第30話・親約
「what?」
いきなり機械族に所有物にしてくれ。
と言われたらどんな反応をするだろうか。
「どういうこと?いやマジで」
周りにはこの学院に通っている者がいる。
変な噂が経ったらまともに生活できないぞ。
「とりあえずこっちこい」
俺は近くの空き教室に彼女?を引っ張った。
◆
「それで?なんでこんなことを?それに君の名前を僕は知らないんだけど」
「謝罪。私に名乗る程の名はない。強いて言うなら【八番連結隊・観測機械族・個体式識別番号VIIICVS八八二六七番機】人間族の女性体を模して造られた機械族」
瞳はカメラのレンズのような構造をしており。
服から露出している部分は皮膚のようだが鉄製で。
しかし人間の体温と同じ体温を持つ機械生命。
「機械族。そんな君がどうして僕なんかの所有物って?」
「統括指揮体が私に『我らを率いることが出来る可能性がある者を仲間に引き入れよ』との申請が来た。そして私はそれを承認した」
「なんで僕なの?僕なんか火焔球すらまともに撃てないんだけど」
想像弱化は学院に居る時は常に発動している。
バレるということはないはずだ。
「数日前。この地下の迷宮に支配級が出現したその時私たち特待生クラスは応戦したが叶わなかった。その時【スログアドラー】と名乗る教師が応戦した。しかし仮面を外すと姿が変わり。個体名【トハン】と同一の存在と私たち。いや我ら機械族は解析結果を算出した」
まさか、あれを見られていたのか。
「はぁ……そうか」
「?」
急な口調や雰囲気の豹変ぶりに少し驚いているのか?
感情があるってか?機械に。
まぁファンタジー世界だしな。
「俺の所有物になりたいなら、俺より優れているところを言ってみろ。言えたら所有物にする」
どうせバレてるなら口調を作る必要も無い。
『了……魔法陣構築【契約】を発動』
これで俺は契約を結んだ。
「武術」
「お前はあいつを倒せるのか?」
「魔道術」
「全て見たならあいつにトドメを刺すのを見ただろう」
「情報」
「俺は冒険者だぞ」
「能力」
「また言わせる気か?お前はあいつを倒せるのか?」
「……」
まぁ俺より優れていたらショックだ。
最高神の面目が潰れる。
「新能力」
「なんだと?」
ニュースキルだと。
自然発生の確率は虚数の彼方だぞ。
「新能力【死魂眼】」
(効果内容は?)
【対象の新能力・解析結果『該当無し』】
該当無し……つまり、自然発生のニュースキルだ。
「降参だ。俺の負けだよ」
「では、これからよろしくお願いします」
◆
彼女とは少し話しあって条件をつけた。
トハンの時は話しかけないこと。
話しかけていいのは誰も見ていない時。
もしくは俺から話しかけた時
この3つの条件を付けて俺の所有物とした。
「まぁ機械族は個は全。全は個。一機が使えるものは全機体使えるはずなんだが」
「私はスキルの共有機能を拒んでいます。このニュースキルが発現する前の機械族のスキルしか私は使うことができません」
「それは誰かに命令されてやったのか?」
「いえ、自己判断です」
「なぜだ?」
「……分かりませんが。人間で言うところの【嫌】という所でしょうか」
機械が嫌だから拒む、か
「まぁいい。とにかくその新能力の効果を教えてくれ」
「はい、わかりました」
【死魂眼】どうやらこのスキル。
【死霊眼】と似ているところがあるみたいだ。
死霊眼は死霊術師の特殊能力だが。
死魂眼はこの世界に浮遊している魂を眼ることが出来るスキルらしい。
死霊と死魂の違いは。
死霊は魔力を持った魔物
死魂は元生物で天界に行けなかった。
もしくは望んでこの世界にとどまっている魂の事だ。
決定的な違いは生きていた頃の記憶があるかどうか。
死霊は記憶を失い、肉体の代わりに魔力で存在するが。
死魂は記憶を持ち、魔素も魔力も何も持たない。
まぁ難しいから理解しようとするのは無理だ。
正直俺でもよくわからん。
まぁとにかく。
【この世ならざる者】が見えるスキルということだ。
「それで、君はどこまで俺のことを知っている?」
「無数の魔法が使えること、いつもは姿を偽っていること、何かをトリガーに能力値が爆発的に上昇すること、でしょうか」
「なるほど」
予鈴の鐘が鳴り響く。
「予鈴だ。とにかく話はあとだ、学院が終わったら話しかけてくれ」
「了」
◆
特に何も無く穏便に学院は終わった。
「マスター」
今度はマスター呼びか……
「なんだ」
「学院が終わり。周囲50m圏内に人の気配は探知出来ないので話しかけました」
「君、帰る場所ある?」
「機械族収容庫が世界各地にありますが」
「帰りたいか?」
「嫌です」
即答か、そんな居心地の悪いところなのか?
「それじゃあ」
俺は右手を空間にかざして。
亜空間を開けた。
「こっちに来い」
そうして亜空間の家に向かう。
◆
「お帰りなさいませ。ご主人様」
「あぁ、ただいま」
スランが行儀よくお辞儀をしてくれた。
日に日にメイドとしての練度が上がっている。
スランが俺の後ろに目をやる。
「そちらの方は?」
「彼女は」
「八番連結隊・観測機械族・個体式識別番号VIIICVS八八二六七番機。ですよろしくお願いします」
長い。
「今日からお前は【夜々仁露奈】を名乗れ」
「……了【夜々仁露奈】を個体名として登録」
「それでは、ニロナ様」
そうしてスランがヤヤを一目見ると。
「お体が汚れていますので、お風呂へご案内します」
スキルを使っただろう。
一瞬でヤヤの状態を把握した。
「スラン。ヤヤと一緒に風呂に入ってあげてくれ。そして話があるから、終わったら外に連れてきてくれ」
「わかりました」
◆
「シリク」
小竜の姿で景色を見ているシリクに後ろから問いかけた。
「……」
「怒っているのか?」
「……」
「ごめんシリク。俺、シリクのことを気遣ってやれなかった。シリクはとっても強いし。とても優しいし。シリクを傷付けたくて言ったわけじゃないんだ……」
「……」
「ごめん。本当にごめん」
シリクが振り返り。
俺に突進してくる。
ドゴーン
という爆音を立てるが俺は1歩も動かず耐える。
「トハ……ごめんなさい。僕もトハが注意してくれたのに躍起になって、周りの人たちのことも考えず……」
光がシリクを包み。
シリクは人間の姿になる。
シリクは抱きついて涙を流し。
「トハ。僕のことを嫌いになった?」
「そんな訳ないじゃん。シリクは俺の家族だよ」
シリクは涙を流しながら───笑う。
そして俺も笑う。
「トハ。大好き!」
「俺もだ」
【世界の声が報告。名称【トハン】並びに【シリク】の親約を確認。前記した個体が一緒にいる時。能力値の上昇を行う】
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