第27話・成長
学長に挨拶をして帰る途中。
ちょうどツラリと会い、一緒に灰桜先生の魔法を見に行くことになった。
「先生」
「2人ともこんばんは」
掴みどころのない笑顔だな
「「こんばんは」」
「ではちょっと着いてきてくれるかな?」
そうして俺とツラリは灰桜先生の後を着いていくのだった。
それにしてもどうしてミシアとレナが300mも離れて俺の事を見ていたんだ?
集音魔法は使うと灰桜先生になにか思われるかもしれないから使わなかったけど。
何か話していたな。
「トハンさん。どうしたんですか?」
ツラリは相変わらず表情を変えずに少し目をこちらに向けて話しかけてきた。
「い、いやなんでもないよ」
◇
「レナ」
「どうしたのミシア」
周りに誰もいないのを確認して。
護衛ではなく友人として話すレナ。
「あれが見える?」
常時携帯しているこの世界の望遠鏡のようなものでレナはミシアの指を指す方向を見て。
ミシアは視力強化の魔法でトハンともう1人の少女のことを見る。
「あの子はなんなのでしょう?」
「同じクラスの同級生ではないでしょうか?」
特に一言も話すことなく正門に向かう2人に
「あれじゃあまるで、初々しいカップルじゃないですか!」
ミシアが半泣きでレナにしがみつく。
「ミシア……少し早とちりしすぎでは?あれを見てください」
ミシアが今度はレナが指す方向を見ると
「あれは……灰桜先生?」
「女子にも男子にも人気のある先生です」
不思議な優しく包み込むようなオーラが人々を魅了して今や、この学院の人気教師の1人。
先生の授業を受けたいが為に学長に直談判した者もいるとかいないとか。
「何か教えてもらうのでしょう。教師が放課後生徒の為にこっそり授業をするなんてよくある話です」
「そ…そうなのかな?」
「姫、王城へ戻りますよ」
そうして2人は王城へ帰るのだった。
◆
「ここはどこでしょう?」
どこと言ってもここは。
「僕の家です」
「家……?」
少し学院から離れたいわゆる貴族街の一角だ。
「ここでなら気ままに発動できますね」
「魔法を見せてくださるのですか?」
灰桜先生がどこからか杖を出して準備に入る。
「魔法を見せましょう。ですがこのことは内密にお願いしますね」
そうして灰桜先生に力が集まっていく……
だが
「これは!?」
ツラリがそう言う理由は。
先生の周りに何かが集まってくるからだ。
(サト…これは?)
【高度な精霊術です】
(精霊術!?)
【自然界に存在する浮遊精霊を集めているのでしょう】
精霊術────
魔法が魔力を引き換えに世界に干渉して異法則を出す力と違い。
精霊力を対価に自身が精霊と同じ魔法を使う技術だ
ややこしいと思うが、精霊が使う魔法と。
俺たち生物が使う魔法は根本的に違う。
威力や性能はもちろんのこと。
詠唱は元々無く、念じるだけで使うことが出来る。
人間が使う魔法と組み合わせることも出来て随分前に使った技はそういう原理だ。
だけど…
「これは自然魔法?」
ツラリは自分の考察を口にして、初めて見る驚きの顔をしている。
「ツラリさん…違うよ。これは精霊術です」
「精霊術ってあの一部の人にしか宿らない精霊力を使って精霊様の魔法を使うあの?」
「そうです」
すると周りは花が咲き乱れ、心地よい風が吹き。
まるで天国のような心地良さを生み出していた。
「どうでしょう僕の魔法は」
「これは魔法というのでしょうか」
「ちゃんとした魔法ですよ」
まぁ魔法とも言えるか…
「いい香り」
ツラリが表情を戻して少し感情が籠った声でそういう。
確かに少しいい香りがする…というか
「春の匂い…桜のようだな」
「!?」
「さくら?」
「トハン君。君は桜のことを知っているの!?」
灰桜先生は俺の肩を掴みゆらゆらと揺らした。
「落ち着いてください先生!」
「ご…ごめんなさい」
「とにかく、もうそろそろ日が暮れて夜になります。いくら王都とはいえ、夜には危険があるかもしれません。なので今日はこの辺で帰らせていただきますがいいですね?」
「う…うん。ごめんなさい。トハン君。ツラリさん」
◆
今日は特待生クラスの魔導術学の授業だ。
「久しぶりだな」
俺は魔法訓練場でみんなの前で俺が新しい教師になったことを伝える。
「雑魚が新しい教師か」
「崩壊級を倒されるほどの御方に魔法を教えてくださるなんて恐縮です!!!」
表面上、崩壊級を倒したことになっている。
さらに上の極超級となったらAランクが倒せるわけがない。
「どうしてスログアドラー様はSランクではないのでしょう?」
ミシアが疑問を持って俺に話しかけてくる。
「色々あるから触れなくていい」
「それじゃあ俺たちの魔法を」
「いやみんなの魔法はこの目でもう見ている。いきなりだが実践訓練と行こうか」
◇
「いいか、この学院では貴族制度はない。全員名前で呼ばせてもらう」
俺がそう伝えるがみんな特に気にしていない。
「みんな普通の魔導人形では飽きたろう。ってな訳で」
【創造魔法【魔銀人形】を創造。さらに術式を付与】
「この人形を壊せたら俺の授業は受けなくていい」
「何?雑魚が舐めるなよ?」
ザヨンは俺の事を雑魚って言う割には敵対心がない。
どちらかと言うと尊敬の意思だな。
「我…」
ザヨンが詠唱をしようと大気中の魔力が集まってくるが
「おっと言っておくことがある」
俺の一言にとめられ術式が消えた。
「なんだよ雑魚」
「詠唱は禁止だ、特待生クラスなるもの詠唱破棄はできて当然だろ?」
もちろん詠唱破棄なぞ。
ツラリが異端だっただけで普通は出来ないが、特待生クラスなら出来るかもしれない。
「も…もちろんできるぞ。雑魚ができるだから俺だって」
術式が構築されていく。
だが…魔法陣が見えるが
「クソっ」
魔法陣に描かれている文様や魔法文字が空中で弾け。
構築ができない
「私も」
今度はミシアが俺が贈った長杖を人形へ向けて魔法陣を構築する。
そして
【構築完了・魔法待機状態。いつでも発動できます】
「ミシア、構築は完了しているさっさと発動しないと初めての無詠唱で暴発するぞ!」
「えっ!」
本人が予想しない発動はどこに飛ぶか分からない。とりあえずの発動先として空があるのだ。
魔法陣から炎が放射される。
「ほへーバカ威力だ」
「何あれ!」「すごいな」「さすが姫!」
空中で花火のように轟音を出して拡散した炎魔法は空気中で消えた。
演習で魔法制御力が上がってるからこんな威力になったのか
「すいません…」
「大丈夫、初めて無詠唱をして発動できただけ万々歳だ」
さてと、このクラスは全員魔法は使えるが適性がない奴もいる。そんなやつは
「魔法が苦手な者は無詠唱で身体強化の魔法を練れるようにしてくれ」
そうして数分が経過した。
『雷撃』
ザヨンが無詠唱で魔法を発動する。
やっぱりザヨンは異次元のレベルで無詠唱を習得している。
あと数日あれば即時発動魔法を使えるかもしれないな。
「やった……無詠唱では発動できたぞ」
「おめでとうザヨン」
少し照れた様子で
「ふ…ふん!お前ができるんだ。俺にできないことは無い!」
元気があって何よりだ。
『水流球』
ミシアも覚えが早く。
まだ精密ではないが前方に魔法を撃てるようになってきた。
「おい雑魚!」
俺に指をさしてザヨンが言う。
「なんだ?」
「俺と闘え!」
◆
どうやら魔法訓練の試し打ちとして俺と闘いたいそうだ。
杖以外の武器の使用禁止。
体術も使用禁止で。
完全な魔法勝負って訳だ。
「いいか雑魚。雑魚の近距離の戦闘術はこの目で見た。悔しいが俺はまだ雑魚に遠く及ばない」
ザヨンが周りに魔法陣を作り出す。
「だが俺だって貴様みたいな冒険者…いや…………英雄になってやる」
魔法陣がさらに増える。
「それならまずはその言葉遣いを変えるのが先だな」
魔法陣から雷・風魔法が放出される。
まさか使い始めて10分強で無詠唱を習得し。
多重発動を自力で覚え。
更に威力もまぁまぁある。
まだ無駄が多く、完全とは言い難いが。
それでもとんでもない早さで強くなっているのは明らかだった。
『防壁』
「なに!?」
俺が一言防御魔法を展開しただけで全ての魔法が阻まれる。
「まだまだこれだけじゃねぇ」
さっきよりも威力が上がったな。
使うたんびに練度が上がって実感出来るほどとは末恐ろしい。
「どうしたザヨン」
「貴様……強すぎだろ」
しかしザヨンは楽しそうに笑っていた。
しかしそんなものは裏腹に
「ザヨン君も凄いけど」「先生も凄いわ」
「僕もあんな魔法が使いたい」
各々が俺たちの闘いを賞賛する。
ふむ
「すごいな。ザヨン」
「なにがだ?」
「この俺の防壁を割りそうだなんて」
少し軽い感じで術式を練ったのは認めるが。
それでも俺の防壁が割れそうなのは凄い。
「貴様…俺を誰だと思っている!ザヨンだぞ!」
「ハイハイスゴイスゴイ」
「感情がこもってねぇぞ」
「いや凄いのは本当だ」
だって喋りながら術式を練るなんて。
「とりあえず今度は俺のターンってことでいいか?」
「そうだな。攻撃するだけってのも面白くない」
ザヨンが白い魔法陣。
つまり防御魔法を構築する。
「こい!」
「では、本気の1%で行くぞ」
俺は言葉通り想像弱化で1%力を戻した。
『火炎散弾』
俺の炎魔法は無数に分かれ
ザヨンの防御魔法に当たる。
「クッ……強過ぎる………」
ザヨンの防御魔法は数発当たっただけで割れそうになり。
『多重防壁』
複数の防壁を出す魔法で。
「……凄いな」
俺の攻撃はザヨンの防壁は割れかけの1枚の防壁で
何とか防がれた。
「はぁ…はぁ」
魔力枯渇か…
「ザヨン。これでも飲んでおけ」
俺が投げたのは魔力回復薬。
魔力を少し回復する魔法薬だ
「みんな、ザヨンみたいになれとは言わない。正直私も驚いている」
「そうだよね」「ザヨン凄い!」「僕は無理だよ…」
「いいか。魔法というのは1つの手段に過ぎない、魔法が苦手で落ち込むことは無い。全ては使い方次第だ」
授業終わりの鐘が鳴り
俺のはじめての授業はまぁまぁだったとは思う
◆
俺は亜空間にある自分の部屋であることを考えていた。
(この世界ってびっくりするほどSランクとSSランクの差がバカ大きよな)
【はい。Sランク3人で崩壊級を倒せるかどうかというレベルですが。SSランクは1人で簡単に倒せるくらい強いです】
(その1つ上の極超級もか?)
【簡単とまでは行かないかもしれないですが。1人で倒せる能力は持っているはずです】
魔物というのは個体差がある。
同じ階級でも数十倍の差があったりするのだが
「第二封印までは解きたいな」
【それでやっと極超級に追いつける程度でしょうか】
「この世界にいるというもう2人が怖いよ。そんなに力を持った冒険者がこの世界にはいるのか」
するとコンコンとドアがノックされる。
「トハン様、カヤリでございます」
「なんのようだ?」
「前に話してくださったあることとはなんなのですか?」
そういえば前にあることを頼みたいって言ったな
「シリクは知っているか?」
「はい。どうやら小竜だとか」
「あいつは桁外れのステータスを持っているがどうにも技術が不足して活かせていない。そこでカヤリには指導役をして欲しいんだ」
「小竜様にですか?」
「もちろん打ち合いしてくれと言っている訳では無い。正直打ち合いしたら武器ごと体を粉微塵にされるだろうしな」
軽く小突いただけで隕石に匹敵するバカ火力が出るからな。前に頭突きされた時は死ぬかと思った。
「俺は魔法と刀なんかで対面勝負には負けない自信があるが。暗殺者みたいな動きは苦手というかしょうに合ってないっていうか。そこでシリクに近接戦闘術と短剣の使い方。暗殺者として指南してくれないか?」
「……はい。その任、お受けさせていただきます」
「感謝する」
俺は2つの短剣を渡した。
「これは?」
「これはある鉱物で創った短剣だ。1本はカヤリに、もう1本はシリクに渡してくれ」
「わかりました」
どうでしたか?楽しんで行けたら幸いです。
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☆☆☆☆☆
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1つでもつけてくれたら私は嬉しくてどんどん作品を書いていこうと思います。
ぜひよろしくお願い致します。




