第42話・倒す為に
超加速で走り出したトハンは刀を構えながら、ワームの下へ潜り込む。
潜り込んだトハンは両手に握られている魂器と愛刀をXの字を書くように振り上げる。
ワームの体はうねるかのように体を縮ませ、攻撃を回避する。
振り上げた刀をもう一度Xの字を書くように振り下げる。
今度は能力を使い、刀に雷を付与させ斬り付ける。
ワームの体に刀が当たり電撃が空気に漏れ出る。
「これは!?」
しかし、刀はワームの体にあたる直前で止まっていた。
先程は当たったと思い込んだだけだ。
「防御魔法、あるいは結界の類か」
ワームは自分のうねる体を地面に叩きつけようとする。
ワームの体の真下にいるトハンはこのままだと押し潰されてしまうため、真横に向かって地面を蹴る。
トハンが先程まで居た場所は押し潰されていた。
「あっぶねー」
休む暇も与えず、ワームは口から粘液を飛ばしてくる。
【先程ルキが受けた毒と同じ物です。マスターも当たれば回復するのに時間がかかります】
トハンは少し戻った動体視力で粘液を見てから避けた。
左右に避けながら、ワームの目の前まで近付き跳躍。
そのまま刀を勢い良く振り下ろす。
今度は刀に炎が纏われるがやはり体に当たる直前でなにかに阻まれたように止まってしまう。
空中にいるトハンをワームは思いっきり体を捻って体当たりする。
トハンは吹き飛ばされ、民家の壁に激突する。
【損傷7%・再生を開始】
なんの焦りも見せず、立ち上がるトハン。
いくらワームが再生しなくなったとはいえ、結界や防御魔法で攻撃が塞がれる。
傷を付けるのは難しいぞ。
(サト、結界を破る為の魔法とか能力は無いのか?)
【現状存在しません】
ないか……
現状存在しない?
現状?
「そういう事か」
『世界能力・創造魔法【能力創造】』
【能力『結界破壊』を創造しました。結界に直接触れた状態で能力を発動するとその結界が破壊されます】
まぁそもそもこいつがどういうやり方で攻撃を防いでいるのか分からないから結界なのかわからないんだけどな。
【解析に時間がかかっています。再生能力を壊されてから行動パターンが変わり、予測できない動きをしています。もう少しお時間を】
「まぁそもそも何も情報がない敵を行動パターンなどから推測するサトの凄さを自分の能力なんだからわからないとな」
時間がかかるのは当然。
むしろ今までが早すぎたんだ。
「サトの解析が終わるまで耐え続ければいい。わざわざ不利な状態で戦う必要も無い」
ワームが螺旋状に体を地面から出した。
「何をするつもりだ?」
トハンは後ろに向かって跳躍する。
【蚯蚓の周辺に大量の魔力が集まってきています。魔法を使う準備である可能性が高いです】
ワームの丸い口の中心に魔力が収束する。
【放射系魔法です。属性変換されていません。あのままでは爆発します】
(威力は!?)
【爆心地中心から半径500メートルほどが消滅します】
(ミシアとの距離は?)
【直線距離、役3.6km】
「ならひとまずは安心だ」
とはいえ、そう易々と発動させる気もない。
トハンはワームの口に収束した不安定な魔力球に向かって属性魔力を流し込む。
属性が付与されたことによって、魔力球が安定する。
「これで爆発することは無いだろう」
ちなみに、相手が構築している魔法陣や魔力に干渉するのは、この世界では不可能と呼ばれるほどの事をトハンは軽くこなしていた。
「まずはアイツの戦闘力を下げるのが目標だ。まだサトの解析が終わっていない以上、倒すのはまだ不可能だ」
奥義が意味をなさなかったんだ。火力でのゴリ押しは意味が無い。
魔力を無駄に消費するだけだ。
「まずはアイツの障壁のような物が結界か否か確かめよう」
触れる為にトハンは縮地を使って、ワームの背後に移動する。
「くそっ」
ワームの体から触手のような物が生え、トハンを横に吹き飛ばす。
トハンは受身を取るが、ワームはその内に体が変化していた。
「魔王にしては弱いと思ったが、まさか本気ではなかったというわけか」
今のワームは体の至る所から、先端が槍のようになっている触手を100本以上、なんならもっとあるかもしれない。
それほど大量の触手を生やしていた。
触手が何本もトハンに向かって飛んでくる。
「なんだっこれ!」
トハンは油断し、触手の1本が肩に突き刺さる。
それ以外はトハンに奇跡的に外れる。
【警告。ものすごい速さの刺突攻撃です。速度算出……秒速500m。音より速いです】
「速すぎだろ」
トハンは刀を触手に向かって振り下ろす。
スパーンとあっさり触手は断ち切ることができた。
「どうやら触手には謎の障壁は張られていないようだ。触手が切れるなら話は別だ」
トハンは、能力で動体視力や身体能力を格段と上昇させる。
『二刀流・武技【閃刀乱舞】』
心の中で唱えると同時に、刀身が発光する。
周りの魔力を吸い、攻撃の火力を上げている。
結果、集合すると光る性質がある魔力が発光しているというわけだ。
トハンは自分に向かって飛んでくる文字通り無数の触手を1つ残らず切断する。
まるで蝶が美しく舞うように、隙も死角もどこにも見当たらない武技。
乱舞というがその動きは洗練されており、後ろからも向かってくる触手を切断。
上空や地面から来る触手もステップを踏むように最低限の動きで回避し、切断。
刀身に纏った魔力が刀の軌跡をなぞり、トハンの動きを装飾する。
しかし、無数の触手がなくなることはなく、切断しても切断しても新しい触手が襲ってきた。
このままじゃあ埒が明かない。体力が無限にあるからこのままあっちがどれだけ耐えられるかの勝負になってしまう。
でも俺はあいにく長い間居座る訳には行かない。
まだ変化仮面の複製が間に合っていないのだ。
魔力に制限ができてしまって、記憶改竄はできて100人。
つまり俺の姿を見せていいのは90人ほどになる。
さすがに魔力枯渇を起こしてでも改竄しなければいけないことでは無い。
とはいえ、易々とSSランク冒険者がとある高等学校の生徒だとバラすわけにもいかない。
サトの解析を待ちたいがこんな爆発音が鳴ったんだ。この街の人達は洗脳されていたとしてもこの街の近くを通りかかった冒険者にどう噂されるかわからん。
「やはり、どちらかが仕掛けるしかない」
【マスターは身体損傷率、82%を超過すると再生不能で死亡します。くれぐれも損傷率82%未満で済ませてください】
トハンは最悪、再生するまで逃げるのも視野に入れて仕掛ける。
『二刀流・武技【旋風直閃】』
トハンが少し後ろに下がり、刀を構えると刀に風の魔力が付与される。
トハンが地面を蹴ると、正面からやってくる触手をドリルのように切り裂きながら突き進む。
そのまま走り、ワームの前まで来ると跳躍。
空中を蹴ったトハンはワームの口の中へ入り込んだ。
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