第39話・悪夢の魔王
なるほど、弱体化していたとはいえ俺を追い詰めるほどの者がどういう奴か気になっていたが、まさか世界に3人しかいないSS級冒険者だったとは。
「協力するが条件がある」
巨大なワームが襲ってくる。
その口は目の前に迫っていた
「俺と友になれ」
「いいだろう」
ニヤリと口角を上げてトハンは次の瞬間、迫り来るワームの上空へ一瞬で移動し、口を鉄槌で閉ざした。
連携してルキが渾身の一撃を放つ。
ワームの地上に出ている部分を一撃で吹き飛ばす。
「まぁそんな上手く行かないよな」
一瞬で再生して空中にいるトハンを捕食しようとする。
しかしワームの下に移動したルキのもう一撃によってまたワームに巨大な穴が空いた。
(あれって明らかにおかしいよな、ただの身体能力であそこまでのパワーが出るわけない)
ルキはバク宙して距離を取り、着地したトハンと横並びになった。
「あいつは再生速度が尋常ではない」
ワームの巨大な穴はうねうねと動く肉が埋めつくし、もう既に元通りになっていた。
「しかし再生する魔物の倒し方はある」
攻撃されて痛覚はあるのか、興奮したように見えるワームは地面に潜り姿を消した。
「俺が注意を引く、ルキはその倒す方法とやらを試してくれ」
「わかった」
本当は俺もわかっている。
自分の能力としている以上本質は誰よりもわかっているつもりだ。
再生
どんな攻撃も心臓と脳が無事ならどんな損傷も治る。
失った部分は消滅し、元々体があった場所に細胞が復元する。
下級再生能力なら心臓と脳、どちらかを刺されれば死ぬ。
しかし上位の再生能力なら心臓を1突きされようが脳をくり抜かれようが再生できる。
だが再生能力の弱点。
それは
再生するより早く心臓、もしくは脳を破裂させること
心臓、もしくは脳を破壊し、再生をさせないこと
この2つだ。
正確に言えばもっと細かいがざっくり言えばそういうことだ。
しかし再生能力が強ければ強いほど難しくなってくる。
でも、どんなに上位の再生能力でも心臓と脳のどちらかを一撃で破裂させると死ぬ。
まぁそれが出来ればの話だ。
前に戦ったコボルト、あいつは心臓付近と頭に再生のリソースを使っていた。
再生能力は自分で集中したところの再生力をあげることが出来る。
まぁ長々と説明したところだが簡潔に言おう。
【心臓か脳。どちらかを一撃で破裂させること】
「さっきルキが地上から出てる部分を吹き飛ばした時。あいつは再生した。つまりあいつのさっき地面に埋まっていた部分のどこかに心臓か脳があるという事だな」
とは言うものの解析眼であいつの全長が1kmあるのはわかっている。
1kmもの巨体を組まなく切り刻むのは時間がかかる。
何か、方法は無いのか。
すると
「急にどうした?」
ワームがいきなり方向転換して砂の中に潜り、まるで砂の中を泳ぐようだった。
それを追いながら少しトハンが前に出て、それをルキが追う。
「なぜ急に逃げ出したと思う?」
トハンが前を向きながら横斜め後ろにいるルキに聞こえると踏んで質問をする。
「さぁな。でも砂の中をこんな速く移動できるのはやはりこいつが砂の中を生きる魔王級だからか?」
そうしておよそ15キロ程をたった5分で移動してやっと気づいた。
トハンが後ろを走るルキに大きな声で質問する。
「こいつ、街に向かってないか?」
「そのようだな」
そういえば蚯蚓系の種族は生き物を捕食すると普通のモンスターの2倍の強化がされるんだったか?
モンスター、魔物は生き物を食べると体が強化される。
その強化に1番効率がいいのが人間だ。
栄養価が高く、断末魔を聞くために殺す愉快的な魔物もいるようだが、とにかく人間は体の強化には最適だ。
あいつのすることは街にいる人達を捕食すること。
ルキはもうそれに気づいているようだが何も出来ない状況にいる。
「アイツの移動速度は地上ならば我たちには遠く及ばないが砂の中をこのような速さで移動されると、予測して穴を掘っても間に合わない。地上から攻撃を喰らわそうとしても砂のせいで威力が分散してしまう」
それはそうだ。
ここら辺の砂はそんじょそこらの砂ではない。
魔純鋼砂と呼ばれ、魔鋼は魔法的威力をほぼ無効化する特性を持つ。
つまり何が言いたいかと言うと、身体強化は魔法で威力を上げているので、その身体強化を無効化してクソザコにできるということだ。
「我の身体強化は究極の域にいるが逆に身体強化しか魔法は使えない。トハン、お前はこいつを止めるための何かができるか?」
街があと見た感じ1キロほど。
このモンスターなら20秒ほどで辿り着いてしまう。
「ルキ、くれぐれも気を付けろ」
トハンがそう言い残し、魔法陣を構築しながらワームの100m程先に移動する。
【創作魔法・天地破滅花の魔法陣構築完了。しかし威力100%で発動は不可能です。魔力量が足りません】
「なら俺の今使える魔力の全てを使って発動しろ」
【了解、威力30%で発動します】
虹色の魔法陣が回転数をあげ光の円となる。
「天地破滅花!」
トハンの体ほどの大きな虹色のまだ開花していない花が魔法陣と入れ替わるように出現し、花が開くと
虹色の大きな球体が出現しそれは地面に向かって発射された。
魔純鋼砂にもかかわらず突き進む光球。
ちょうどワームの目の前まで移動した光球を残り少ない魔力で反射板を発動し真横に移動するようにする。
真横に行ってしまったので何が起こってるかは分からないが、甲高い悪魔のような断末魔が耳に届く。
【警告。催眠効果のある音声を確認。即座に抵抗を発動しました】
(ありがとうサト)
「ルキ!大丈夫か?」
頭を片手で抑えるルキに問う。
「あぁ、少し痛むが問題ない」
すぐに駆け寄り、抵抗魔法をかけた。
そしてルキは「ありがとう」と言い辺りを見渡した。
そもそも抵抗魔法が効いた時点であの声は魔法だ。
俺の場合はそういう能力があったから効かなかったが。
しかしなにか不穏な空気を感じる。
空を飛ぶ鳥が空中を旋回し、街の人たちもこちらへ向かっている。
(催眠効果を受けてしまったのか?)
トハンは軽い気持ちで治しに行こうと歩くが……
この時走って助けなかったことを後悔することになる。
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