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 今日はノルズくんの家の新築祝い。


 皆で楽しく飲み食いして、騒いで、楽しんで。


 そんな中でふと、一枚の絵を見つけた。


 コモシやメトに囲まれて、笑っているノルズくんの絵。

 それは本当に楽しそうで、こちらにも感情が伝わってくるような絵だった。


 こんな絵を描ける人を、私は一人しか知らない。

 その一人も小学校の時に両親の絵を描いたっきりで、人物画を描いたのを見たことのない人の絵だった。

 町が好きで、海が好きで、そればかりを描いている他人の絵だった。


「どう? 上手く描けたでしょう?」

「っ!」

 いつの間にか後ろに来ていたらしいその作者は、そう私に声をかけてくる。


「これが、私の告白」

 そう言ってノルズくんの顔を見る目には、まだ感情が残っていて。

「上手に、想いを込められたと思うんだ」

 そういう声は、どこか寂しげだった。


 私だったら、こんな風にして思いを伝えられただろうか?

 いや、封じ込められただろうか?

 それはきっと一生わからないこと。

 だって私の想いは、封じられることなく伝わってしまったから。


「ちょ、なんで泣くのよ! ノルズが心配するでしょう!」

「だって……」


 こんな風に鳴くのは卑怯なのかもしれない。

 けれども、一人のこの人の親友として、伝わらなかった思いが切なくて、悲しくて。

「堂々としてなさい。そうしないと、奪っちゃうから」

 そう言って笑うこの人の強さを、心の底から羨ましいと思う。

 本当は自分が伝えたかったはずだ。

 自分があの人を捕まえたかったはずだ。


 それなのに、私の背を押して、自分はなにも言わぬままに立ち去った。

 強くて、優しくて、温かいあなたにいう言葉は、

「……ありがとう」

 ごめんなさいではなく、この言葉。


 それに笑って答えてくれたこの人は、本当に強い人だと、そう思う。

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