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にぎやか@学園生活  作者: manimanitakko
3/6

~馬場北斗と白雪小町~

前回キャラ紹介が終わったので、過去紹介でもしていきたいと思います。

~馬場目線~


中学三年時、既に身長が180もあった馬場は喧嘩において負けることはなかった。


喧嘩の原因は毎度のことくだらないことだった。

大体喧嘩の原因を振り返ると俺が悪いように思う。


毎度毎度、どこかしら怪我をして登校する俺を見かねた隣の席の女が話しかけてきた。


それが白雪小町という女だった。


俺に話しかけてくる奴は大抵俺に恨みを持っている奴か、

業務的な連絡を一応しておこうというような陰気な奴らばっかりで、

普通に話しかけてきた奴はこいつくらいしかいなかった。


「馬場君、また怪我してる。そうだ!この間お母さんに絆創膏買ってもらったの!待ってて!」


そういって小さいハムスターのイラストがプリントされた巾着袋から、

絆創膏を取り出し俺の頬にぴとりと張った。


「お前、下手くそやなぁ」


張ってもらった絆創膏を一度はがして張りなおすと、

えへへなんて笑うもんだから、目を合わせられなくなったことを覚えている。


さんきゅーなと言ってみたところ、

喧嘩はだめだよなんていうもんだから、

火事と喧嘩は男の華なんだぜと返した。


今思えば粋という奴を勘違いしていた。

ただ喧嘩を吹っかけて相手をボコすだけの奴に粋なんてないことは、この時の俺は知らなかった。


白雪は白雪で「家事なら得意だよ~」なんて言ってやがるし、わけがわからん。

天然だと思った。


このころの俺は勉強が点でダメで、平均点を超えた教科などマルでなかった。

そのくせ勝負事には乗ってしまうもんだから、

白雪に「今度のテストの結果勝負しよう!」と言われたとき、二つ返事でOKした。


その後のテストの結果でボロ負けしたのは今でも覚えている。


その日を境に白雪とはよく話すようになった。

「馬場君、勉強しないと立派な大人になれないよ!私が教えてあげる!」


当時立派な大人に憧れていた俺は、白雪と勉強をすることになった。

場所は学校の図書室だった。


周りからはかなり変な目で見られただろうこの光景だが、

白雪は何とも思っていない様子だった。


あとで知った話だが、白雪には友達がいなかったらしい。

こんないい子に友人がいないなんて世の中おかしいのではないかと思った。


そんなこんなで関係を継続していくこと一週間。


他校の奴らが俺に女ができたらしいと聞きつけた。

標的になったのは白雪。


彼女は帰宅途中にお菓子で乗せられ、他校グループが占領する浦山と呼ばれる山の洞窟に隔離されていた。


俺はその話を聞くや否や、一目散に走りだした。

白雪が好きだったから?と問われても多分違うと答えただろう。


俺がやりたかったのは人助けではなく、喧嘩だ。

白雪を助けに行くために喧嘩をするのではなく、喧嘩の口実に白雪を使った。


今思えば最低な考えだったと思う。


浦山には既に5人の男がいた。

白雪はその奥で、あっという顔で俺をみた。

のんきに手を振っているから、自分の置かれている状況を理解していないのだとわかった。

やはり天然である。まぁ無事だったのは不幸中の幸いだ。


俺は冬だというのに学ランを脱ぎ捨てて裾をまくった。

喧嘩前の俺なりのファイティングスタイルだ。


肩をグルンと一回転させ、走り出す。

手前にいた男にまずは右ストレート、手応えの無い奴だ。


男がやられて状況を理解した他4人が殴り掛かってきた。

器用にかわすような真似は出来なかったから、4人中2人のパンチが右肩、頭に、一人の蹴りが左足にヒットした。


だがこんな柔い攻撃で止まるわけがない。

右にいたやつの襟を掴んで大外払いを。

その後、左にいた奴に蹴りを入れた。


そのタイミングで勝てないと悟ったのか、白雪にカッターの刃を突き付け動くなと恫喝した。


そこで状況を理解した白雪が嫌だと暴れだしたもんだから、俺はどうすりゃいいか悩んだ。


白雪は必死にもがいていた。

地面の土を掘っては男の顔にめがけて投げた。


それが功を転じてか、男の目に土が入りカッターの刃が白雪から離れた。

俺はその隙を見逃すことなく走り出し、男の右手を掴んで背負い投げを決めった。


投げる際、最後の悪あがきで腹を切られて多少の血が出た。

残る一人は逃げ出したのかその場にはもういなかった。


白雪は事の決着を見て泣き止んだが、俺の腹から滲む血を見てひどく青ざめた。

本当にかすり傷程度で、つば付けとけば治るくらいのもんだったが、

ワイシャツが白かったことで、付着した血が広がり大層重症に見えたのであろう。


それ以来というもの、俺の怪我にはひどく敏感になった白雪は、

俺の傷の手当てを怪我が出来る度に行った。



その頃から、白雪は「喧嘩はしないで!」と口うるさくなった。

だが、俺は俺で喧嘩が好きなもんだから、ついぞ辞めることはなかった。


そんなある日のこと、俺は他クラスの問題児である木場と喧嘩をした。


こんな奴に負けるはずがないと思った。

直ぐに決着をつけるつもりで、右ストレートを顔面にはなった。

無論普通の奴には躱せない拳速だったはずだ。


だがどういうわけか、その木場というやつは俺の初撃を躱して見せて、

その腕の勢いを使って体落としを決めてきた。


廊下に受け身も取らず叩きつけられた俺は大きく咽て、立ち上がることができなかった。


初めて喧嘩で敗北したのだ。

俺は木場という男の名を覚えた。


翌日俺は再戦という形で木場に喧嘩を吹っかけた。

今度は油断をしない。


蹴りや、掴みや、時には防御。とにかく勝つことだけを考えた。

終わってみればなんのその。

木場はその場に倒れこみ参った参ったと空を仰いだ。


俺が勝ったのだ。

やはり最初は油断していただけだと思った。


その翌日は木場が俺に喧嘩を吹っかけてきた。

こいつはバカだなと思わずにはいられなかったが、

まともに喧嘩でやりあえる奴など今までいなかった俺は嬉しかった。


多少弱くても、善戦できる相手は貴重だ。

俺はそれ以来木場と喧嘩を何度したことか。


普段の喧嘩より楽しくて、普段の喧嘩より怪我が多かった。

それに喧嘩をすればするほど白雪との関係がより近くなった。


その内に、白雪から「喧嘩はするなっていってるでしょう!このあほぉ!」などと言われることが多くなった。

最近は悪口が混ざっているが、声に本気を感じないためか心地よかった。


~白雪目線~


馬場君はいつも怪我をしてくる。


怪我の原因は毎回喧嘩で、よくもまぁこんなになっても続けられるなぁと思わないこともなかった。

母親に買ってもらった絆創膏は自分で使うよりも、馬場君に使った回数の方が多かった。


すり傷や、切り傷であれば絆創膏で事足りるのですが、

打ち身に関しては何もしてあげることができず、母に湿布をねだったこともあった。


母に、どこか怪我をしたの?と聞かれ「ちょっとぶつけちゃって」と小さな嘘を何度かついた。

そのうちに母が、「小町、苛められてない?」と深刻な顔で心配するもんだから、慌てたこともあった。


その誤解を解くために今までの嘘をすべて明かした。


きっと怒られると思ってたのに、母は「小町が優しい女の子に育ってくれて嬉しいわ」と言ったので、

私は泣きそうになった。


母はそれ以来何も言わずに、消毒液や、包帯や脱脂綿などを買ってくれた。

私は馬場君専用の救急箱を持ち歩くようになった。


その頃になるとお医者さんになりたいと思うこともあって、

怪我の応急処置方法について勉強をしたりした。



私は馬場君の怪我を見ると、うずうずして堪らなかった。

消毒液が浸みるから嫌だという馬場君に無理やり消毒液を掛けたりもした。

そのうちに馬場君の反応が面白くなったので、打撲箇所をわざと押してみたりした。


馬場君が「人でなし」だの「鬼!」だの言ってくるけれど、

「喧嘩をしなければすむ話でしょう?」と言い返してあげた。


ぬぬぬぅなんて言いながら、苦悶の表情を浮かべる馬場君が面白かった。

笑いながら打撲箇所を押し、笑いながら嫌がる消毒液を掛けた。


ある日の放課後、廊下で大きな痣を頬に作っている人を見かけた。

体が大きくて、馬場君に聞いた特徴が当てはまる人物だったから、この人が木場君だと思った。


教室に入っていった彼を追ってみた。

私は彼も治療してあげようかなと思ったからだ。

でも、それは不要だった。


綺麗な髪の女の子が、木場君の怪我を治してあげていたからだ。

やっていることが私と同じだったからその女の子がとても気になった。


だから後でいろいろな人に聞いてみた。

もちろん友達なんていなかったから、答えてくれなかったら諦めるつもりでいたけど、

みんな話しかけるとちゃんと話してくれた。


だからすぐにあの女の子の名前がわかった。


彼女の名前は「大場紅葉」。


私は彼女が一人でいるところを見かけると話しかけるようになっていった。

最近では、紅葉ちゃん、小町ちゃんと呼び合うようになり、

向こうからも話してくれるようになった。


私に新しい友達ができた。


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