第49話・圧倒的な力
俺の体は風魔法的な何かで浮かせられている。
なんか椅子に座っているような感覚だ。
「やっと見つけました。クエター様」
そう言って俺の前に立つのは暗黒のローブに身を包み人相がわからないほど何も情報の掴めない者。
しかしこの宇宙でクエター様と呼べるのは1人だけ。
天使族の上位種族で俺の側近。
天霊族のエジルだ。
ローブを脱いで見せた髪は太陽が反射し輝く長髪。
所々に鎧が着いた、輝く白い装備に身を包み。
何色と定義できない輝く眼。
頭を廻る光輪はそのものが光り輝き、背中に生やした二枚の天翼も白く輝いていた。
人々を魅了する澄んだ声。
その輝きはこの世界では表現できない代物でそれが天霊族と定義できる充分な証拠だった。
「この世界でクエター様はやめろ。トハンと呼べトハンと」
「申し訳ありませんトハン様」
気のせいではないのだろう。光り輝く笑顔でそう言ったエジルがどこからか殺意の波動を放っていることに。
「それで……トハン様を傷付けたゴミ野郎はどこですか?」
あぁ、そういえばエジルって俺と俺の家族、それと妹達以外興味どころかクソムシ以下だと罵るほど過激だったっけ……
「さっきエジルが吹き飛ばしたあれだよアレ」
ワームは鳴き声を発し暴れていた。
それはもちろんエジルが吹き飛ばした時にできた大きな跡。
しかしエジルはなんのことかと言うように
「はて、私は能力・天神歩法を使って移動していただけですが」
天神歩法……天霊族の種族能力だ。
説明は省くが移動速度は優に光速を超える。
「トハン様が危険だったのは重々承知だったのですが、トハン様の能力【補助者】の権能【神気偽装】によって発見が困難でした」
確か偽装能力とは別の……サトの偽装能力か、確かに魂が放つ神の覇気は偽装なんてできない。
だが、偽装できちゃうのが俺のサトだよな。
【私はマスターの不利益となる要因を排除したまでに過ぎません】
(そう謙遜すんなよ)
「とにかくトハン様はここで見ていてください」
真剣な面持ちで、暴れるワームに一直線上に立ったエジル。
「近くにはミシ……人間達もいる手加減は……しろ……よ?」
明らかな殺意。
その輝いた姿からは想像もできない暗黒の覇気……
「安心してください。トハン様……一撃で終わらせますし、この世界の人達に怪我は加えません」
そう言ってエジルは腰に携えた細剣を抜き地面に突き刺す。
細剣の柄頭に両手を乗せて波動を放つ。
「あれは……天霊族の特異能力『神への忠誠』天霊族の名のもとに俺ら神を身命を賭して守るという誓の姿勢だ」
あの姿勢を取ると全ての能力値に俺の……というより誓いを立てた神の力が上乗せされる。
もちろん全盛期の頃のな。
元々が俺ら神に匹敵する強さを持つ天霊族だが、神を守るという役目柄バケモンになってしまうのは仕方の無い事。
俺の父上、クリエイター様以外に勝てる神はいない。
エジルが細剣を抜き左の腰に細剣独特の構えをする。
光り輝く細剣は神々しく、圧倒的な力を感じさせられる。
微弱な風が漂う。エジルの髪を揺らすが、だんだん強くなる。
「万象の理を超越せし、創神の名を借り今此処に、裁きの鉄槌を下さん!」
細剣が光り輝く……!
『神技・創神一刀』
透き通るような声から放たれた武技……いや神技はエジルが前に踏み込み、同時に細剣を真っ直ぐ突く。
そこから翼が生えた槍のような光り輝く魔力の刀身がワームを貫く。
突風が吹き荒れ、ここら辺の瓦礫を吹き飛ばす。
地面がえぐれ、周りには白い羽のようなものが舞い散る。
ワームの最後のもがきかどこからか叫び声が聞こえる。
叫び声を発しながらワームの体は光り輝き、そして光の爆発を起こした。
「眩しっ!」
光は天に吸い込まれ、ワームは跡形もなくなっていた。
「宣言通り一撃で仕留めました」
確かに素晴らしい一撃だった。これが天霊族か。
「さっきと同じ洗脳魔法か?」
嫌な空気が流れる。
近くに人がいないから分からないが恐らく洗脳魔法が強まったんだろう。
「問題ありません。トハン様」
エジルは細剣をもう一度地面に突き刺した。
先程と同じような姿勢を取り魔力を解放する。
「我、天霊族の名のもとに、邪悪な魔を退け、そこに聖なる光を灯したまえ!」
『神聖魔法・天神聖域!』
強い風が吹き荒れる。
エジルから膨大な魔力が放出されこの町を半円球状の領域で包む。
町を包んだ光は雨のように降り注ぎ人々の傷を癒した。
「相変わらず……ぶっ壊れだな」
細剣を腰の鞘に納刀したエジルは息切れ1つ、汗1つ、魔力消耗の弊害も全て何ともなかった。
これが神を守り統括する天使族の長。
天霊族の姿か。
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