第44話・巫女
今の現象について考えるのは後にしよう。
トハンは倒すことより被害を最小限に抑えることを目的とした。
正直言って、倒すのは無理だ。
俺の中で最強の能力である【サポーター】常人の数兆倍の速度で思考し、演算や思考分離など、直接的に相手にダメージを与えたりすることはできないが、名称の通りサポートに特化している。
もちろん封印され、多少の思考速度低下はあるだろうがそれでも強いのは事実。
現世で見た、某最強のスライムも似たような能力を持っていたが、某スライムもあの能力のおかげで異世界を生き延びる事ができているような物。
思考能力の上昇は何に関しても通用する最強の能力なのだ。
まぁ何が言いたいかって言うと、その能力が倒せる手段を思いつかないというのだ。
封印された今の俺じゃ無理だ
トハンは納刀し、少しワームから離れる。
トハンは両手を地面に付ける。
『土属性魔法・地爆轟々』
広範囲の土が巻き上げられ、それが粉塵爆発を起こす。
爆裂魔法の中では1番魔力消費が少ない魔法だ。
小さな粉がないと使えないがこれは地面の土などを巻き上がらせ、細かくし、爆発を起こさせるのだ。
可燃性の粉塵でないといけないが、まぁそこは魔法溢れる世界なので原理はサトにでも聞いて欲しい。
ワームの周りを地面ごと爆発させたがこの程度で倒せるなら俺の奥義で倒せたはずだ。
周りが晴れるとやはりほぼ無傷のワームが鎮座していた。
ワームは勢いよく飛び出し、トハンを押し潰そうとするがあの巨体である。見え見えの攻撃に当たるトハンではなかった。
だが、ドシンという音と共に触手が飛んでくる。
トハンは右手で腰の刀に手を当てる。
『武技・波動一閃』
たった一撃で数百の触手を切り落とした。
だがやはり、本体にはダメージがない。
「本当に、どうすればいいんだ」
頭を悩ませていたその時────
『式神召喚』
強く耳にすんなりと入る透き通る声、その声の中には優しさを感じる。
1つの民家の屋根に立ち、腰には大麻を、手には何やら札のようなものを持ち、黒い目で強くワームを見据える。
巫女装束に身を包み。髪の毛を後ろで結んでいるが髪が長いためか、腰まで黒い髪が垂れていた。
女性特有の丸い体、胸は少し膨らんでいるだろうか、どこからどう見ても女性である。
そういえば『式神召喚』と言っていたな。
式神ってなんだ?
【式神とは、陰陽師の使役する妖怪、位の低い神。様々な者がいます】
(当たり前かのように心を読んでくるな)
位の低い神……あれが?
数秒前の記憶。
巫女の持っていた札が光だし、巫女の前に浮遊する。
魔法陣……というか五芒星が出現する。
魔法陣の五芒星は低級魔法の魔法陣だが、これは魔法では無い。
明らかに魔力を感じられないのだ。
空間に穴が開き、中から人型のなにかがでてきた。
魔力を感じないのは同じだが、なにか別の力を強く感じる。
人の姿ではあるが人では無いのがよく分かる。
普通の人なら気づかなさそうだが。
長身で暗い青色の髪。遠目だから正確な数値はわからないが巫女と思われる女性より頭1つほど大きかった。
和服にが良く似合い、特に武器を持っている感じはしないが、俺の経験からわかった。こいつは俺より強いというのが。
あぁ、勘違いしないで欲しいのは今の俺より強いと言うだけで封印されていない全盛期と比べたら足元にも及ばない。
という苦しい言い訳は心に留めておくだけにする。
式神召喚で出て来たんだからあれが式神だろう。その式神と巫女はなにか話しているようだった。
式神が頷くと式神は民家の屋根から飛び降りた。
普通の一般人なら足を痛めて骨折、頭から落ちれば死ぬような高さからさも当然かのように、階段を降りるかのように式神は降りてきた。
「君は誰かね?」
式神は俺に向かって話しかけてきた、見た目の通り美声で、前世ならモデルとか余裕でやってそうな見た目。
こうして対面したらわかるが俺より身長は高く、黒い目でこちらを見る姿は獲物を見るような目であった。
「俺は冒険者だ」
「ほう、冒険者とな。確か依頼を受けて様々なことを行う何でも屋、と私は認知している」
「まぁそんな感じだ」
もちろん目の前でのんびり話している相手を見逃す馬鹿では無いワームは、触手を数百本飛ばす。
トハンは刀を抜刀し、自分に向かってくる触手を全て切断した。
式神は余裕綽々、という感じで全て避けきっていた。
「どうやら貴方は敵では無いみたいですね」
「あぁ、俺の事警戒していたのか」
まぁ当然か、俺の場合、式神からは敵意も殺意も感じられないから警戒しなくても俺に危害を加える奴じゃないと判断したが相手も同じ基準だとは限らないか。
「このワームとやら、どうやら自然の摂理に反した存在だと、巫女様は言っていた。自然の摂理が乱れると動物たちに迷惑がかかる。利害の一致で私は召喚されたというわけだ」
「……まぁよくわからんが、とにかく俺の味方なんだな?」
「端的に言えばそうだ」
民家の屋根の上で、式神から巫女様と呼ばれている女性は大麻を持ち、なにかを踊りながら何かを言っている。
【不明な力により、ステータス上昇を確認】
確かになにか力が湧いてくる。
「巫女様の神楽。さすがと言うべきサポート能力と言わざるを得ないですね」
式神はワームを見据える。
「あいにく、私は協力というものが苦手でしてね。好きに暴れさせていただきますよ。人間さん」
そうして式神はワームに近づく。
正直に言おう。俺の動体視力でも見切れないほど速かった。
「これは心強いな」
どうでしたか?楽しんで行けたら幸いです。
もし楽しんでいけたのなら、下にある
☆☆☆☆☆
の評価をつけてくれると嬉しいです。
1つでもつけてくれたら私は嬉しくてどんどん作品を書いていこうと思います。
ぜひよろしくお願い致します。




