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世界を終わらす物語~ゴーレムの眼~  作者: 球磨吾朗
第一章・青騎士物語【銀猫】
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召喚の儀 3

本日三本目!


続きものだから一気に書けますね


さてさてとんでもないものが現れます、とんでもないものとの戦いです


ではお付き合いくださいませ、おね!

「うおっ! なんだこれ!」


 魔方陣の赤と黒の光に刺さり覆い尽くす何本もの雷撃の光。

 圧巻だった。

 神々しいほどに光り輝くその光の群れにダイキチとヨツバは口をつむぎ見守るだけである。

 しかしその雷撃の群れなど何もないかのようにそれは高度を上げていった。

 どれくらいの大きさだろうか、魔方陣の縁に身体を擦りながらゆっくりと姿を表す。

 身体が大きすぎたのかなかなか思うように出られないらしく体中のカナリヤ色の触手が激しく動いている。

 暴れた触手の一本がダイキチの肩をかすめる。

 風圧で髪の毛や衣服が強風に煽られたのごとく揺れる。

 魔方陣の端がまた新たに、今度は白緑色に光った。

 その途端、大きく溢れ出した体躯が側面から押しつぶされ魔方陣の中に留められた。どうやら魔方陣の端全体に透明な壁のようなものが現れたらしい。

 幼子が食べ物で遊ぶようなぐちゃぐちゃとした音が聞こえる。

 ナメクジのように見えない壁をズルズルと上方に登りだす。さながらパイプをよじ登るハムスターだ。


「兄さん!」


 血の気の失せたウルフウッドが駆け寄る。

 それに気が付きウルフウッドの顔をみながら奴に指をさす。


「おいウルフウッド、見てみろよこれ。傑作だぞ、あははははははははははははははは」


 目の焦点が合っていない。

 ヨツバの大きく開かれた目は奴を見続け「やばい、おもしろい、おもしろい、おもしろい」などと唱えている。

 その間も魔方陣は次々と新たな魔法を展開し奴に攻撃と抑制を続けている。

 ウルフウッドが怒鳴る。


「兄さん! 兄さん、早く還さないとこれはダメだ! 防御魔法が全部発動してる! 兄さん!」

「すみません遅れました、私が行きます!」


 遅れて走って来たヨルダがウルフウッドを追い越しダイキチとヨツバに近づく。

 雷音や爆発音に紛れ二発の破裂音が響く。

 痛烈なビンタだった。

 ダイキチが尻餅をつく。

 ヨツバがよろめく。


「ダイキチ、しっかりしてください! ヨツバちゃんも状況をちゃんと把握しなさい!」

「ヨルダさん、第二十八魔方陣が展開されています!」


 ヨルダがダイキチの襟を掴み引きずり、ウルフウッドがヨツバを抱え上げて魔方陣から逃げる。

 魔方陣のはるか上空には太陽と同じ輝きをした巨大な魔方陣が描かれていた。


「……っえ、あ、スマンっ」


 我に返ったダイキチが起き上がり襟を掴んだままのヨルダを持ち上げ全力で走る。


「アレは何なんですか兄さん!」

「俺が知るかよ! あれはなんなんだウルフウッド!」

「召喚したのは兄さんでしょう!」

「じゃああれはピクシーだ!」

「そんなわけないじゃないですかあ!」


 後方で何かをためるような吸収するような音が聞こえる。あたりが白黒しか判別できなくなる。

 その光景を見て恐怖心が後方を確認させる。

 上空の魔方陣の光だった。

 それがどうだろうか、突然光るのを止めた。

 思わず足が止まり先ほどまで間近にあった光景を傍観する。

 ウルフウッドも「ここまで来れば大丈夫だと思います」と、足を止めた。


 すでに奴は上空の魔方陣にあと身体一つ分というところまで上昇していた。

 遠くまで来てしまったために大きさは定かではないがあの馬鹿でかい魔方陣に収まりきれないくらいの大きさ、もとは球体に近いのか光の壁で楕円の円柱の形になっている。身体はすべて触手に包まれており、その触手の奥に包まれている二つの琥珀色の球体が見え隠れする。そして身体からかたつむりのような二つの目が伸びていた。


「なんなんだよ……あれ」


 体の力が抜け担いでいたヨルダが滑り落ちる。


 世界はまた白と黒となった。


 上空の魔方陣から白い巨大な光の束が下方に降り注ぐ。

 触手の巨塊はじりじりと地面に追いやられていく。


 白い巨大な柱が出来上がった。


 座ったままのヨルダが柱を見上げている。


「こんな魔法……見たことありません……」


 ウルフウッドが柱を見上げたまま答える。


「……まぁ……私の国の魔法なので……」


「……下ろして」


 小脇に抱えられたままのヨツバ。もがけば抜けれそうだが力を入れるやり方を忘れていた。


 すると突然、ガラスの爆ぜるような爆音が響き渡った。

 見えない壁が光の欠片となって弾け飛び、光の柱が地面側から霧散に散っていく。


 触手の巨塊が身体を広げる。光の柱の半径の倍はある。

 そしてそのまま柱を意にせず上昇を始める。

 ゆっくりとゆっくりと上昇を続ける。柱が散解していく。

 触手の塊は速度を変えず魔方陣に近づき、飲み込む。

 世界に色が戻った。


 四人は固唾を飲んで巨塊を見守った。いや、心を奪われたとでも言おうか。


 カナリヤ色の巨塊は静かにゆったりと、幽玄な様で上昇を続けいつしか浮雲と一緒に消えていった。


 巨塊が去った後もしばらく静寂が続いた。

 ダイキチが地面に身体を投げ出す。


「――すっげぇや」


 青く澄んだ空がダイキチの心を落ち着けた。

 それに呼応するように三人が口を開き始める。


「創造の……神……」

「……アレを知っているんですかヨルダさん」

「ずっと昔に、似たようなものを本で見たことがあります。それ以上のことはわかりませんが」

「そうですか……」

「下ろして」


 ウルフウッドは慌ててヨツバを下ろす。


「なにはともあれ圧巻だったな」

「うん、ろくでもないものだった」

「もうそれはいいって……」


 なぜかヨツバの雰囲気は嬉々としていた。

 


 


 

ツッコミは無しの方向でお願いします。

わかってます。


お昼ごはんはピザでした、タバスコ暴発して恐怖しました。


お読みいただきありがとうございます。

よろしければ今後共お付き合いいただきたく存じます。

ではまた

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