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第55話・気休め

まぁ……生きてます


「ッ……!!!」


「トハン様!!!!」


 まて……。落ち着け、再生能力を使えば心臓くらい…………。


「!?な……治らない!?!?」


「トハン様!今治療を……!!」


「させると思うか??」


 こっちに近づいてくるエジルを、横からリターが剣撃を入れる。

 リターは手加減をしているのか、それともエジルが強いのかそこは分からないが、今は互角に渡り合っているのは確かだ。


(サト……この状況で助かる方法は!?!?)


【マスターの生命危機を感知。身体支配権を強制的に移行させます】


 サトは俺のほぼ全ての魔力を使う勢いで心臓付近を魔力で満たし始める。

 魔族の再生と同じやり方だ。

 魔力は濃度がありえないほどに高くなると、この世界に物質として顕現する。

 それでまず血管と血管を繋ぎ、擬似的な心臓を作り始める。


「兄さんの世界能力(ワールドスキル)か……?止めないと再生され……」


「トハン様の邪魔はさせません!!!」


「チッ……鬱陶しいね。キミ」


 リターとエジルの魔力を乗せた剣撃は剣と剣がぶつかる度に大きな衝撃波を生み出す。

 その威力は近くの地面を抉るほどだ。

 上段、下段、あらゆる攻撃をエジルが仕掛けるが全て受け流される。

 リターが近距離で魔法を使おうとすると即座に対処、魔力の流れを乱し、魔法をそもそも発動させず、それでも無理やり発動させた魔法はその魔法に1番効力のある魔法をぶつけて相殺。

 本当に近接戦闘をしてるのか疑いたくなるほどだ。


【魔力の物質化完了。残存魔力5%。即座に撤退を推奨】


(この相手じゃできないよ)


「はぁ……はぁ……………」


 支配権が戻ってきた瞬間一気に倦怠感が襲ってくる。

 魔力の過剰使用だろう。体も麻痺して動けない。


「兄さんの雰囲気が戻った…………。ハハハッ」


 その笑い声の瞬間、俺の背後に強大な気配を察知した。


「今度こそ、死ね」


「させるかァァァァ!!!!!!!」


 ガギーーーン。耳が麻痺するほどの金属音が背後で鳴った。やはりリターは転移していたのか。


「ありがとう……エジル」


「いえ。それより、おい!リター。トハン様の弟君とはいえ、それ以上の蛮行は万死に値する!!」


「ほぅ、それで?僕に何ができる?本気じゃない僕と闘っていてそこまで互角だとは……天霊族も堕ちたもんだよねぇ?」


「くっ!!」


 あのリターの言うことが本当ならば、確かにエジルはできることがない。

 時間稼ぎだけで、この世界から追い出すこともできないだろう。


「十数秒魔力を練る時間があれば……次元門を開くことができるのに……」


 小声でそういうが、俺では1秒と持たない。

 もっと俺に力があれば……もっと力があったなら。

 そう嘆いても、世界は俺には答えてはくれな………。


『強き力の願いを聞き入れ、封印はここに現れる』


 サトと同じ声、だがサトではないこれは、世界の声だ。

 リターとエジルは睨み合っているだけで特に異変を感じた様子は無い。俺にだけ聞こえているのか……?


「なんだ?」


「これは一体!?」


 急に地面が大きく揺れだした、リターは空を飛んではいるが、地面が揺れてるのはさすがに見えているらしい。

 揺れがいっそう強くなったと思えば、地面に穴が空き、光り輝く水晶が現れた。


「こっ……この光はぁ!?!?!?」


 リターの纏う闇を祓い、神々しい力を感じさせる……。いや、実際に()()()を感じる。

 水晶が俺の元に近づいてきて浮遊をする。それを俺が触ると…………。


「こっ!これは!!!!」


 触れた瞬間、水晶から力が流れ込んでくる。

 それで理解した。これは俺の力を封印した神然石(ルーン)だ。

 なぜこんなところにあるかは疑問だが、まぁいい。


「それは兄さんの力を封じたルーンじゃないか!なぜこんなところに!?!?」


「それは……俺の力を封印したのはお前か?」


「ッ!」


「やっとボロを出したか」


「し、しかし!エジルは兄さんが全盛期の頃と同じステータス、いや、それ以上のステータスを持ってる!そんなエジルがなにもできないのだから少し力が戻った程度で何かできるわけ……」


 その瞬間、リターの首を断絶する一閃が放たれた。


「うわっ!!」


 不意打ちの攻撃で何とか避けたリターだが、バランスを崩し墜落する。


「僕に情けない声を出させやがって。許さない」


 激情し、魔力を強く放つが、先程感じた恐れを全く感じない。

 俺の力が戻ったから……。なんて大層な理由では無い。

 リターが実際に弱くなっている。


「もしや、リター。お前、高純度の光属性の力を近くで浴びて弱体化したのか……」


 確かに神然石(ルーン)には、例外を除き、高純度の光属性の力を常時放っている。この光は魔法で再現できるものではなく、()()()()だと父上は言う。

 一部の神を除き、大体の神は光属性の力はプラスに働く。

 だが、その一部の神とは、獄神や堕神などの闇属性を宿した神だ。

 そういう神は力を奪われる。


「そんな訳ないだろ」


 目の前からリターが消えたかと思うと背後から強い殺気を感じる……。

 俺は冷静に刀を合わせると、力が拮抗した。


「やはり、今のリターの力は俺と同格。やはりお前が弟だからか?」


 神は生きている年数で力の強さが変わる。父上は俺の何百倍も生きてるから、何百倍ものステータスの差がある。

 俺が力を封印されようとも、数兆の年齢差は大きいようだ。


「うるさいうるさいうるさい!!」


「俺は2割の力しか出せていない。それで同格とはな」


「黙れ!!そんなに言うなら僕の力を見せてやる!!!!」


 俺からリターは距離を取る。すると膨大な魔力を使い魔法陣を構築してゆく。


「見てろ!!これが僕の力だ!!」


「時間切れです」


 後ろに控えていたエジルが一気に魔力を解放する。俺がリターと問答している間に次元門の魔法を構築し終わっていた。


『開け!次元門(ディメンションゲート)!!!』


 まるで宇宙を映しているような鳥居が現れ、鳥居の中が歪み、ものすごい勢いでリターを吸い込んだと思えば、即座に鳥居は消え、リターがいなくなったからなのか、雲は晴れ、陽気さを感じさせた。


「ありがとう、エジル」


「いえ、トハン様のおかげです」


 俺に跪いて顔を下げてはいるが照れているのは丸わかりだ。


「しかし、これは時間稼ぎに過ぎない。リターも力を回復させたら、またこの世界に戻ってくるだろう」


 トハンは蒼穹を見上げ、熟考する。

 そうだ。まだ全てが解決した訳では無い。

 リターの使った謎の力は未だに分からない。

 もし、あれが一割にも満たない力の一端だったら?

 不安は沢山ある。


「この世界に点在するルーンの位置を特定し、トハン様の封印を戻すことが先決かと」


「考えておく」


「感謝いたします」


 リターはあの堕能力だかを使わないと俺以上に強くなることができないとわかった。

 だが逆に言えば、その能力を使っている時はエジルすら手こずる力を得る。しかし恐らくあれに対抗できるのは()()()()だけだろう。

 ルーンは世界に顕現してからの最初の地点から1km以上移動することはできない。

 今の戦いでリターはルーンがある場所での戦闘を避ける。アイツもバカじゃない。

 そうなれば不利なのはこちらだ。ルーン以外の対抗策を考えておかないと。


「とにかく、王都に戻ろう。やりたいこともあるしね」


「畏まりました」


 エジルは集団転移の魔法を使い王都へと俺と一緒に転移させた。

どうでしたか?楽しんで行けたら幸いです。


もし楽しんでいけたのなら、下にある

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 1つでもつけてくれたら私は嬉しくてどんどん作品を書いていこうと思います。

 ぜひよろしくお願い致します。

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