前編
かなり久しぶりに執筆しました。
他の作品も後々書いていきたいと思います。
そう遠くない未来、オッドアイの瞳の女の子が生まれてくる確率がかなり高くなった。
逆に黒目の子がもの珍しいそんな未来。
蜜芽 耀
私立目頭学園に通う高校2年。
成績は並、運動も並、見た目も並、すべてのスペックが並並並...。
ただ1点を除いて...。
― ― ― ― ― ―
「愛してます、付き合ってください!!」
学園の屋上、もう放課後という事もあり生徒も少ない。
校庭で部活生が汗を流してがんばっている。校内からは音楽部の演奏が聞こえてくる。
みんな青春している。
そう思う俺も今まさに青春の真っ最中。目の前にいるかなり可愛い女生徒。
「あ、愛?」
好きを飛び越え愛ときた、告白の次元を超えた告白に少し驚く。
「はい!!愛してます!!」
左右の異なる色の瞳で真っ直ぐに見つめてくる、後輩の女の子。
迷いのない愛の言葉。正直かなり恥ずかしい。
だって愛だよ?高校生が告白で愛を叫ぶんだよ?俺、今絶対顔真っ赤だよ。
恥ずかしくて逸らした視線を彼女に向けなおす。告白の返事を今か今かと待っている。
こんなに可愛い美少女に告白されれば、普通は付き合うだろう...。
「その...ごめん。君とは付き合えない。」
絶賛片思い中でもなければ。
「えっ...」
案の定、告白を断られた彼女は先ほどまでの期待に満ちた表情は何処へ、見るからに悲しみに染まっていく。
(心が痛いが俺には心に決めた人が...ごめん。)
胸の内で謝る。と、彼女が口を開く。
「わかりました。」
こちらを見つめ言う。
(よかった、泣きでもしたらどうしようかと...)
「後日改めて告白しにきます。」
あれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
「ちょっ、ちょっと待って!?」
「はい?」
いやなんでそんな疑問顔!?それ俺がすべき反応!!
「俺告白断ったんだけど...」
「はい。なので今日の告白は失敗に終わったので、また次の告白にと。」
え~~そんなのありなの?次とかあんの?ずるくね~?
「それじゃあ先輩!また今度♥」
「えっ、あ、ちょっと...行っちゃった。」
言うが否や彼女は屋上を出て行った。
後には一人残る俺。
― ― ― ― ― ―
「はぁ~・・・」
屋上を出て帰路に着く。毎度のことながら告白の後はため息が出る。
毎度というのはそのままの意味。
何故か俺はオッドアイの子に以上に好かれやすい。他のスペックの値全部これに振り分けられてるんじゃないかってぐらい。
羨ましいって?馬鹿野郎、告白を断る俺の気持ちを考えてみろ。かなりキツイぞ。
泣きじゃくる子もいれば、何で?と迫ってくる子もいる。まぁ、今日みたいな子は初のパターンだったが...ホントずるいよあれは。
だが、共通の点をあげるとみんな断っても諦めないと言う所だ。実際何度も告白してくる子もいる。女の子ってすごいと実感する事が耐えない。
しかしながら、俺はその子達の告白を受けることができないのだ。
俺には今、片思いしている子がいる。
加賀谷 仁美
同じクラスで隣の席の女の子。成績は優秀、長身でスタイルもよく、肩ほどまでのびた綺麗な黒髪。そして、吸い込まれてしまいそうな...黒い瞳。
オッドアイではない、黒。
「なんだよな~...」
オッドアイの女の子が生まれてくる事が普通になっている今の世の中。
逆をいえば、左右同じ色の瞳の子が生まれてくる事の方が稀。
見渡す限りのオッドアイ、オッドアイ、オッドアイ...ect。
いきなりだが考えてみてほしい。
何故かオッドアイの子に好かれやすい俺、周りはオッドアイの女の子、片思いの子は黒目。この方程式から導き出される答えは...そう!!!
「何もかもがダメダメだ~」
自分で言ってて空しくなる。ただでさえ加賀谷さんとの接点もない俺。
告白するぞと意気込むだけで、実際には実行に移したこともない。そうこうしている内に1年が終わり、あっという間に2年。
さらに、幾度となく告白を断る事は学園に知れ渡っている。傍から見ればかなりのクズ野郎。いつまで経っても想いを伝える事をできずにいる俺と何度でも告白してくる女の子。これの繰り返し。
だがしかし、このままじゃダメだというのは明白。
もうズルズルと引きずるのは止めだ。
「明日、告白だ!!」
これはもう、絶対事項にする。決めた。何が何でもだ。
次の投稿は早めにできればと思います。