星と共に眠る
お立ち寄り頂き感謝です。
寒い。すごく寒い。ものすごく寒い。いや、これは正確に言うなら冷たい、か。
今宵は満月が笑い、風が穏やかに踊る夜。病院の屋上で私はそんなことを思った。
もう明日は……って、日付変わったから今日か。そう、今日は退院の日だけど、如何せん眠気が来ない。こんなところを看護師さんに見つかったら間違いなく怒られるな。でも体が、本能が、部屋に戻ることを拒んでいる。そんな気がして私は屋上のベンチに腰かけたまま、満天の星空に全身を浸からせていた。
「ふぅぅぅぅ」
思い切り息を吐く。ここまで来たらもう、後戻りはできない。
幾億の星たちが見守る中、私はゆっくりと両方の手を上げて、自らの首を締めあげた。
読了感謝です。