はっとしたら
実家の風呂場にて。深さ70センチぐらいある浴槽に50センチの湯が張ってある。私は湯船に浸かる為、左足を先に湯船の中の湯に浸けた。『湯』といってもそれは『熱くも冷たくもなく、更にぬるいという訳でもなく、ただの透明な液体』だった。
その液体に左足を浸け湯船の床に足を着ける。次に風呂場の床から右足を上げ、浴槽を跨いで湯船に浸かろうとした私。その瞬間、湯船の中の左足がつるりと滑り、私は勢い良く湯船の中にひっくり返えった。
湯船の中にひっくり返えったのに、『水中の息苦しさ』は不思議となかった。あとその時に『心臓が締め付けられる感覚』を感じたが、これも苦しい物ではなかった。ひっくり返えった時、一瞬、視界が真っ暗になって意識が飛んだ事に気が付く私は、急いで浴槽の縁に掴まり体勢を整えようとした。
意識が飛んだ時「このままだと溺れてヤバい」と、はっとしたら・・・・・・目が覚めた。
溺れかけた夢に目が覚めて、今見ていた夢を振り返っていたら再び来た睡魔。
現在、一人暮らしをしている部屋で布団を頭からかぶり微睡む私。(多分この辺りで再び夢の中へ)
その部屋に誰かが近付いて来る気配を感じる。その気配は兄(らしき人)だった。「何で(兄がいるんだろう)?」と思いなが、そのまま目を閉じて微睡んでいた。
布団をかぶっているのに感じた部屋の気配は、実家に変わっていた。その部屋で私の隣にやって来た兄(らしき人)は布団を投げるように敷き、そこに寝転ぶの気配を感じた。
そして少し離れた所にある階段を降りながら「せっかく(仕事が)採用されたのに(向こうの手違いでも)クビになるなんて(兄が)情けない」と、大きめな声で文句を言いながら階段を降りて行く父(らしき人)の気配を感じた。
私の横にいた兄(らしき人)は「あんまりだ……」と悲しそうに呟いた。その兄(らしき人)の呟きは『会社に対してなのか、父(らしき人)に対してなのか』が、気になった私。「起きたら聞いてみようか」と思いながら、兄(らしき人)に背にして横向きに寝ている私。
ズボンと腰の間に隙間が出来た状態で、尚且つ、上着が少し捲れて腰が出てる状態だった。スースーと腰に感じる冷たさに、はっとしたら・・・・・・目が覚めた。
再び目が覚めて暫くしたらまた来た睡魔に微睡み、実家のリビングにいた私は、小学生低学年ぐらいの近所の子供三人程度を、まとめて面倒を見ていた。
『温度計がある部屋で、沸騰したお湯があります。暫くしてからお湯は0度になりました。時刻は夜中の12時です。そこに現れた物は何でしょう?』と子供達に問う私。それは子供達の宿題ドリルの問題であった。
それぞれのが「うーん……?」と考えている中、一人の子供が「温度計(ある?)」と言うので、私は近くにあった『室温計』を渡した。室温計を受け取った子は真剣に室温計を見詰めて、問題を解こうとしていた。
「そんなに難しい事じゃないし、第一、室温計は関係ないんだよな……」と私は苦笑いを浮かべながらも、子供達を微笑ましく眺めていた。
暫くして降参した子供達に私は、『夜中の12時=0(レイ)時。つまり現れたのは幽霊』だと答えを教えた。答えを知り『12時=0(レイ)時』という事を学んだ子供達は、片方の親指と人差し指で〇の形を作り「0(レイ)時!0(レイ)時!」と言っていた。その顔は得意気な顔付きだった事に、私は更に微笑ましくなった。
子供達を見送る為に外に出て、家から10メートルぐらい離れている路地まで、送り届けた私は庭にいた。
庭に付いた時、イタチかフェレットみたいな生き物が二匹とシャム猫が、庭から道路へと勢い良く飛び出して逃げて行った。
それらが飛び出して来た庭を見たら、ひょろっこい大人のハチワレ猫がいた。私との距離は1メートルぐらいだ。あまりにもひょろっこいので保護しようと思ったら、ハチワレの視線が私のやや後方を見ている事に気が付た。私がそちら側を向くとそこには黒い子猫がいた。
互いに弱々しく鳴き合い、一歩一歩と近付いて行く二匹。
私はハチワレと子猫を交互に何度か見て「もしかしてママかい?」とハチワレに言った。
更に互いに弱々しく鳴き合い、一歩一歩、近付いて行く二匹。『子猫に向かって行くハチワレ』と『ハチワレに向かって行く子猫』の姿は、まさに『感動の再開』である。
あと数歩で互いが鼻先に触れる距離まで来た二匹。『感動の瞬間』が、今、私の目の前で起きようとしている。
そしていよいよその瞬間が来た……と思ったら、ハチワレと子猫は1ミリも触れる事なく擦れ違った。
「感動の再開じゃないの?」と唖然とする私。
ハチワレは何故か庭に置いてあった『きゅうりの糠漬け』に口を近付けていた。その姿に私は「それしょっぱいから、どうだろう(猫が食べて良い物だろうか)?」と呟いた。
そして子猫の方を見たら庭から道路に出て行く所だった。その時見えた子猫のお尻が汚い事に、「あの子こそ保護しなきゃ」と思い、三歩ぐらい歩いて門前の道路に出た私。だが、そこに子猫の姿はなかった。
「どこに行ったのだろう?」と辺りをキョロキョロと見回す私。そこには猫の子どころか、私以外の人は誰一人としていなかった。
何度かキョロキョロと見回す中で左側に首と視線を向けた時、そこに母(らしき人)と父の母(らしき人)が立っていた。
この二人に対して『らしき人』というのは、夢の中の二人が実際の二人とは違い、スレンダーで高身長だった為で、あと二人と少し距離があり、顔が見えなかったからである。
今まで誰もいなかったのに、いきなり現れた二人に、一瞬、ギョっとした私。そんな私に父の母(らしき人)は「(母さんから聞いてると思うけど)父さん長くないから」と言う。
それを聞いた私は『長くない』という言葉に
1、『余命』的な事
2、『父が仕事を辞めるから、私が父の扶養から外れるので、早く個人的に保険に入れ』という事
3、『親が離婚するから、成人している私だが、どっちに付くか』という事
4、『(父は)短気(だから今すぐ謝りなさい)』という事
この4つの事が瞬時に私の脳裏を過った。
だが父の母(らしき人)が言った『ニアンス』的には、1の事だと気付き、はっとしたら・・・・・・目か覚めた。
・夢の感想
途中2度ぐらい目が覚めたけど、続けざまに『はっとする夢』を見たら『ギョっとする』よね?