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世界を終わらす物語~ゴーレムの眼~  作者: 球磨吾朗
第一章・青騎士物語【銀猫】
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拒絶の魔神

だんだんと文章が荒れてきてますね、どこかで一度手直ししたいと思います。

その時は活動報告とかに手直ししました! と報告いたしますね。


今日のお昼は豚汁でした! 美味しかったよ


どうぞお付き合いくださいませ。


 上半身を上げて身体についた埃を払い周囲を見渡す。

 別段変わった様子はない。むしろあれだけのことがありなぜここまで変化がないのかと考えてしまう。

 前方遠くには草を燃やして描かれた馬鹿でかい魔方陣が何事もなかったかのように健在、至って召喚前と何も変わらない。


「……実は全部幻覚とかそういうのだったりしない?」

「そうですね、兄さんの服が破れてなければそう思えたのですが」


 ウルフウッドが自身の右肩をちょいちょいと指さす。

 ダイキチは自分の右肩を見るとそこにはちょうど手のひらサイズの穴が開いていた。

 召喚はされた、その後の出来事も確かにあった。今の焦燥感と肩口の証拠だけでそれを認識するには充分であった。

 しかしそれでも疑いたくなるのが人の常である。


「第一が召喚、第二が召喚対象の固定、第三が召喚対象の移動制限、ここまでは通常の召喚の儀式ですので変わったことはあまりありません」


 つらつらとウルフウッドが喋る。


「今回はそれに加えて陣の拡大や魔方陣の追加、魔方陣の強化を施してあります。特に防御魔法だけでも万全を期すために二十は描きましたからこんなに大きな魔方陣になってしまいました」


 動く気にもならないのでとりあえず耳を傾ける。


「まず召喚です。これはただ魔方陣を大きくしてどんなものでも召喚できるようにしただけです。次の固定はすぐに壊れたみたいでした。対象が大きすぎたのでしょう。第三の移動制限は他二つの魔方陣で厳重に強化しましたが最後の方に壊れてしまいました」

「あの壁っぽいやつか」

「そうです。それでここからがオリジナルなのですが、第四魔方陣があります。これは端的に言うと召喚対象の識別なのです。この識別により第五から第二十八までの魔方陣の展開が判断されます。召喚されてから牽制、もとい攻撃のタイムラグはこれにより起こります」


 本来召喚の儀式は召喚者本人と召喚対象との契約のために行われる。そのため召喚して固定し話を出来る環境を作り万が一固定を破り逃げ出そうとしても移動制限をかけて話し合いをする、話し合いの儀式なのである。


「ですが……今回の召喚は予想をはるかに超えた大きさの対象が召喚されてしまいました。そのため誤作動が起こり一気に全ての防御魔法が発動したのだと思います」

「そうだったのですか……」


 ヨルダがヨツバの埃を払いながらつぶやいた。


「それとたぶん兄さんが疑問に思っている「なんでなんも起こった形跡ないんだ?」というのは、召喚の儀式に使われる特殊な防御魔法が使われているからです。発動した魔法は全て光ったりするだけで爆発などは何もおこらなかったでしょう?」


 思い出してみる。確かにあれだけの魔法が展開されながら魔導師様お得意の炎が舞ったり水が降ってきたり土が盛り上がったりなどは何もなかった。


「ヨルダさんには説明しましたが、あれらの儀式用防御魔法は光の波長の一種を使っているので環境に影響しないんです。ほら、例えば召喚対象を追い返す時に、元の魔方陣が燃やされたりしてなくなっていたら追い返すこともできないですから」

「ふーん」


 魔法にも色いろあるんだなーと思う。ヨルダに「ダイキチももう少し魔法に興味を」とか言っているが気にしないこととする。


「そういえば、あれ、ヨツバ?」


 ヨツバがいない。

 先ほどまでヨツバの埃を払っていたヨルダも慌てたようにきょろきょろと周りを見渡す。


「ヨツバ!」


 ウルフウッドが叫んだ。

 叫んだ方向に目を向けると、ヨツバが魔方陣の前にしゃがんでいた。

 ヨルダが走る。


「ははっまさかな」


 あれだけのことがあったんだ、ヨツバが召喚するわけ無いじゃないか。と高を括る。

 実際、しばらくの間ダイキチは傍観しウルフウッドも硬直していたが魔方陣に変化はない。

 ヨルダがヨツバに話しかけているが召喚する気配もない。

 ウルフウッドが胸を撫で下ろし短く息を吐く。


「そうですね、ヨツバは頭がいいですから」

「ははっ俺達も行くか」

「はい、そうしましょう」


 よっ、と立ち上がりヨツバ達のところへ歩き出した。

 日も落ちてきてもうしばらくしたら夕刻、空が茜色に変わるだろう。


「まだなんかやることあるのか?」

「今日はこれだけですね、しいて言えば後片付けでしょう」


 魔方陣から目線を右に逸らすと、タグチがもしゃもしゃと口を動かしている。

 あいつ……サンドイッチ食いやがったな。


「そういえばさ、あれ飛んでってたけど大丈夫なのか?」


 冷静になって振り返ってみれば触手の巨塊は飛んでいったままだった。

 これはいささかまずいのでは? という問にウルフウッドは「大丈夫です」とさも当然のように答えた。


「神の類らしいですから、召喚されてもされなくても変わりませんよ。好きなときに自分で元いた場所へ還られるでしょう、たぶん」


 たぶんは聞かなっかったことにしよう。


 魔方陣前についた。


「さ、帰りますよ」


 しゃがんでいるヨツバに手を差し伸べるウルフウッド。


「帰るぞヨツバ。もうこんなのはコリゴリだ」


 ふと、横を見るとヨルダの白い肌が血の気が引いて更に蒼白になっているのが分かった。今にも倒れそうだ。


 背中を向けたままのヨツバをよく見ると、右手が魔方陣を触れている。

 こちらの言葉を合図にしたのか、魔方陣の脈打つ音が聞こえる。


「マジか」


 魔方陣が銀色に光る。

 ウルフウッドが慌ててタグチの方向へ走る。「杖っ杖っ!」と言いながら走っているので杖を取りに行ったらしい。


 ヨツバが優雅に立ち上がった。そして一言


「みんながいるから大丈夫」


 そうか、そういうことか。

 思わず片手で顔を覆い空を見上げたい気持ちにかられる。

 どうやら初めから召喚する気は満々で、でも一人だと危ないからダイキチ達が来るのを待っていたのだ。

 我が弟ながらよくやってくれたと思う。本当によくやってくれた、褒美に後で拳骨を好きなだけご馳走してやろう。


 大気が波打つ。

 心なしかヨツバがうれしそうに見える。と言うことはヨツバは物凄く喜んでいるということだ。


「ま、うれしそうだったもんなぁ。ヨルダ、大丈夫か? そろそろ出てくるから下がるぞ」

「は、はい、大丈夫です」


 ヨルダが血の気を取り戻し魔方陣から離れる。

 はてさて、今度は何が出てくるのやら……

 適当に気を引き締め動こうとしないヨツバを後ろ襟を引きずって無理やり下がらせる。

 そうこうしているうちにウルフウッドも到着し、魔方陣は更に輝きを増す。

 ヨツバを除き三人は身構える。


「今度は何が来ても覚悟はできてる」

「はい、私もビンタの準備は万全です」

「あはは、その時は兄さんをよろしくおねがいしますヨルダさん」


 自然と落ち着けた。やはり家族が揃うというのはどんな場所でも落ち着くのだ。


 魔方陣が輝きを徐々に小さくする。

 ダイキチは目を凝らした。

 まだ召喚されたものが見えない、どうやら大きさはそこまで大きくないようだ。


「ヨツバは出身地が出身地ですから、油断はしないでくださいね」

「そういうのって関係あるのか?」

「……だから説明を聞いておいてくださいって言ったのに……」

「ダイキチ、ウルフ様、あれを」


 ヨルダが指を刺す。ダイキチたちにはまだ魔方陣の光が遮って姿は見えないがヨルダにはもう見えているようだ。

 ヨツバが魔方陣に向かい歩き出す。


「ヨツバ!」


 叫んでみるが聞く様子はない。

 ウルフウッドがヨツバに駆け寄った。しかし止まる様子はない。

 そのままヨツバとウルフウッドは魔方陣の中に入ってしまった。

 それを追いかけヨルダが魔方陣の中に入る。

 ダイキチも急いで魔方陣の中に入る。

 光の中を進むと三人の背中が見えた。


「三人とも大丈夫か!」


 近寄る。

 ウルフウッドがダイキチを見る。


「んー何といいますか、一応無害です」


 三人の前に出る。

 召喚されていた。しかし先ほどとは違い一切の恐怖及び危険を察知するようなものが感じられない。


「……ふがっ……すぅ……すぅ……」

「そうだな……確かに無害だな」


 四人の前には長い銀の髪を纏った獣人の少女が横たわって寝ていた。




次回新キャラ登場です。

そしてこの魔神編で主人公たちの秘密が明らかになります。

たぶんなります。


そういえば今日から新入社員さんたちが仕事はじめる時期ですね

頑張ってください!


それではお読みいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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