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第52話・解決策


能力(スキル)【思念伝達】』


(それで、原因は特定できたのか?)


 俺はサトに冒険者ギルドの場所を聞いてそこに向かいながら思念伝達でこの世界で何があったのか聞こうと思っていた。


(はい。ここからですと、南方28万キロほどにある街で不穏な気配を感知しました)


 28万kmも南……

 それってこの大陸じゃないな。


【南方28万kmにある街を解析……解析結果『ジ・サラスト』ルクセイン公国の直轄領です】


 ルクセイン公国か。


(その不穏な気配がなんなのかまでは特定できたのか?)


(残念ながらそこまでは……)


 まぁここからじゃあ距離が離れすぎて確証は持てないな。


(エジルは原因解明しに行くんだよな?)


(はい。そのつもりです)


(それなら、一緒に行ってくれないか?)


(何故でしょうか……クエター様を危険に晒す行為はできません)


 口は思念伝達で動いていないが表情は少し暗い顔をしているエジルだった。


(なんて言うんだろうな……勘ってやつ?何か嫌な予感がするんだよ)


 能力(スキル)にそういう効果を持つものは無いが、嫌な予感がするのは事実であった。

 エジル1人で行ってはならないと、そう言われている気がした。

 俺の心の奥底に眠るもう1つの人格が……


(私はクエター様に従う身、これ以上とやかく言うつもりはありません)


(そうか……ありがとなエジル。俺の魂の回復が終わってからでいいか?)


(元々クエター様を完治させてから行く予定でしたので問題ありません)


 そんなこんなあって俺は冒険者ギルドに着いた。


(サト、仮面の復元はできているか?)


【姿を変える仮面なら復元は完了していますが、本当に姿を変えるだけですのでお気をつけください】


 俺は仮面を無限収納(ストレージ)から出して付けた。

 ローブが出現し、身長も伸び、服も変わった。

 これでスログアドラーとしてここに入れるな。







 王都と比べたら少し見劣りするが冒険者ギルドと分かる見た目で掲示板には依頼書も貼ってあった。

 だが、明らかに人がいない……

 王都なら飲んだくれてる冒険者や乱闘寸前の口喧嘩してる奴らなどなど、個性豊かな冒険者達がたむろしているところだが……

 ワームのせいなのか、いるのは受付嬢と受付嬢と話すルキだけだった。


「人が少ないな」


 ギルドに入ってカウンターまで歩きながらそんなことを言う。

 エジルは俺の後ろを歩きながらまるでメイドのように手を前に組んでいた。


(エジル……体勢はまだいいがくれぐれも俺に敬語を使うなよ?)


(承知致しました)


「あ、今日、ギルドは緊急事態でおやすみで……」


「受付嬢さん、彼らが今回のワーム討伐の功労者ですよ」


 ルキがそういうと受付嬢は驚いた顔をしていた。

 ていうか今日は普通ならギルド休みなのか。

 

「お初にお目にかかる。SS級冒険者、スログアドラーという。ギルド長に話があると言われて参上した」


「私の名はエジル。冒険者ギルドには入っていませんがだいぶ強いと思いますよ」


 ニッコリ笑うエジルはやはり輝いていた。


「す、すいません。ご無礼を……ギルド長を呼んできます!」


 お辞儀をしながらスタスタと素早く階段を登って言った受付嬢であった。


「ルキ、後で頼みたいことがある。話をする席を用意しておいてくれ」


「了解!」


 ルキが冒険者ギルドの扉を開けて出て行ってすぐ、階段から足音がした。

 降りてきたのは顔の右半分程を火傷で覆う屈強なガタイのいい()()だった。


「ようこそ、スログアドラー様。私はこの街のギルド長をしている。『ランバール』という。以後お見知りおきを」


 ランバールと名乗る女性は手を左胸に当ててお辞儀をした。

 容姿は燃え盛る炎のような赤髪。深淵を覗くような黒い目。引き締まった体で、鍛え抜かれた冒険者という印象だ。

 胸は少し小さいが女性だと分かる程度には膨らんでいた。


「これはご丁寧に。改めて自己紹介を」


 俺は手を左胸に当ててお辞儀。

 それに合わせてエジルもお辞儀した。


「私はSS級冒険者。スログアドラーという。情けない話だが、あのワームを倒したのは私ではなく後ろの彼女だ」


「ご紹介に与りました。傭兵のエジルと申します」


 エジルは俺が頭を下げることに苛立ちを覚えていないといいが。


「いえ、ルキ様からお聞きました。彼がいなければ街はとっくに壊滅していたと。倒したのはエジル様でも、被害を最小限に抑えられたのはスログアドラー様のおかげだ」


「世辞は要らんぞ」


「世辞じゃないぞ」


 そう言ってクールに微笑むランバールを見て俺は思った。

 地球(前世)だったら『女子に好かれる女子』のタイプだなと。


「ひとまずお2人のおかげで、街は壊滅せずにすんだ。少し時間はかかるかもしれないが活気に溢れる街に戻るだろう」


 この街は経済的に余裕のあるっぽいな。

 だが、復興には金がかかる。

 それには冒険者ギルドが(かなめ)だ。


「ランバール様」


「そんな堅苦しくなくていい。私も元冒険者、慕われるような口ではない」


「そうか、ならランバール殿。モンスターの出現率が低下しているという話は聞いているか?」


 ランバールは少し驚いたような顔をする。


「もう知っているのか。そうだ、あのワームの影響でモンスターが逃げてしまった。数ヶ月なら大丈夫だろうが、ここの街の取り柄はいいモンスターや魔物の素材」


 手を顎に当て考えるランバール。

 考えている姿は少し威圧されているような感じがした。


「昨日、この街に残っている上級冒険者を招集し、捜索に行ってもらった。だが人っ子一人……いや魔の子一体もいなかったのだ」


 魔の子一体ねぇ。

 もし、モンスター達がこの街周辺をあの化け物のナワバリだと思われたら帰ってくる見込みはない。


「もしもの話だが、モンスターや魔物達がこの街の近くをあの巨大魔物の縄張りだと思われたらこの街はいつか資金を底を尽き、崩壊する」


 あら、同じようなことを言ったな。

 俺とランバールの心は見えない糸で繋がって……

 なーんて冗談は置いといて。


「ランバール殿、提案がある」


 俺は1歩前に出ながらあるアイテムを取り出す。


「これは……線香か?」


 見た目は1本のごくごく普通の線香。

 しかし秘められている力を勘で察したのかランバールは少し不快な顔をする。


「何か、不吉な気配がする時のようだ。勘が警鐘を鳴らしているように感じる」


「この線香は『魔呼びの線香』という。名前の通りこれに火をつけると広範囲の魔物が寄ってくるというものだ」


 ランバールは手をあごに当てて少し考える。

 そうして真剣な顔で言った。


「これは、冒険者ギルドに収まる問題じゃない。この街の貴族様に聞いてみよう。姫様がこの街に来ているのは聞いている。私が面会の準備をしておくから、それまで姫様をこの街に滞在してくれるよう頼んでくれないか?」


 俺は別に問題は無いが、ミシアが問題である。

 ミシアは、姫としての役目を果たす為に学院を休んでこの街に来ている。

 2日3日ならまだしも1週間以上かかると学院で悪い印象を持たれるかもしれない。


「貴族との話はどれほどで終わるかわかるか?」


「今すぐ手続きをすれば、ざっと3日程だろうか、それだけあれば貴族様に話を通すことはできる」


 3日か。

 サトにこの街の位置を解析して貰ったら、ここは馬車を走らせて2日半。

 3日目にあの化け物の被害に合って1日経ち、4日。今から馬車で帰ったら6日半。

 学院は前世の時と同じ、()()()()()5()()()である。


「その話、1度姫様に伝えてこようと思う」


「感謝する。では私はいつでも面会を通せるように準備しておく」





「と、言うことがあったんだ」


 俺は宿へ戻り、食堂でミシアに経緯を話した。


「なるほど、分かりました。3日くらい待ちましょう」


 即答だった。

 なぜこれに応じたのかは俺にはは分からないが、本気らしいのであまり触れないでおくとしよう。


「姫様」


「なんですか?」


 俺とミシアとの会話を聞いていた護衛の1人が口を開いた。


「姫様が話を持ちかければ、もっと早く面談をすることができるのでは?」


 確かにそうだ。ミシアは、この四大陸の主要国家の1つであるアダルシア王国の姫だ。

 まだ姫という役柄ではあるがその権力は計り知れない。

 ミシアからなら、ランバールより早くこの街の貴族と話ができるだろう。

 だが、ミシアは否定的な声を上げた。


「なりません。私は王国の使者としての仕事は終わっています。この街の問題のことは、この街の人が考え、私はそれのサポートとして動くだけです」


 まぁ、俺たちは、この街が活気ある元の姿に戻るきっかけを与えたまで、それをどうするかはこの街の人次第ってことか。


「これは、出過ぎた真似を……如何様にも罰をお与えください」


 護衛は跪いた。

 ミシアの前で護衛は頭を深く下げた。

 

「それでは、お腹がすいたので、宿の人へ昼食の用意をするように言ってきてください」


「はっ!」


 罰軽いな。

 いやまぁ護衛は数人しかいないからあまり重いのをやって万全の状態じゃなくなったら困るからな。

 ミシアは小声で俺に耳打ちする。


「護衛の皆さん、忠誠心はとてもありがたいのですが、自分の許せないことをした時に罰を与えないと精神的に不安定になってしまうんですよね」


 信賞必罰は世の常。って言葉を聞いた事あるがそういうことだろうか?

 まぁ忠誠心が高いのはとてもいい事だ。


 俺たちは、2日ほどをのんびり過ごし、2日目の夜、面談の準備ができたという知らせが届いた。

どうでしたか?楽しんで行けたら幸いです。


もし楽しんでいけたのなら、下にある

☆☆☆☆☆

の評価をつけてくれると嬉しいです。


 1つでもつけてくれたら私は嬉しくてどんどん作品を書いていこうと思います。

 ぜひよろしくお願い致します。

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