死神さん、お迎えありがとう。だが、断る。3
誰の家だかはわからないが、和室の居間にある長方形のローテーブルの長い位置の所の下に、下半身を入れて仰向けに寝転んでいる私。
寝転んでいる私の右側から父(らしき人)、母(らしき人)、右側の短い位置の所に兄弟(らしき人)、私の向かいに親戚(らしき人が二人)、そして私の左側の短い位置の所に、母の父(らしき人)が座っていた。
『らしき人』というのは私が目を閉じていた為に、感じる気配がそれぞれの人を表しているようだったからである。
この『らしき人達』は他愛ない話をしていて、私はそれを目を閉じたまま聞いていた。
話の内容は覚えていないが、会話が止まり話が一段落したような気配を感じた。そして母(らしき人)が何かの用事で席を立つのを感じた。それを皮切りに親戚(らしき人)、兄弟(らしき人)、そして父(らしき人)も次々と席を立ったのが気配でわかる。
皆が席を立ったので、「母(らしき人)の手伝いでもしようか」と思い、起き上がった私。その瞬間、左側にいた母の父(らしき人)に、『ガシッ!』と勢い良く左手首を掴まれた。
いきなり勢い良く掴まれた事に驚いた私は目を開ける。
この時、言葉はなかったが「お前はまだここにいるよな?」と言っているように感じた。しかもそれは『有無』を言わせない程の『強制的な雰囲気』を醸し出していた。
その雰囲気に中腰になっていた私は「皆いなくなったし、私が話し相手にでもなるか」と思い、また座る為にしゃがみながら、母の父(らしき人)の方を見た。
今更だが『母の父(らしき人)』は私にとっては『祖父』であり、そして当たり前だが『祖父=高齢者』という事である。
それなのに私が『母の父(らしき人)』の方を見た時、私の視界に入って来たのは『20~30代の若い青年』だった。
その青年に「じいちゃんじゃない!?」と思う私だが、『その青年から感じる気配は確かに祖父の物』だった。
『視界に入るのは青年』だが『気配は祖父』という事に、私は座ろうとしていた事を忘れ、中腰の状態のまま青年を見て固まる。
暫くしてから「じいちゃんはもう死んでる」といる事を思い出した。
そして「このままだと向こうに連れていかれる」と思った。
まるで青年は「こっちにおいで。一緒に行こう」と言っているように、私の手首を強い力で引っ張る。中腰の私は踏ん張る事も出来ずに、青年の方に引っ張られるて行く。
更に青年は「じいちゃんといる方が良いだろう?」と言っているかのように、更に強く私の手首を引っ張り、「こっちの世界も良いぞ」と言う。
引っ張られる私は次第にその気になって行く。そして青年から視線を反らし正面を向いたまま「それ(そっちの世界)も良いかも」と思う私。
その時、視界の端に見えた青年は『ニヤリ』と笑ったような気がした。
正面を向いたまま私は「そっちの世界に行っても良いけど、だが、母さんがいない(世界)なら、断る!」と叫び、青年の手を振り払ったら・・・・・・目が覚めた。
・夢の感想
実際に母の父は他界しています。その祖父の夢を見るのは2回だと思う。祖父が生前だった事には、一度も祖父の夢は見た事はないのに、他界してから見るようになったのは、『懐かなかった事への懺悔』なのでしょうか?