第45話・決着
文字通り目にも止まらぬ速さでワームの皮膚を凹ませる。
ワームはなにかの衝撃を受け、地面に出している部分の体が吹き飛ばされ、体を出しているところを機転としてグワングワンと回るが、おそらく式神の一撃により逆回転になったり、叩き落とされたりしている。
速すぎて通った跡しか残らないのでどうなってるかはわからないが、単純に考えれば殴っているのだろう。
式神が着地した後か、地面に小さなクレーターができている。
脚力がえぐい。
とんでもない爆音が鳴り響く。
破壊力が強すぎる気もするが、ワームは着実にダメージを受けていた。
あれほどの威力でやっとダメージが入るのか。
ただのワームの数千万倍の防御力があるようだ。
「ふむ、私の想像以上の守りの硬さですね」
俺の横に立った式神はそう答える。
「でも、攻撃する方法はこれしかない。魔法が効かなかったんだ」
「ま、ほう?」
頭に無数のはてなマークを浮かべる式神。
「もしかして……魔法を知らないのか!?」
「えぇ、そんな言葉は聞いたことありません」
本当に知らなかったという声だし、表情もそうだ。
これが作ったとぼけ顔だったら、俺は世界の人達全員を信じられなくなる。
「その、まほうというのは分かりませんが、私が使うのは陰陽術です」
陰陽術……確か日本の時代が平安時代だった頃に活躍した占い師的なそんな勝手なイメージがあるが、それをどうやって攻撃に使うんだ?
「私は陰陽道の術を使い、自然の調和を保つ者。霊符神である!世界の均衡を乱す者よ。今ここにて灰となれ!」
そして霊符神と名乗る式神は、札のようなものを何十枚も飛ばす。
明らかに紙ではない動きだ。
普通紙は、投げても軽すぎるため真っ直ぐ飛ばない。
それなのに紙は一直線にワームの元へ飛ぶ
『炎光符・減変符・風灰符・土岩符・金剛符』
おそらく、今式神が放っている言葉はあの札のようなものの名前なんだろう。
式神が言葉を放つ事に数枚が紙の面をワームに向け、紙に書かれた五芒星が発光する。
それと同時に五芒星から様々なものが出現する。
炎光符と呼ばれた札は眩しいくらいに発光する白い炎をワームに放射。
減変符と呼ばれた札はワームに張り付き何やら青い光を放つ霧のようなものを放つ。
減変符はワームに直接的なダメージは与えられないもののワームは動くたびに青い光が発光し、速度が低下する。
他にも何十枚もの札を投げつけては発動させている。
「この札1枚1枚に上位貴族級を倒す。もしくは行動不能にするくらいの強さはあるんだが……」
と式神は言うが、ワームは先程までの
超元気!!!
とは行かないもののまだ生き生きとしていた。
「上位貴族級を一撃……貴族級は下から四番目の強さだが、階級の中では1番強さにばらつきがある階級だ。だがその中の上位貴族を倒せるとはだいぶ強い札だな」
「褒めても何も出ませんよ」
とは言うが照れている。
あぁ、間違いなく照れている!
という話は今はよそう、少なくともダメージは入っている。
「なぁ式神さん」
俺は式神に向かって真剣な声で問いかける。
「なんでしょう人間さん」
「お前の札の中に魔法抵抗力を下げる札とかないか?」
魔法という存在を知らない時点でこの札があること自体はおかしいのだが、もしかしたら名前を変えて似たような効果を持つ札があるかもしれない。
「そうですね。貴方の言うのに完全に一致する札は持ち合わせていませんが、相手の防御力を大幅に下げる札なら持っています」
式神は六芒星が刻まれた札を見せる。
陰陽術はわからないがなにか強い力を感じるのは確かだった。
「じゃあそれを使ってくれ、俺の全てを賭ける」
「勝手に賭けられても困ります。ですがあいつを倒せるならどんな方法でも構いません」
「助かる。とりあえず俺を少しでいい、守ってくれ」
そして俺は魔法陣構築を始めた。
創作魔法・天地破滅花はとんでもない魔力量が必要だ。
比較は難しいが初級魔法の数千億倍の魔力が必要になるのは言うまでもない。
だが、その魔力量に見合う威力がある。
この世に存在する全ての物体に特攻を持ち、そのものの火力も折り紙付き。
全ての属性のいい所を凝縮したような魔法だ。
俺の最高傑作の奥義と言っていい。
だが俺以外が使おうとしたら魔力切れ何回分程の量があるのかさっぱりだ。
俺しか使えない俺だけの技。
それを今、使うのだ
【魔法陣構築。魔力量を抑える為にサポート。火力上昇のため時間を代償に繊細な魔力操作を開始】
「構築が終わるまで守ってくれ、頼んだぞ」
俺は目を瞑り構築に集中する。
足元には複雑な魔法陣。
俺の体の周りには魔法式が纏う。
頭の上でも魔法陣が何重にも回転し、高密度の魔力で周りの空気が震える。
魔法陣は淡い光を発し、ワームを威圧する。
「人使い……いや、式神使いが荒いですね」
式神は札を飛ばしながら、超高速で近づいて渾身の一撃を入れるが微細なダメージ。
札も式神が発動させ四方八方からワームを叩く。
ワームの注意が式神に向けられる。
俺の40%程の魔力を使って発動させるが魔法は100%の威力は出ないだろう。
それでも、100%の威力なら神ですらタダではすまない威力なのだ。
何十%減ったところで倒せるはずなんだ。
トハンの左眼は虹色に光る。
魔法陣も虹色に輝き魔法陣は開花していない花の形に変化する。
「式神!今すぐ巫女さんとやらを連れて、ここから離れろ!」
命令するように力強く伝える。
「分かりました」
式神はなにか言いたそうな顔でこちらを見ていた。
というか顔にはこう書かれていた。
「どうして人間程度がこのような力を行使できるのか」と
理由など簡単、俺が人間じゃないからだ。
ワームはトハンを見る。
ワームは発光する光に目をやられたのか攻撃しようとはしてこない。
「これで決着をつけてやる!」
【周囲に生命反応無し、直線距離にも生命は探知されませんでした。安全を保証します】
『奥義・創作魔法・天地破滅花!』
花が開花し、虹色の球体が出現する─────
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