第33話・少年の覚悟
「何してるの!!」
【対象の名称は『リアン』どうやら魔力を持っているようです】
(彼はいつから見ていたかわかるか?)
【超跳躍をして名称『リハサ』をゴミ箱に入れているところまで、ここに来てからのほぼ全てを見ています】
(はぁ、ということは創造魔法を見られたのか)
「リアンくん。僕は別に子供を捨てたとかそんな訳じゃ」
そう言いながら少しずつリアンに近づく。
しかしリアンは、後ずさりする。
「じゃあなんで僕の妹を抱えていたの?」
(妹?)
【どうやら彼……訂正、彼女は女性のようです。解析を行わず見た目だけで判断してしまいました】
(別にそこはいいんだ)
問題は言い訳の仕方だ。
傍から見れば子供を持ってゴミ箱に入れたように見える。
傍から見ればではなく、実際そうだ。
「リアンくんの妹は貴族の牢屋に閉じ込められていたんだ。助けた俺に謝意はないのか?」
途方もなく上からの嫌味ったらしい台詞。
だが少年は意外にも。
「確かに。数十日も行方不明だった妹が助かったのは貴方のおかげ……」
後ずさりする足を止め。
熟考するように顎に手を添える。
リアンは結論を出したのか。
トハンを睨む。
「でもだからといって……」
リアンの手には魔法陣が構築される。
「ゴミ箱に捨てるような奴に謝意などない!」
魔法陣に魔力が注がれる。
発動魔法は『炎光弾』
だが魔法が飛んでくるよりトハンは。
リアンが詠唱をせずに魔法を発動したことに驚いていた。
トハンは左手を突き出し。
突き出した左手が、魔法と接触する────
だがトハンの左手に魔法が当たった瞬間
「えっ?なんで!僕の最上位魔法なのに!」
フワッ!っと魔法が魔力の維持を出来ずに雲散霧消した。
「この程度で倒れちゃ。リアン一人で妹を助けられたことになるぞ?」
「確かに。僕が一生懸命手がかりを掴んで、わざと捕まろうとして泥を少し被って体当たりしたのに、やってから怖くなっちゃった」
「妹への想いはその程度ということじゃないのか?」
そうして言ってから気づく、今の言葉は軽率だったと。
トハンがリアンの反抗に備えて構えると。
そこには絶望の色が濃く現れた瞳を持つ少年がいた。
意外な雰囲気の変化にトハンは
「えっと……大丈夫?」
「なんで落として上げるんだよ」
プルプルと震えて涙を流す。
「リハサは唯一の家族なんだ。でも僕は居場所がわかったのに怖くて前に進めなかった」
リアンが歩み寄ってくる。
そして俺の体に頭をつけて泣いた。
「僕は、そんな自分が嫌だった。リハサは僕を支えてくれた。いつも笑顔でお父さんやお母さんが死んじゃった時も、僕の前では笑顔を作って、泣いちゃ、2人とも悲しんじゃうよ。って」
握り締めた右手から血が垂れる。
そして嗚咽混じりの声で
「そんな自分が、弱い自分が、この世界でのうのうと生きてるのが嫌だった。リハサの方が強いのに、僕がこの世界を生きているのが」
トハンがリアンの右手を回復魔法で癒しながら。
「でも、リハサは助かったじゃないか」
「確かに、リハサは帰ってきた。帰ってきてくれて嬉しかった。でも貴方の話を聞いて、確かにそうだなって」
「そうか……」
トハンはしゃがみ、涙目のリアンと目線を合わせる。
彼の両手を持って問う。
「リアンは妹と楽しく、幸せに暮らしたいか?」
「もちろん」
「リアンは妹を守れるくらい強くなりたいか?」
「なりたい」
「リアンは強くなる責任を負う覚悟があるか?」
「…それは」
「それを決めるのは君自身だ」
リアンは涙を拭い。
力強い眼で
「強くなりたい。妹を守れるくらい。強い自分になりたい!」
「いいねその眼、それじゃあリアンにはこれをあげる」
トハンはある物をリアンに渡す。
「これは?」
「これの名前はミサンガという。これを付けてこれから生きて行きなさい」
「これをどうすればいいの?」
「俺の故郷ではこのミサンガを付けて、糸が切れたとき願いが叶うと言われている」
「でも、切れるだけなら何かの拍子に切れてしまうかも」
そう、この世界は危険なことが沢山ある。
何かの拍子に切れるのはあるかもしれない。
だけど
「大丈夫。このミサンガは外界の影響を一切受けないって言う能力がある。つまり無理矢理切ろうとしても切れない訳だ。しかもこの糸は特殊で、もしかしたら死ぬまで切れないかもしれない。でも切れた時、リアンに大いなる力が宿るよ」
「わかった。僕、努力するよ、強くなってリハサを……妹を守れる存在に!」
そうしてトハンはリアンの手に巾着袋を乗せて。
それに意識が一瞬集中した瞬間に。
トハンはリアンの目の前から消えた。
「リアンからしたら白昼夢でも見た気分かもしれないな」
空で青い光を体に纏わせ飛翔するトハンがリアンを見て言う。
「普通の人間なら生きてる間に切れない刺繍糸【神封糸】強い意志を持つ君なら切れるよね?」
リアンが目を覚ましたリハサを抱えながら歩いていくところを見て。
トハンは笑顔でその後ろを見送り……
「さて、制裁を加えてやらないとな」
トハンは打って変わって怒りを含んだ笑みで仮面をつける。
トハンはスログアドラーとなり先程の貴族邸へと向かった。
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