第41話・魔王級
夏休みエンジョイしてたら3週間休んでいた自分にびっくりしたんすよね
魔力はミシアのおかげでたっぷりある。
問題はあいつをどう倒すかだ。
弱点らしい弱点は見つけられていないし。
「大丈夫なのか?トハン」
トハンはルキと一緒に並走する。
目はワームから逸らさず声だけでトハンのことを心配をする。
「あぁ、俺はピンピンしてるよ。だが問題はアイツもピンピンしてるってことだ」
知能がないから精神的疲労もほぼないみたいなもんだ。
「アイツは痛覚があって痛いと感じると興奮して暴れる。だがすぐ何も無かったかのようになる。普通の人間なら痛さの恐怖がもう一度来るかもと威力減衰なんかが起こる」
「しかしアイツはそれを感じないとお主は考える訳だな」
前で地面の中を動くワームに向かって殺意を向けるルキ。
「何回も攻撃してもアイツは人を食い、町を壊す」
ワームは地面から飛び出し、体当たりで建物を壊す。
ルキが大きく跳躍し、ワームの背中に向かって一撃を放つ。
衝撃波が伝わってくる程の威力。
しかしワームはすぐに再生する。
「やっぱりダメだ」
ここら辺には人がいない。
少々暴れても大丈夫そうだ。
「アイツを倒すには能力が邪魔だ。能力は破壊する」
興奮したワームが飛び跳ねるようにこちらへ向かってくる。
それを同時に後ろに飛び回避し、ルキが疑問をトハンにぶつける。
「どうやって?」
今度は地面の中に潜り姿を消したワーム。
「こうするんだよ!」
『魂器召喚』
その瞬間、トハンの周りに光り輝く魔法陣が現れる。
ルキはそれに見とれているようだがとりあえず無視する。
【魂器召喚を確認。魂器召喚に値する器か検査を開始。検査完了。条件突破。魂器召喚を発動します】
トハンの胸から丸い球体のようなものが現れ、その輝く球体は魔法陣の中に吸い込まれる。
魔法陣は形を変え、空に向かって轟速で飛んで行った。
飛んで行った軌跡には胞子のような小さな光が浮かぶ。
大量に密集した光は光の柱となり、空を貫いた。
間も無く、空から光の柱を引き裂くように刀が降ってきた。
地面に刺さっているその刀の刀身は、揺らめく炎のように淡く発光していた。
魔力的なものか、それとも精霊的なものなのかは分からないが、とにかく美しい刀身をしているのは事実であった。
柄をもって刀を引き抜く。
改めて見ると刀身が鏡のようにトハンの目を映していた。
刀を持った瞬間に左腰にこの刀に合いそうな鞘が携えられていた。
「これが魂器か、前に持った時より力が湧いてくる。封印を解いて本当に魂器を持つのにふさわしい力を手に入れたというそういうことだろうか」
トハンは刀を一度軽く振る。
降っただけで強い風が吹き荒れる。
「これが噂の魂器か、我はまだ出せないがトハンは出せるんだな。同じ最上級冒険者として嫉妬してしまうよ」
言葉通り恨めしそうにこちらを見るルキ。
まぁこの魂器、前と比べて随分と派手な登場をした訳だがな。
刀も格好つけたいお年頃なのか?
「雑談してる場合じゃないな」
「そうだな。我がワームを引き止める。お主は好きに戦え」
ルキは前に向かって跳躍。
その跳躍したルキを捕食する為にワームが地面から飛び出す。
しかし、ルキの拳に炎が纏われ、真下に向かって拳を放つと、炎の槍のような形をしてワームの体の中に侵入する。
中で何が起こっているのかは分からないがワームは大きく暴れ、打ち上げられた魚のようにバンバンと体を地面に打ち付ける。
「ナイスだ。ルキ」
ワームの隙を見逃さず刀を構えワームに向かって飛ぶ。
『神羅万象絶対破壊・能力破壊』
トハンは刀を振り下ろす。
刃がワームに当たり、切り傷をワームにつける。
トハンが地面に着地すると、付けた切り傷から正体不明の美しい光が漏れ出る
【魔力50%を代償に能力『極神再生』を破壊しました】
トハンは地面に手を着く、膨大な魔力を一気に失ったので体が麻痺しているのだ。
「……」
大切に使うって思ったのはなんだったのか。
まぁ再生能力があると倒せないから最適だったのかもしれない。
「トハンが付けた傷が再生していない」
ルキがそう言っていたので顔だけあげると、確かにワームに先程つけた傷から血が流れ出ている。
効果ありということだ。
俺もルキも安堵しているが、その少しの隙を見逃さず、ワームは液体のような物をルキに吐き出した。
「なんだこれ?」
焦りを見せないルキだったが少しずつ顔が焦燥に駆られる。
「動けない」
超加速でルキを通り過ぎ、手につけてみた。
ついでにワームに斬撃を入れたが防御魔法で防がれた。
体が再生しないからすぐに対応したのだ。
知能がないとは思えない。
【解析完了・蚯蚓粘性体液毒。という毒で触れただけで麻痺、行動抑制、そして一般人なら一瞬でも触れただけで死んでしまう程の致死性の腐食魔力も兼ね備えている、自然界では最強と言ってもいいほどの猛毒です】
なんだと……いくらあいつがSS級冒険者だとしても耐えられるのはせいぜい数十秒、もしくは数分。
毒性を抑えてみるか。
『極滅魔法【毒破壊】』
毒性の物体にかけることでその毒を消すことが出来る魔法だ。
「少し楽になったな」
どうやら完全には破壊できなかったらしい。
理由はおそらく……俺が創造神だから……
「考えてる場合じゃない、速く倒して治療しないと」
【ルキの戦闘力が80%減少しました。腐食魔力により、体内にある魔素や魔力が犯され、強化魔法だけでなく肉体にも影響を与えたのかと思われます】
(正直、ルキがいると?)
【速度や瞬発力低下により、攻撃を受け、さらに身体強化が使用不能状態なので死亡する可能性が高いです】
「なぁルキ!」
襲って来るワームの攻撃を弾きながらトハンは大きな声で名前を呼ぶ。
「なんだ」
「お前は……さっき俺が倒れていたところにいた2人を守ってやってくれ!」
大声で強くハッキリとルキに向かって放つ。
「しかし……っ!」
ルキが悔しそうな顔をする。
ルキだってバカじゃない、自分がここにいると邪魔になるってことを理解しているんだ。
「わかった。絶対死ぬなよ……トハン!」
ルキは走り出した。
さっきトハンが見たルキとは比べ物にならないほどゆっくりと走る。
「ごめんな、ルキ。でもお前がいると俺は本気を出せないし、お前をこんな所で死なせる訳には行かない」
トハンは異空間から自分の刀。
猛牙勇豪を取り出した。
『武神能力権能【神級・二刀流】』
猛牙勇豪もこの世界では1番と言っても過言ではない。
なんなら世界どころではなく、宇宙で1番強い刀かもしれない。
それと魂器の二刀流で構えるトハンは神々しさを感じさせる覇気を放っていた。
「あの娘に害が及ぶのならば、お前はここで排除する」
超加速で走り出したトハン。
【相手は魔王級。いくらマスターとはいえ、全力の1割しか力を出せておらず。力の大部分である重要能力は封印されています。マスターの勝てる可能性は多く見積っても15%程だと算出】
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