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にぎやか@学園生活  作者: manimanitakko
1/6

~木場君は進級しました~

初めましてmanimanitakkoこと「まにたこ」です。

今回初めて学園物の小説を書いてみました。


どこまで続くかわかりませんが、ノート書いたキャラ設定をもとに

話を広げていければと思います。


どうぞ、よろしく~!



~妹と幼馴染~


妹の声で目が覚めた。


枕元にある目覚ましでは一向に起きない俺も、

一発で目覚めるドア越しに聞こえる妹の「兄貴!起きろ!」はこの家の慣れ親しんだ光景だ。


学校に行くのは、正直言ってかなり怠い。

だが、家にいることによって起こりうる妹や母の小言の方がもっと面倒でたちが悪いので、

渋々だが制服に着替えることにした。


今日から高校二年生となるわけだが、特に変わったことはない。

しいて言うなら、クラスが変わることによる周りの変化が挙げられるだろうが、

もとよりクラスメイトの誰かと親しくすることはなく、

別クラスの輩とつるんでいたので、今日もいつもの日常の延長だ。




わが家には朝ごはんという習慣がない。


妹は毎日食べてるようだが、俺は朝方に弱いせいか、

朝ごはんを食うと腹を下すことがシバシバあり、朝ごはんは基本パスしている。


妹は食べなきゃ元気でないよ。というが俺は至って元気だし、朝飯を食べるとむしろ不調になる。

母は食費が浮くわと、割とそのあたりは自由だ。


顔を洗って、玄関に向かうと。先に妹が待っていた。


「遅い!遅刻したら兄貴のせいだから!」


毎度思うが、俺を待つ必要などないだろうに律儀に俺を待っている。

中学のいつの日か、先に行けと言ったことがあったが、

「そういってサボる気だなあ!」と腕を掴まれ学校まで連行された。


あれは本当に恥ずかしかったので、それ以来おとなしく一緒に行っている。

尻に敷かれるとはこういうことを言うのだろう。


父も母には頭が上がらない用で、そのあたりは一子相伝らしかった。


二人で登校というには、5人分くらいの距離が空いている。妹が先行だ。

俺が距離を開けているのだが。


妹は一分に一回くらいのペースで俺の存在確認をするために振り返る。

「どこにもいきゃしねぇから、前見て歩け、あぶねぇぞ。」と、言ったのも束の間、

前方に見つけた人影に向かって走って行った。


数メートル先で、妹と誰かが振り返る。

その誰かは俺の良く知る人物で、「大葉紅葉」という幼馴染だ。

「雅、おはよー。」


その挨拶を適当に返して、二人の輪に入る。

幼馴染とは言え、恋人でもなんでもないので会話することは特にない。

妹と紅葉が話している横を歩くだけだ。

ただ、たまに話が振られるので、先ほどの5人分程の距離は縮まり、3人横並びになっていた。


家から学校までは歩いて約15分程度で、桜道に沿って川が流れている。

ここの桜道を歩くのは、小、中、高合わせて11年目となる。


紅葉は桜を見て綺麗だね。というが、俺は下に落ちた桜の葉の滲んだピンクを見て、そうか?と首を傾げた。

妹も俺と一緒に首を傾けていたので、俺の意見に同意とみていいだろう。木場家の感性は実に乏しい。


「そういえば、茜ちゃん。今日から高校生なんだよね、入学おめでとう。」


妹は「そうなんですよぉ!」と1回転して見せた。

制服が似合ってるか問いたいのだろうことを察した俺は、

「お前、制服似合わないなぁ」と軽口を叩いてやった。


ムスッとした顔をしながらも、「そりゃぁ、兄貴は紅葉さんに首ったけですもんねぇ」なんてニヤリと笑う。


このやりとりが本命か。

顔を紅葉のように朱くした紅葉と、してやった顔の妹を見て、

「からかうのはやめろ、紅葉が困ってるだろ。」と返しておいた。


妹の口撃は俺の可憐な回避により、紅葉へと向かった形だ。すまんな紅葉。


そんなやり取りをして、校門に着いた。

1年と2年では校舎への入り口が違うので、ここで妹とは別れた。


紅葉はそのままの流れで俺と一緒に校舎の入り口をくぐる。


上履きに履き替え、いつもの教室に向かおうとしたが、

入り口付近に人混みが出来ていたおかげで、クラス替えの事を思い出した。

あそこにクラス情報が張り出されているのだろう。


「なぁ、紅葉。俺のクラス見てきてくんね?」


自分で行きなよ、もぅなんて言いながらも、見に行ってくれるあたり、よくできた子である。

下駄箱に背を預けながら紅葉が戻ってくるのを待つことにした。


待つこと五分、人混みに揉まれてか、髪がさっきよりクシャッとした紅葉が戻ってきた。


「お疲れ。で、俺は何組だった?」


「私と同じ2組だったよ。馬場君も同じクラスみたいだよ」


俺はそうかとだけ返して、二人歩いて教室へ向かった。

ずっと同じ学校に通っていたが、なんだかんだ紅葉と一緒のクラスになったのは初めての事である。


教室に入ってから、髪が乱れてることをクラスの女子に笑われ、赤くなっていた紅葉の事は、ここでは割愛させていただこう。


~馬場とその世話焼き女~

教室に入り知った顔を見つけた俺は馬場という男に声をかけた。

「よぉ、北斗。お前、進級できたんだな」

「はっ。俺は頭はいいんだよ。お前こそ大丈夫だったんだな」


こんな軽口を叩きあえる数少ない友人の一人である。


中学頃は、お互い不良で悪さをやっていた。他校との喧嘩も日常茶飯事だった頃のことだ。

木場、馬場と名前が似ているもんだから、キババコンビと呼ばれていたこともある。

今でもそう呼ぶ奴らがいるが、馬場が睨みを利かせるだけで黙る。


俺は妹と紅葉の一連の事件により、喧嘩は辞めたが、

こいつは未だ現役のようで頬には傷が出来ていた。


「また、どんぱちしたのか?」


俺が問うと、小声で「まぁな」とだけ答えた。


「北斗!また喧嘩したの!?いい加減にしてよ!この脳みそ筋肉単細胞!」


俺らの話を聞いたのか横から入ってくる女がいた。

こいつも知っている。

北斗の世話焼き女で有名な白雪小町である。


喧嘩するたび北斗の怪我の治療やらなんやらで、中学の時良く目にしていたから覚えた。



以前、北斗にお前の彼女なのか?と聞いたら、

あいつが?あんな恐ろしい女と付き合えるか!と言われたことがあった。


俺から見ると寧ろ、小町という名に相応しいとても優しい女にしか見えないが、

北斗が恐ろしいと言うということはつまり恐ろしいのだろう。


他校の腕っぷしの強い奴らを相手にケロッと喧嘩吹っかける奴がそう言うのだ。

内面に宿る雪女的な面もあるのかもしれない。

ちなみに先ほどの口の悪さから、恐ろしさを垣間見た気がしないでもない。


「あ、小町ちゃんおはよう!」


紅葉が割って入ると、先ほどの口調とは打って変わって、

「紅葉ちゃん、おはよう、同じクラスだね!」なんて声を弾ませている。


私の苦労がわかる唯一の友よ~なんて白雪さんが言うものだから、俺も北斗も苦笑いである。


俺の世話を紅葉が、北斗の世話を白雪が。そんな構図が思い出される。

俺は喧嘩を辞めたというのに、その構図は白雪の中から消えていないようだった。


そんなこんなで、会話をしているとやけに教室の出入口が騒がしくなり始めた。


男子の一部が「朝一番の幸せ」だの「女神降臨」だの騒いでいる。

そんな賛辞を浴びせられながら1人の女が入ってきた。


正直言って全く知らない奴だったが、あちこちで名前が呼ばれているのでその人物の名はすぐに分かった。

どうやら「天音美鈴」というらしい。

俺の目からしても綺麗な奴だと思うが、生憎と恋愛ごとには興味がない。

その後ろから背の高めな奴が入ってきた。

「ちった~ちった~!HRはじめんぞぉ!」


その声を境に教室は静けさを取り返し、担任の自己紹介が始まった。


「まずは進級おめでとう。今日から私がこのクラスの担任だ。佐々木邦光という。よろしく。

んじゃ、さっそく自己紹介からやってもらう。右前の君から15秒でどうぞ」


右前の奴から順に自己紹介が始まった。

15秒とのことだから名前くらいで良いかと思ったが、

最初の奴が好きな食べ物とか言い出したから後に続くやつも好きな食べ物を答えるような流れが出来ていた。


紅葉もその例に漏れず好きな食べ物を答えるつもりだったのだろうが、

「好きな食べ物は・・えと、沢山ありすぎてわかりません」なんて言うものだからクラスに笑いが起こった。


食いしん坊キャラを定着させたいのだろうか。アホ丸出しである。後でからかってやろう。


俺は俺とて肉と答えた。まぁそうだよなって顔で見るのは辞めてほしいものだ。


白雪はシチューが好きらしい。馬場は何でも食うと答えていた。


ちなみに天音美鈴の好物は、チョコパフェで、

俺の前の席の金子とかいうやつはサボテンらしい。

ウケを狙ったのか不明だが皆がスルーしていた。がんばれ金子。


最後の席の自己紹介が終わったところで、担任の話が始まった。


「一年間ここにいる奴らがクラスメイトだ。仲良くやれよ。あと明日から子峠知恵さんという副担任もいらっしゃるから、仲良くしてやれよ~」


HR終了の鐘がなると授業が始まった。


馬場はぐーすか寝ていたが、あとで佐々木に怒られていた。

ついでに白雪にも怒られていたのは言うまでもない。


昼休みの時間になると、天音の席には人だかりができていた。

人気は人気を呼ぶのか、ぞろぞろと人が増えていく。


金子とやらもその人混みに入っていった。がんばれ金子。


俺はというと妹の手作り弁当を机に広げ飯を食い始めるころだった。


「茜ちゃんの手作り?妹に感謝するんだよぉ。」と紅葉がいいながら俺の席に弁当を広げる。

当たり前のように俺のところで食うようだ。


「ところで、紅葉。今年から食いしん坊キャラでいくのか?」


「あれは、違うの!」

頬を赤く染めた紅葉を傍目に、外を見ながら優雅に笑った。







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