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にぎやか@学園生活  作者: manimanitakko
6/6

~文化祭part1~

久しぶりに気が向いたので更新しました。

まぁ読者いないけど。

時は立つのが早いもので、あと一週間もすれば文化祭が始まる。

現在、クラスのみんなは一丸となってクラスの出し物である演劇の稽古に興じていた。


水木はイケメンの人気者であるから男子役の主役抜擢をされ、苦笑いしていた。

女子のメインヒロインは天音という取り合わせだ。


まぁ美男美女の組み合わせっていうのは、それだけで客を呼べる。

もともと天音は文化祭などに関係なく人を呼ぶ才能てきなものがあるから、当日の集客は困らないだろうと、クラスの皆は言っていた。


当日披露するのは、学園ものにありがちな「ロミオとジュリエット」。

俺は昔の名作なんてまるで興味がないので、ロミオとジュリエットというタイトルは知っていても、

内容までは詳しく知らなかった。


一応クラスの出し物ではあるので、借りた原作を読もうと思ったが、

活字が嫌いな俺は10行ほど読んで、中盤の語りを一切合切飛ばして、結論だけ見た。


おいおい、二人とも最後は死ぬのかよ。

感動も減ったくれもないじゃないか。

なんでこんなアンハッピーエンドな物語が人気なのかねぇ。

俺は少なくともそう思った。


金子、野原は舞台裏での音響設置役、その他クラスメイトは演劇中の舞台設置などで、忙しそうにしていた。

俺はというと、特に何もしていない。北斗もまたしかり。

たまに紅葉から肉体労働の依頼が来るので、それをこなすくらいだ。

特に大変ということもなかった。


北斗は終始舞台裏の人気がないところで、背をもたれながら腕を組み寝ていた。

この状態の北斗に話しかける猛者はクラスに白雪くらいしかいない。


「ちょっと北斗、そこ邪魔なんだけど。」

そう白雪が言うと、何も言わずその場所から動くあたり、一応は北斗も割と協力的なようだ。


時折、妹の茜が様子を見に来る。

兄貴のクラスは演劇なんだね!と相変わらず元気いっぱいだ。

ちなみに茜のクラスでは喫茶店をやるらしかった。


準備は順調に進んでいるようだが、いわゆる残業的なことをしている奴らもいるらしく、

余裕があるとは言えないみたいだった。

紅葉もその一人である。


別に俺としては、文化祭をめちゃめちゃにしようとか、仕事をしたくないとか思っているわけではないので、

やってくれと頼まれれば、協力する気でいたが、案の定誰も声をかけてこない。

なので俺から声をかけることにした。もちろん、一番話しやすい奴にだ。


「紅葉、なんかやることあるか?」

俺がそういうと、紅葉は「なくはないんだど、絵塗の仕事とかだし・・・。細かいの苦手でしょ?」なんて言うではないか。


まぁ確かにな。俺が色を塗ったら下書きなんて意味を成さなくなる。すまんな。


金子達のところにも一応足を運んだが、「音響機器は精密だし、木場じゃわからんだろ?」と言われた。

ごもっともである。


白雪は衣装係らしく裁縫をしていた。

水木は台本を呪文のように唱えている。どちらも集中しているようで話しかける気は起きなかった。


他のクラスメイトはというと、俺が近づくと道をあけて「どうぞ」という。

いや、通りたいわけではないんだがなぁ。仕事をもらえるという感じではない。


結果俺は終始暇だった。

北斗もまた暇そうにしていた。まぁこいつに関して言えば仕事を振られてもやらんだろうが。


というわけで、俺は北斗の隣に行った。

あまりにも暇すぎたから。


「よぉ」


俺がそう声をかけると、北斗は、くあぁと大口をあけてあくびをした。

暇だなと声をかけるとそうだなと短い返事がきた。


こいつは眠いときの返事がぶっきら棒で、そういう時は何を話しても会話が続かない。

こいつといても暇という結果は変わらなかった。


昼頃になるとクラスの皆は仲の良いグループでかたまり、舞台で弁当を広げにぎやかな飯を食っていた。

俺も金子達に交じって弁当を食べた。


金子と野原は終始、音響のあれこれを語っていた。

クリシック調の音源をどこで持ってくるかとか、あのシーンは何の音楽を使う?とかそんな内容だ。

途中、ラストスパートの毒を飲むシーンについて使用する音楽についても議論があった。

そのシーンは原作を見た俺も知っていたので会話に混ざろうかと思ったが、口を挟むのはやめた。

何せ俺が知っている曲はJPOPやメタル系のものばかりだから、そのシーンに合う音楽は知らない。


大事な空気でウルトラソウルなんて流した日には場が凍りそうだ。

たまに金子が「木場はなんの曲が好きなんだ?」とか、「この曲どう思う?」と聞いてくるので、

当たり障りのない返事をしておいた。

内心興味の無い静かな曲に対しても「いいんじゃないか?」と答えておいた。


ともすると午後開始のチャイムが鳴り、みな持ち場に戻った。

俺は気まぐれで紅葉の近くに座りこんだ。


「やっぱ俺もやるよ。色塗り。」

その一言で午前のような暇な時間は、消え去った。


俺は木の色塗りをやることになった。

段ボールで形造られた茶色い木に、緑を塗るお仕事だ。


紅葉からは「葉っぱっぽさを出すために黄緑や緑を使い分けてそれっぽく描いて」と言われた。

それっぽくといわれてもなぁ。と言いつつ、ペタペタと色塗りを行った。

我ながら上出来。思っていたより不器用ではないのかもしれないと思った。


ちなみに木の胴体にあたる部分も茶色に塗ってくれと言われた。

段ボールはもともと茶色だから塗ったって仕方ないだろと思わなくもなかったが、

ところどころに佐原急便とかいうロゴがあるのでそれを消してほしいそうな。


一応茶色で塗ってはみたものの、塗った場所だけやけに茶色が強くなり目立つ。

それでも頼まれたことは終わったので、「これでいいか?」と紅葉に見せると、

やっぱ違和感あるね~なんて女子たちと会話しながら、結局全範囲を茶色で塗ることになった。


めっちゃめんどい。

マッ○ーの茶色はもう殆どかすれて色素がなくなってきている。

新しいマッ○ーはどこにあるんだ。

マッ○ーを探しうろついていると、天音を見かけた。

椅子に座り、台本を読んでいる。


その椅子にマッ○ーを見つけてしまったもんだから、

仕方なしに天音に声をかけた。


「なぁ、このマッ○ー借りていいか?」


天音は「ひゃい」と言ってマッ○ーを俺に差し出した。


んー。怯えられてますなぁ。

まぁ台本の練習を邪魔しちゃ悪いので、さんきゅとだけ返してその場を去った。


持ち場に戻ると紅葉に「天音ちゃん、いじめてない?」と目を薄めて言われたので、

なんもしてねぇよと返した。


その後はひたすら色塗りをした。

高校生にもなってこんな地味なことをやることになるとは思ってはいなかったが、

暇よりは楽しいと、そう思った。









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