第47話・切れた糸口
今問題なのは、走っている経路についてだ。
俺は町を上下左右関係なく三次元的に駆けている。
ある時は上空へ、そのまたある時は家の中へ。
しかしこの鎖はそれをことごとく追ってくる。
『慣性無視』により急激に方向転換をしても分銅も方向転換し、背中をピッタリと張り付いてくる。
どうやら鎖も出せる最高速度が同じなのか追いつくことは無いのだが、離れることもない。
さらに驚くべきことにこの鎖、通った軌跡にずっと残っているのだ。
重力を無視して上空で浮かんでる鎖もある。
つまり鎖の長さに制限はなく時間をかければかけるほど、鎖によって行く手を阻まれることになる。
短期決戦は必要不可欠だった。
『防御魔法・完全防御』
この分銅を壊す最低条件が肉眼でも分からないほど小さくすること、だけど集中しても鎖に引っかかって転んで分銅に何されるかわかったもんじゃない。
トハンの言う通り今までの鎖を壊すのにだいぶ時間をかけてしまったせいで、町はもう鎖のトラップだらけだった。
「ワンチャンにかけてぶった斬ってみる?」
トハンは魂器を抜刀し、走りながら構える。
『奥義・虹蜺一閃』
【付与魔法『絶対切断・斬撃・急所付き』を発動】
トハンは軽い跳躍をし、一回転して鋭い剣筋で振り下ろす。
カギィィィン
弾かれたのをすぐに認識し、トハンは鎖をゴムのように利用し上へ跳躍した。
元々飛んでもない速度が乗っていたためか町を一望できるほど高くまで上昇する。
(サト!解析しろ!ミシアの居る位置と鎖の位置を把握してミシアからなるべく遠く、そして鎖のない場所で破壊を試みる)
【了解……『解析眼』発動………………完了】
そしてサトの解析した内容が頭に流れ込んでくる。
トハンは爆速を1度だけ使い真下へ亜音速で落下する。
こちらへ向かっていた1本の先に分銅の付いた鎖は方向転換しやはり追ってくる。
爆速が魔法である以上連発はできない。
距離を引き離そうと使っても防御魔法の維持ができなくなってそのまま鎖に襲われる。
さっきは身動きが取れない上空だったからこそ使ったが走ってる時は維持に集中したい。
そうしてトハンはまだ通ったことの無い道まで着き、防御魔法陣に集中して一気に縮小させる。
(こんな小ささじゃダメだ。もっと、もっと小さく、もっと!!)
トハンは防御魔法を分銅に当てたが魔法陣は割れ、相殺できずに直進してくる。
意外と……あっさりだったな。
俺はこの世界を甘く見ていたのかもしれない。
俺はこの宇宙を創り出した神だから、何者にも負けないと、驕っていたのかもしれない。
しかし、どうだ?今の状況を……
一気に圧縮された思考速度。
周りが止まったかのように思考する。
こんなことになるんだったらミシアを遠ざけておくべきだったな。
もう魔力も残ってない。
こんな綺麗なフラグはなんとまぁ……笑っちゃうよな。
一気に動き出す世界。
分銅はトハンの足に絡みつきガッチリと締め付ける。
その瞬間─────
【報告・音速を超えました】
サトの言う通り一気にトハンは今まで通ってきた道を音速を超えた速度で引っ張られていた。
完璧に同じルートだったので俺は民家などに体を1度もぶつけることは無く、大きなワームと魔法陣が見える位置まで戻ってきた。
触手は魔力に置き変わったのか、赤い光を発していた。
トハンは魔法陣に吸われていく鎖を見たが自分の体は拒まれ、下の地面に衝突する。
どうせ痛覚は無い。
ただ、状況は最悪だな。
魔法陣から新たに鎖が三本出現しトハンの四肢を拘束する。
そして鎖の炎が一気に強くなり、トハンの体を燃やす。
こっ!?これは!?
痛い……痛い!
痛覚無効が動いていないのか!?
【それは間違っています。能力『痛覚無効』は体に対するあらゆる痛みを無効化する能力ですが、魂には効果がありません。源である魂を燃やされれば痛覚も発生するでしょう】
(なんで…サトはそんなに冷静なんだァッ!?)
【私は能力。感情は持ち合わせていません】
あらまぁそうかい。
【しかしマスターがやられるのを見て何も対策を考えないほど馬鹿ではありませんが、対策を思いつきません】
俺は吐血しながら、なんなら体はダメージを受けてることに変わりは無いので、鎖が巻きついている四肢から大量の血が溢れ出る。
しかしそれ以上の痛みを俺は経験していた。
魂が焼ける痛みはこの世のあらゆる痛みを超越する。
俺は……死ぬのか?
いや、体が死ぬのはもう決定事項だが、魂が燃え尽きたら……転生もできない。
非常にまずい。
俺は考えた。必死に、考えた。
そしてある1つの方法を思いつく。
これを魔法じゃなくて能力にしておいて良かった。
そうして『磁力操作』を使って腰にある刀を浮遊。
腕と足を根元から切断し、即座に足だけ再生して、飛び上がる。
(そうだよな!だってサトは『自傷』を項目に入れない。主になるべくダメージを与えないようにサポートする能力だからその発想がなかったんだ)
【全くその通りで】
「跳躍する直前。少しだけ回復した魔力を使って、魔力の魔法陣を空間ごと捻じ曲げて破壊してやった。これで脅威は去った」
魂に受けた傷は再生しない。
俺は心の根底から湧き上がるジリジリとした痛みに顔をしかめながら刀をワームに構える。
「おら……ワームかかってこないのか?」
挑発まがいのセリフだが、同時にトハンを絶望に落とすサトの一言……いや報告を聞く
【解析完了。地岩砂竜蚯蚓(幼体)が成体を呼ぶ能力が発動されていたようです。こちらに向かってくる超巨大生物が接近しています】
幼体……だと!?
そうしてワームの後ろから俺が戦っていたワームの数倍はあろうかという大きさ、その巨体を前にして俺は……戦意を喪失した…………
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