プロローグ
幻想騒霊日記の本編はどこいった。
……そんな作者がお送りする完全に作者得なルイ夢短編。
「……ズ、ルイズ……」
……誰かが私を呼ぶ声がする。
「起きて、ルイズ!」
目を開けると、目の前に彼女──夢子の顔があった。何となく我慢できず唇を奪う。
「ん……ちょっと!?いきなり……」
この子には弄られてばかりだから、たまにはこんな恥ずかしそうな顔を見るのもいいなー。なんて。
「ふふっ、可愛いわよ?夢子……んぐっ!?」
突然口を手で塞がれ、そのままの勢いで押し倒される。なんだかいつになく積極的だが……
「朝からキスしてくるなんて……悪い子ねぇ?これはお仕置きしてあげないとね……」
そう言って夢子は悪い笑みを浮かべ、私の耳を甘噛みしてきた。
「はむっ……んっ……ルイズの耳、美味しいわ……あむっ……」
「ちょっと……くすぐったいって……」
「ふふ、やめて欲しい?だーめ♪」
突然夢子が私の顔を無理矢理掴み、彼女の淡い桃色の唇と重ねる。
「んっ……ちょっと……駄目だって……」
「何言ってんの、貴女からしてきたんでしょう?それに……もう私達恋人同士じゃないの♪」
──そうなのだ。私と夢子は先日から付き合い始めたのである。
「ほらルイズ、何ぼーっとしてるのよ。今日はあんたとの初めてのデートなのよ?ほら、早く起きて!」
「はいはい……」
夢子が部屋から出て、私は着替えながら窓の外を眺める。あの日──そう、夢子と再び出逢った時と同じように、空は美しい青色だった……。
次回、第1話は20年前の魔界が舞台。人間界の鬼畜巫女、博麗靈夢の襲撃により壊滅的な被害を受けた魔界、その復興に実業家・ルイズさんが動き出す。一方その頃魔界城では、魔界再建のため大忙しの夢子さんが居た……