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トライアングル編

最近ますます秘書との関係が怪しくなってきた。

結城はいつものように秘書は秘書として扱っているみたいだった。

けれど、白月(しろつき)から見ればとてもそんな風には見えなかった。

彼は一方的に結城が好きなので彼の微妙な変化にも気づいてしまうのだった。

例え本人がそうでなくても白月にはそうゆう風にしか思えなかった。

結城は秘書である優瑠に惚れていると思っていた。

「まぁ、闇は自分が大の男嫌いだって思ってるから気づいてないけど・・・。

もし気づいたらどうなるんだろう?」

あまり考えたくないことではあったが最悪な事態だけは避けなければならなかった。

「仮に気づいたとしても絶対に認めないんだろうなぁ・・・。それより問題は彼だよね」

小説を書く傍ら叶を横目で見る白月。

その視線に気づいたのか白月の方に振り向きにこやかに笑みを浮かべた。

咄嗟に白月も笑い返した。

「優瑠君やけに鋭いところがあるし、闇の気持ちにも気づいてると思うんだよね」

それでも結城に対しての態度を変えないところを見るとやはりその気はないようだ。

前もそんな話を聞いたが、本音かどうかまではわからなかった。

だが、見ている限りどうやら本当に結城の事は好きではないようだった。

「だからってこのまま闇が優瑠君を好きになっていくのを黙って見てるのは違うよなぁ」

思わず大きなため息をこぼす白月。

「なんだ、進まないのか?」

「ぎゃっ!?や、闇!!」

「なんだ、人を化け物みたいに・・・・」

「あぁ、ごめん。ちょっと他事考えてたから・・・・」

「他事だぁ!?貴様この会社でやっとデビューが決まったって言うのに余裕だな」

嫌味ったらしく小言を吐く結城に苦笑いを浮かべる白月。

「あはは、まぁね」

「とにかくやるからにはちゃんとしたもの書けよ!」

「そんなこと言われなくたってわかってるよ!!」

「そうか、ならいい」

そのまま結城は叶の元へと戻っていった。

やはりこのままではよくない。そう思った白月は一気に小説を書き上げた。


「闇、出来たよ!!」

「おぅ、じゃぁ叶後頼む」

「はい、わかりました」

白月(しろつき)の原稿を手に取ると社長室から出て行く優瑠。

だが、それを確認しても白月は社長室に残っていた。

「なんだ?終わるまで居るつもりか?」

「・・・まぁね。それより約束、覚えてる?」

「あっ?なんのだ?」

「君の会社でデビュー出来たら付き合ってくれる約束だよ」

「・・・そんな約束したか?」

「したよ!!」

「・・・・・・・覚えてねぇから無効だな」

「えぇ!?何それ、ずるい!そんなの詐欺だ」

「仕方ねぇだろ、覚えてねぇんだから・・・・」

「わかった、じゃぁ今しよう」

「あっ?」

「もし、もしこの作品が10万部売れたら付き合って!!」

「貴様・・・言ってることわかってんのか?」

「わかってる。でも僕だって作家だ。自分の作品にそれぐらいの価値はあって欲しい」

「・・・相変わらず無茶な奴だな。いいだろう、10万部売れたら付き合ってやる」

「絶対だからね!!」

「あぁ、男に二言はねぇよ」


こうして数ヶ月後。華々しくデビューした白月(しろつき)の本は発売された。

発売されると宣伝効果もあってか、すぐさま本は売り切れた。

それが話題を呼び、女性からの指示を得て見事10万部を売り切るのだった。

「あ、ありえねぇ」

「いや、そうでもないですよ。元々白月さんの書く作品はいい物でしたから」

「だけどデビューしたばかりで10万部だぞ!!」

「まぁ、確かに。普通ではないですね。けどそれが才能ってやつじゃないんですか?」

「・・・俺は今、その才能を呪いたいね」

本が売れて嬉しいはずなのに沈みきった結城を不思議に思う優瑠。

そこに慌ただしく白月が駆けつけてきた。

「闇!約束、守ってもらうからね!!」

「やっぱり来たか。わかってるよ、付き合えばいいんだろう。付き合えば・・・」

なかば投げやりに言う結城に不服そうだったが付き合えることに変わりはないと思う白月。

「よし、それじゃぁ早速デートして」

「はぁ!?ふざけんな!!俺は忙しい」

「え〜、じゃぁ休みは?いつ?」

「えっと、社長の次の休みは・・・・あぁ3週間後ですね」

「さ、3週間!?な、長すぎでしょ!!ちょっと優瑠君、どうにかなんないの!?」

「そんなこと言われても・・・・・・」

「そうだぞ、無茶言うな。俺は社長なんだぞ?忙しくて当然だろう」

「何それ、偉そうに・・・・。別に闇がやらなくたって優瑠君でもいいじゃん」

ほとんどの対談は秘書である優瑠が全てやっているため結城は特に必要と言うわけではなかった。

「あのな、一応会社として行くんだ。社長である俺がそこに居なくてどうする!!」

「居なくても優瑠君がうまくやってくれるでしょ?」

「えっ?あぁ、まぁ・・・・出来なくはないですね」

「おい、貴様も何言ってんだ!!」

「ほら、優瑠君もこう言ってるし・・・。デートしてよ!!」

しつこく付きまとう白月にうんざりした表情を浮かべる結城。

「あぁ、もぅわかったよ!じゃぁ貴様も着いてこればいい」

「えっ!?なんでそうなるわけ!それじゃぁデートじゃないでしょ!!」

「ウルセェ、なら大人しく待つんだな!!」

この結城の言葉に白月は渋々納得せざる終えないのだった。


しかし、実際はやはり仕事優先のデートだった。

「・・・あぁ、やっと仕事終わった?」

「まぁな。どうする、これからどっか行くか?」

「もちろん、出来れば二人で行きたいね!」

結城の腕を掴み優瑠を横目で見る白月(しろつき)

だがそんな白月から嫌そうに腕を振り払う結城。

「ひっつくのはやめろ」

「ケチ」

「まぁ、そう言うわけだ。悪いが先帰ってくれ」

「はい、もちろん。言われなくてもそうします」

にっこりと文句なしの笑顔で答えるとさわやかに立ち去る優瑠。

「・・・相変わらずむかつく奴」

ぼそっと小言を吐く結城を不安そうに見上げる白月だった。

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