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第34話・制裁はまだのようです


 スログアドラーに変化したトハンは、貴族街の一角。

 やや大きめの貴族邸。

 音を立てずに地面に降り立ち、まず門番の対応を見ることにした。


「何者だ!」


 槍をこちらに向け怒鳴る鎧を着た男。

 だがスログアドラーは何事無かったかのように。


「ここの主人はいないかな?」


 低い、抑揚のない声で応じる。

 門番の男は。


「だから要件を言わないか!」


 しかし、執拗(しつよう)に迫ってくる男に少し苛立ちを感じ、今までの発言を後悔することになるものを提示する。


「こっこれは!?」


 門番の男は控えめに言っても人生の終わりを悟ったかのような顔に早変わりしていた。

 スログアドラーが提示したのはギルドカード。

 世界に3人しか存在しない伝説の(クラス) SSランク。

 ギルドカードには明確に『SS』の文字が刻まれていた。


「すいません、お許しください!私には家族が……」


 急に態度を激変させ、ペラペラと想いもしていないことを連ならせている男。

 だがスログアドラー、話している途中の男の言葉に割り込む。


「お前のことはどうでもいいから主人に会わせろ」


 先程と同じ、だが明らかに苛立ちを感じさせる声で男を威圧する。


「ですがスログアドラー様……申し上げにくいのですが、私にできるのは『スログアドラー様が会いたいと仰っている』というのを報告するだけでございます。リーハル様が応じてくれるかどうかは……」


「いい、やれ」


 そうして男はペコペコしながら消えて行った。

 入れ替わるように、同じく鎧を纏い槍を持った男が来た。


「話は聞いている。だが少し待ってもらうことになる俺には中に入れることはできん、これでも仕事なんでな」


「あぁわかっている。お前達を責めるつもりはない」


 しばらくして先程の門番の男が戻ってきた。


「許可が降りましたのでご案内します」


 そうして俺は武装を外され、屋敷の中にある一室に入った。

 そこにはソファに座っているリーハルがいた。


「待たせてすまぬな、スログアドラー殿。来客の部屋は今は使えない状態でしてな」


「いや、別に気にしていない」


 スログアドラーはリーハルに対面する形で座った。

 メイドがお茶を置いて部屋を出ていく。


「それで、天下のスログアドラー様がこんな弱小貴族になんの用で」


 お茶を優雅に飲み、リーハルは質問をする。

 腐っても貴族ということか。


「単刀直入に言おう、お前を殺しに来た」


 しかしリーハルは何も驚いていない。

 それも当然だろう、俺は今武装を外されている。

 特に表情を変えずにお茶を飲んでいた


「なぜ私を?」


 スログアドラーはお茶を手にして飲む前に()げた。


「俺はこれでも冒険者なんでな、偽善行為をするのが仕事なんだ」


 スログアドラーはお茶を一口飲む。

 やはり腐っても貴族。

 一応美味いお茶であった。

 そう、ある一部分を除いて。


「まさかスログアドラー殿がこんなにあっさり死んでしまうとはSSランクも大したことないですな」


 急に煽り口調になったリーハル。

 理由は1つ、お茶に毒を仕込んで俺を毒殺する気だったらしい。

 だがもちろんその程度で何かある訳もなく。


「なに!?」


 毒殺に失敗したのが想定外だったのか、先程の冷静さを失っていた。

 しかしサトが驚きの解析結果をスログアドラー……いやトハンに言う。


【解析結果・とても希少な毒で()()()()()()()()()()()と同じです】


 その一言にトハンは空気を一変させる。


 いきなり部屋を大きな殺意で埋め尽くす。


「オマエ……記憶を見せろ」


 トハンは記憶の解析を行った。


 するとそこには王族に毒を盛ることを契約している記憶が発見された。

 契約相手は俺が前に殺した侍女。


「まさか動かされていたのか……あの時は感情に任せて殺してしまったがまさか黒幕がいたんだな。参考になったよ。平等派の王族を殺そうとしている貴族は他にもいそうだ」


「私を殺すのか!?いいのか?私を殺せば、街の一つが機能しなくなるぞ!多くの人間が住む場所を失うのだぞ?冒険者であるお前に、街が一つ無くなるのは痛手じゃないのか?」


 そう、何度も言うが腐っても貴族。

 街一つを経営するのはすぐに代理を立てられるほど簡単ではない。

 トハンは自分の感情を抑え。

 王族の利となることを考えた。

 しかし何度考えようとも、所詮元一般人。

 政治的な部分はサッパリだし、ありがた迷惑もミシア達にさせたくない。

 結果トハンが思い付いたのは。


『陛下、お話したいことが』


 王族に直接聞くことだった。



 翌日リーハル家の人間は全員召喚され、玉座の間に並んで(ひざまず)いていた。

 玉座には女王が座り、横にはミシアと

 周りにはいかにも偉そうな人達がいた。


 トハンは存在遮断を使いミシアの横に立っていた。


「昨日、冒険者ギルドから報告書が届いた、どうやら多数の犯罪をしているそうではないか」


「いえ、女王陛下、その報告書の内容は(いつわ)りでございます」


 リーハル。いやサイガンは、余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)と言葉を並べていく。


(想ってもないことをペラペラと喋りやがってゴミムシが)


【マスター落ち着いてください。好感度が一定以上を超えた。名称『ミシア』に毒を盛ったのは事実ですが、あまり殺気を出されると存在遮断の効果を無視して大量の殺気が流れ出てしまいます。今は静観(せいかん)を】


 そうしてその日は終わり、一旦リーハル達には帰ってもらった。


「それで、トハンあいつらのことをどう思う?」


「ミシアに毒を盛らせた張本人です今すぐにでも首をハネさせたいですが、今は我慢します」


「そういうことじゃないんだが」


 女王は書類を見ながら考える。

 まるで宿題に頭を悩ませる子供のように。

 うぅぅぅ、という声を出している。


「そうですね、あの玉座の間で言ったことはほとんどが嘘です」


 トハンは真面目に先程の質問に答えた。


「だが証拠がない、彼奴らの情報隠蔽は完璧だ」


 そうして次、また次とリーハルに関する書類に目を通す。


「では、私が証拠を掴んで来ましょうか?」


「本当に?多くの部下を使って証拠が掴めないのだぞ?こう言ってはなんだが、お前は強いが政治関連には弱すぎる」


「それは存じておりますよ」


 悲しいが女王の言う通りだ、政治は全く分からないし、証拠が掴める保証もない。


「私は私らしく、様々な能力(スキル)を使って証拠を掴みます」


「まぁ、頼むよ。スログアドラー」



 さて、探してみるか、証拠ってやつを。

どうでしたか?楽しんで行けたら幸いです。


もし楽しんでいけたのなら、下にある

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 1つでもつけてくれたら私は嬉しくてどんどん作品を書いていこうと思います。

 ぜひよろしくお願い致します。

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