・・ハッキリさせたかった。それだけだ、悪かったな」
それだけ言うと社長室に優瑠を一人残し帰って行った。
「・・・待たせたな」
「ん?別に。君から呼び出しなんて初めてじゃない?」
「・・・かもな。貴様の望み通り、ハッキリさせてきてやった」
「そっか、それで?」
「そうだな、まぁ・・・すっきりしたかもな。貴様のおかげだ」
「そう、よかった。じゃぁ、答えを聞かせて?僕と、僕と本気で付き合ってくれる?」
真っ直ぐ見つめる白月に微笑する結城。
「アホか、いきなり野郎なんかと本気で付き合えるかよ!」
小さくこづかれ思わず笑みを浮かべる白月。
「あはは、やっぱり?だよね〜」
「まぁでも、好きって想いに偏見はもうねぇかな。だからおもいっきりアタックしていいぞ?」
「えっ!?本当に?わかった!!」
するといきなり結城に飛びつき、そののままキスをする白月。
「ぐぇっ!?」
その突然のキスに思わず白月を振り払うと、崩れ落ちた。
「・・・・全然ダメジャン」
呆れ気味に崩れ落ちた結城を見下ろす白月。
「き、貴様・・・。いくらなんでもいきなりキスはねぇだろ。俺を殺す気か!!」
「大丈夫だよ、そんなことぐらいじゃ人は死なないから」
「俺は身体的なことを言ってんじゃねぇ!精神的な話をしてんだ!!」
「あぁ、もうわかったわかった。ごめん、ごめん」
「心が全然こもってねぇんだよ!!くそがっ!だから野郎は嫌いなんだぁああああ」
結局、結城には前途多難な毎日が続くのであった。
この先も社長の憂鬱はまだまだ続くのだった。
今回は文章的に長かった(滝汗)
それではここまで読んで下さってありがとうございます。
お疲れ様でした。
よろしければ次回作もご愛読願えれば幸いです。